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ぶらりドリブルの旅

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DAZN観戦 2021年J2リーグ第18節 モンテディオ山形vsレノファ山口FC

2021-06-15 16:13:33 | サッカー視聴記(2021年J2)

※前回の山形の記事はこちら(14節・愛媛戦、1-0)
※前回の山口の記事はこちら(14節・相模原戦、1-0)

良い勝ち方をしたかと思えば、その流れを活かせず中々這い上がる事が出来ずにいる山口。
前回観た時が今季初の連勝時でしたが、そこからまた3戦未勝利と足踏みし、勝ち点は20。
そんな停滞感が漂う中、目下絶好調である山形との対戦となりました。

開幕当初は4バックでしたが、途中から3バックに切り替えての戦いを見せている山口・渡邉晋監督。
10番・池上がトップ下に入っての3-4-1-2が主流でしたが、この日は3-3-2-2と微調整。
しかも池上はFWでスタメンで、ボランチ3枚(佐藤謙介・田中・神垣)が並べられたような中盤の構成は、1アンカーに佐藤謙という形となりました。
こうした微調整は相手対策の側面とも取れるものの、この日の山口は果たしてそうだったのか。

試合が始まると、山形が山口のビルドアップを遮断して攻撃権を支配。
5分、山口のミドルパスをカットした中原がエリア内左へ進入、一旦跳ね返されるも尚も繋ぎエリア内右の國分の下へ。
國分はダイレクトでグラウンダーのクロスを入れ、中央で林が合わせシュート、GK関がセーブした所を山田拓巳が詰め。
ゴールに突き刺しますが、オフサイドの判定でノーゴールに。(林・山田拓のどちらが取られたかは不明、山田拓は完全にオフサイド)

山口の前線も山形の最終ラインに対し果敢にプレッシングを掛けますが、それが実らない場面も多く。
6分の山形はプレスを受け続けるも、左サイドで山田拓・山田康太・南が巧みなボール捌きでかわし(山田拓のロブとか南のヒールでのポストプレイとか)、山田康の右サイドへのフィードから逆に好機に繋げ。(シュートには持ち込めず)
プレッシングとビルドアップで流れをモノにしようという山口の理想は見えたものの、それを上回る技術でプランを台無しにさせるかのような山形の入り。

しかし13分に山口が最初の好機、それもプレッシングでボールを奪ってGKと一対一に持ち込むという願っても無いシーン。
左サイドでパスコースを封じられた山形、中央へと戻すも、パスコース選択に意識を取られる野田に対し梅木がアタックを掛けてボール奪取。
そしてDFがおらず、中央で前進してエリアライン際からシュートを放った梅木。
GK藤嶋の足下を抜くも、ボールは無情にもゴール右へと外れ、決定機逸となってしまいました。

これを機に山口は主体的な攻撃も巧くいくようになりましたが、山形の反撃に悩まされ。
15分にはクリアボールを南が拾い、そのまま中央をパスワークで突破。
林のダイレクトパスに抜け出した山田康がシュートし、ゴールネットを揺らしますがまたもオフサイドで、2度目のノーゴールに。
17分にはカウンターを受け、中原に自陣から一気にエリア内にまでドリブルを許しますが、左サイドに流れた所を何とか防ぎ。

3バックのシステムながら、守備時には5バックでは無く、左ウイングバックの澤井が上がり目に位置した4-4-2へと可変する体制を取っていたこの日の山口。
そのため右サイドを上がった川井の裏を取られるシーンが目立つ、といったアンバランスさを露呈させており、攻守ともにリズムを掴めず。
そんな流れのまま、24分に飲水タイムを迎えます。

ブレイク明け、山口は可変システムによる更なる弱点を突かれる事となり。
それはインサイドハーフの田中で、澤井が左に張り出す事で、守備時は右サイドハーフとしての振る舞いが求められたこの日。

山形はそれを利用しようと、27分には最終ラインからの繋ぎで、山田拓が中へ絞ると同時に左へ展開。
そして山口・田中が山田拓をケアした事で左サイドが空き、降りてきた山田康から縦パスが中原へと渡り、中原がドリブルからクロスを入れた攻撃。(シュートまでは行けず)
これで左サイドからの攻撃に迷いが無くなったと思われ、迎えた31分。

再び最終ラインでの山形の繋ぎに対し、先程のシーンが頭を過ったか、山口は佐藤謙が遮断しに前進するも奪えず左サイドの山田拓に。
そして山田康へと渡りドリブル、そこに山口は神垣が対峙するも、イレギュラーな守備を強いられた影響か中原→山田拓→山田康へとパスを許しエリア内左へ。
山田康からのグラウンダーのクロスが入ると、ニアサイドで林が合わせて仕上げ、ゴールネットを揺らします。
今度は取り消される事も無く、相手の特性を綺麗に利用した先制点となりました。

先制後も山形は、サイドを素早く揺さぶる攻撃を敢行して主導権を握り。
山口は可変システムの影響か、スライドも後れを取る場面が目立ち、依然として押され気味の展開を強いられます。

前半も終盤、ようやく山口はボールを握っての攻撃を展開。
41分にはGK関から右サイドへと展開するパスワークののち、裏へ走り込む川井に向けて佐藤謙がロングパス。
受けた川井は右奥からクロスを入れ、クリアされたボールを神垣がダイレクトでシュートしますがゴール左へと外れ。
好機を作り始めるものの、依然として川井を高目に上げての右サイドアタック偏重という感は拭えず。
逆に42分に、山形はそれを突くように左サイドで速攻、南のシュート(ループ気味もGK関キャッチ)に繋げるなどカウンターの脅威は健在。
結局1-0のまま、前半終了となりました。

攻勢を掛けたい山口、ハーフタイムに選手交代。
神垣→小松へと交代し、池上がFWから一列下がって小松・梅木の2トップへと位置も入れ替えます。

後半1分の山口、佐藤謙の右サイドへの展開から、池上が開いて受けて中央へと送り。
佐藤謙がダイレクトで縦パスを送ると、小松のポストプレイののち自らダイレクトでシュート。(枠外)
後半最初の好機をシュートに結び付け、反撃体制が功を奏すかに見えました。

しかし前半同様、山形は左サイド中心の攻撃が冴え渡り、山田拓・山田康の関係性を止める事は相変わらず難儀する山口。
8分山田拓が南とワンツーで前進、その後の山田康へのパスこそ遮断するも、中原に拾われて攻撃継続。
ドリブルから右へと展開し、國分がカットインからミドルシュートを放つも枠外に。
続く9分には逆の右サイドから、山﨑の縦パスを受けた半田から中央へ送られ、山田康が前進してシュートを放つもGK関がセーブ。
尚も右サイド奥で拾った國分から繋がり、エリア内右から山田康が右足でシュート、逆方向に巻いてゴール左を襲うもポストを直撃してゴールならず。

相変わらず山口ゴールを脅かす山形でしたが、その最中である3分にアクシデントが。
最後尾での繋ぎの中で、GK藤嶋が山口・梅木のアタックを受け、足を痛めて倒れ込んでしまいます。
その際は立ち上がりプレーを続けた藤嶋でしたが、13分に山口・梅木のシュートがブロックされこぼれた所を拾った際、再度倒れ込んでしまい続行不能となり。
ベンチで控えていたビクトルが投入される事となりました。

天皇杯2回戦では不覚を取った(ヴェルスパ大分戦・1-2)ものの、リーグ戦では好調な山形。
ピーター・クラモフスキー氏が監督に就任して以降、無敗でここまで来ており一気に上位を伺う位置まで躍り出ています。
当初は相手に押される試合が目立ったものの、日に日に内容も良化しており、この日の前半は一度ミスから決定機を招いてしまった以外はほぼ完璧な試合運び。
前年清水であれだけ苦労していたのは何だったのか、と言いたくなる程の、手腕を如何なく発揮しているクラモフスキー氏。まあ今季ロティーナ監督でも苦戦しているので清水というクラブ自体に欠陥がある気がしないでも無いですが

パスワークでの攻撃サッカーという方針は変わらずも、フォーメーションは無理に自信の理想を押し付けず。(この辺はシーズン途中からという要素もありますが)
既存の手駒の能力を結果に結び付け、リーグ序盤に低迷していたチームに対し「欠けていたもの」をプラスさせているかのような試合運びを展開しています。
そしてこの日は、選手交代という采配面でも力を発揮する事となりました。

GKがビクトルに代わって以降も、最終ラインからボールを繋ぐ攻撃を継続する山形。
21分に野田が右サイド裏へとロングパス、(コーナーキック後の流れで)右へ移っていた中原が受けてボールキープ、エリア内へと進入した所で短いスルーパス。
走り込んだ半田からグラウンダーでクロス、ニアサイドに林が走り込むという1点目と似たシーン(逆サイドですが)となるも、合わずにGK関がキャッチ。

ここで両チーム動き(22分)、山口は澤井・梅木→石川・高井へと2枚替え。
山形も林・中原→木戸・加藤へと2枚替えと、双方2人を交代。
そして迎えた24分。

GKビクトルの藤田への縦パスから右サイドで攻撃、その後の縦パス攻勢を山口は一旦は遮断するも、こぼれ球が繋がって山田康が一気に左サイド裏へとスルーパス。
受けたのは左SHに入っていた加藤で、ドリブルでエリア内左へと進入し、そのままシュート。
GK関のニアサイドを破ってゴールに突き刺し、貴重な追加点を齎します。
交代がピタリと嵌り、ムードも最高潮に達した所で飲水タイムへ。

2点差となり、残り時間を考えると攻めるしかない状況の山口。
29分にはこの日貫いていた右サイドアタックから、川井のクロスを小松がヘディングシュート(枠外)という攻撃。
しかしこの場面以外は、中央をパスワークで突破する攻撃を見せ、何とかこじ開けようとする姿勢を見せていました。
それを果たすべく、佐藤謙も積極的に縦パスを送るシーンが目立ちましたが、やはり厳しいものがあり。

32分に山口は楠本・田中→浮田・佐藤健太郎へと2枚替え、5枚のカードを使い切り。
この後4バックへと切り替え(池上がトップ下の4-2-3-1か)、W佐藤のドイスボランチがここに来て復活するも、時間が決定的に足りず。
38分に再び中央で佐藤謙が縦パス、こぼれた所を浮田が拾いシュートするもGKビクトルがキャッチ。

山形は堅守を見せるとともにカウンター気味に攻撃し、相手に攻撃をやり直させ時間を進めていきます。(39分に南・國分→岡﨑・ルリーニャへと交代)
終了間際となり、焦る山口を尻目に尚も攻め込み。
44分には中央で山田康が相手に倒されながらもキープして繋ぎ、木戸の右へのスルーパスを受けた半田からファーサイドへクロス、加藤のポストプレイを経て岡﨑がシュート。(枠外)
アディショナルタイムにはCK攻勢、それでもボールキープには入らず、二次攻撃で山田拓の左からのクロスで山﨑がヘディングシュート(オフサイド)とフィニッシュに繋げていき。

6分あったATも最終盤、ようやく山口が攻撃権を得て攻め上がるも、シュートは放てぬままタイムアップとなり。
2-0で山形が勝利し、序盤は全敗だったホームゲームもこれで4勝目。(1分4敗)
出遅れを挽回し、このまま一気に昇格争いの輪へと加わりにいきたい所でしょう。


DAZN観戦 2021年J2リーグ第17節 ツエーゲン金沢vs大宮アルディージャ

2021-06-09 15:00:39 | サッカー視聴記(2021年J2)

※前回の金沢の記事はこちら(15節・群馬戦、1-1)
※前回の大宮の記事はこちら(15節・北九州戦、1-3)

J2の底辺付近へと沈む、過去最大の危機といえるであろう大宮の現状。
J1時代には「残留争いのプロ」などと揶揄されたものですが、今度はJ2でその地位を築くつもりなのか。
最も当事者にとっては、そんな事を言っている余裕は無さそうですが。

解任された岩瀬健氏の後を継いでいるのは佐々木則夫氏で、後任が決まるまでの暫定監督として指揮を振るう真っ只中。
女子サッカーで代表チームを栄光に導いた人物であり、男子の指導は2006年に大宮ユースで経験あり。
暫定かつクラブは降格圏に沈む危機故、戦術云々より成功体験による精神的な部分で引っ張る事を期待されての人選だったでしょうか。
従来の戦術からの一新を図ったものの、前節・千葉戦でのフォーメーションは4-1-4-1というやや変則的なものでした。
恐らくは今までのサッカーからの転換を形によって示したのでしょうが、1アンカーの弱点を突かれて0-2の敗戦。
後が無いという状況で、最近不調の金沢が相手のこの日、是が非でも勝ち点を積み上げたい所でしょう。

そんな執念は試合開始直後から発揮され、前半1分から早くもスローインで、左サイドから翁長がロングスローをエリア内に投げ入れ。
その後も敵陣深めでのスローインは全てロングスローで、翁長・馬渡と両サイドに1人ずつそれが行える選手が居れば、納得出来る手法ではありました。

いきなりその圧を受ける事となった金沢ですが、冷静にロングボール攻勢でそれをいなす事に成功。
4分には庄司ロングパス→本塚落とす→右ハーフレーンから瀬沼シュート(枠外)と、シンプルな攻撃で大宮ゴールを脅かします。

一方、「現実的なサッカー」への転換を唱えた佐々木氏による大宮も、それまでの最後尾からショートパスを繋ぐビルドアップによる攻撃を一新。
極力早くボールを前へ送るスタイルで、空中戦を経てこぼれ球になったボールをラフに蹴り込むシーンが多発。
フォーメーションは前節の4-1-4-1を改め、三門・小島のドイスボランチとしたうえで、2トップからイバと佐相を縦関係にした4-4-1-1のような感じに。
前述のスローインだけで無く、コーナーキックの際にもキッカーの位置に2人(三門と小野)を立たせ、軽く蹴り出してからのクロスを多用。
どんな形でもゴールを狙うという姿勢を前面に押し出します。

しかし前掛かりになる意識を逆手に取られると脆い。
15分の金沢、渡邊がパスカットして左サイドから縦パスを入れ、受けた瀬沼が前進する所を大宮・山田に倒されるも杉浦恭平が拾ってアドバンテージ。
そしてすかさずスルーパスが送られると、走り込んだホドルフォがシュートを放ち、ゴールを襲うもバーを直撃して間一髪。
その直後も、渡邊がホドルフォとのワンツーでエリア内左へ進入しシュート(ブロック)という好機を作られた大宮。
守備でもプレッシングで早めにボールを奪う体制を取っており、この辺は戦術がリセットされたが故の単純さが弱点となっていた節がありました。

それでも大宮は22分、左からのロングスローでイバフリック→小野収めてシュート(ブロック)と、ゴール間近でシュートする場面を作り。
0-0のまま飲水タイムが取られたのが24分。

ブレイクが明け、最初の攻撃は金沢で26分、これまで縦に速い攻めが主でしたがここでは遅攻。
後方でパスを繋いでいる間に藤村が前へ上がり、大橋の縦パスを受けるという変化を付け、そのままエリア内へスルーパスを送るという攻撃。(杉浦恭が走り込むもクリア)
ここで多彩な攻めの姿勢を見せたのが奏功したでしょうか。
29分、左サイドで渡邊の裏へのロングパスが瀬沼に渡るという、今度は一本の長いパスによる好機。
これを左エリアライン間際で瀬沼がトラップした際、ディフェンスに入った大宮・山田の腕に当たり、ハンドを取られて反則・PKに。
大宮にとっては不運な形となり、PKを瀬沼が中央やや左にシュート。
GK笠原は反応するも脇を抜かれ、無事ゴールネットを揺らし金沢が先制します。

その後はリードした金沢が、余裕をもって長短を絡めての攻撃で主導権を握ります。
大宮サイドはビハインドとなった事で、それまでの速攻主体から、最後尾からのビルドアップも余儀なくされ。
そんな意識のズレにより、中々攻撃の形を作る事が出来ず、金沢が攻撃機会を重ねる展開に。

41分、再び左サイドから渡邊の縦パスが中央へ入ると、杉浦恭がスルーして瀬沼が後ろ向きで受け。
こぼされた所を大橋がすかさず浮き球でスルーパス、そして杉浦恭が走り込んでシュートするも、僅かにオフサイド。(シュートはGK笠原がセーブ)
最初の好機以降、左サイドからの攻撃が非常に効いている金沢。
前回観た際は、左サイドのあまりの出来に柳下正明監督もご立腹といった感じの試合でしたが、これならば一安心でしょうか。(水戸戦は守備面が槍玉となっていましたが)

追い掛ける大宮は、試合が進むにつれて、三門が最終ラインに降りる「丁の字型」の形によるビルドアップを展開。
それによりサイドバックを高い位置に押し出すという、岩瀬氏時代の基本形と同じですが、やはりそこまで前の形を取っ払う時間的余裕は無かったのでしょう。
しかしリードを奪われて以降はシュートを放つ事が出来ず、1-0のまま前半終了となります。

共にハーフタイムでの交代は無く、同じメンバーでぶつかり合った後半の入り。
その結果、主導権を握ったのが金沢というのも同様でした。
後半3分、敵陣中央で松田陸がパスカットしてエリア内左へ縦パス、受けた瀬沼が切り返してシュートするもゴール右へ外れ。
4分には最終ラインの繋ぎから大橋がロングパス、クリアされるも渡邊が繋ぎ、後方から本塚がミドルシュートを放ちますがGK笠原がセーブ。

7分に大宮がロングスローから、イバのトラップ→バイシクルシュート(枠外)という流れが挟まれますが、その後も金沢の攻撃。(8分には藤村ミドルシュートもブロックされる)
9分、渡邊のボール奪取からホドルフォがドリブル、そのままエリア内左奥へと切り込んで中央へシュート気味の速いクロス。
杉浦恭の手前でGK笠原が弾き、瀬沼が詰めにいくも何とかクリアと、押し込み続ける金沢。

しかしこの直前に、左サイドで渡邊と共に良いシーンを作り続けていたホドルフォが、大宮・馬渡との接触で倒れ込むシーンがあり。(6分)
その後もプレーを続けますが、故障から明けて3試合目という要素も考慮されてか、結局13分という早めの段階でお役御免となったホドルフォ。(高安が投入され右サイドハーフに、本塚が右SH→左SHへシフト)

これ以降主導権が移り変わり、大宮が反撃体制へ。
その最中の18分に、佐相に代えてネルミン・ハスキッチを投入と、交代カードにも手を付けた佐々木監督。
恐らくはイバを中央に張らせるための佐相FW(セカンドトップ)起用だったのでしょうが、ビハインドとなって結局サイドからの攻撃しか出来ないため、イバがボールを受けにサイドに開くというシーンが多発していたこの日の大宮。

ここから期待に応え、19分には左サイドでのフリーキックから、21分にはロングスローからと立て続けにヘディングシュートを放ったハスキッチ。(両者とも枠外)
尚も勢い付けるべく、23分には小野・小島→松田詠太郎・大山と2枚替え。
それと併せ、翁長が左SHから右サイドバックに、馬渡が右SBから左SHへと位置を入れ替えます。

同時に金沢サイドも、杉浦恭→大谷へと交代。
直前に大橋が、大宮・小島のドリブルをスライディングで倒してしまい反則・警告を受けてしまうなど、大宮の圧力に押されるシーンも目立ち。
何とか押し返したい金沢は、以降FWの位置に入った大谷の裏抜けを狙ったり、右サイドから形を作ったうえで高安に同じく裏抜けをさせたりという攻撃。
ホドルフォの交代以降、左サイドに多くを期待出来なくなった故の策でしょうが、これで攻撃権を確保し五分の状況へと戻します。

両サイド交代カードを使っていく中でフィニッシュシーンは減っていき。
27分に飲水タイムが挟まれたのちも、30分に大宮がロングスローから、クリアボールを渡部がボレーシュートした(枠外)ぐらいに落ち着いていきます。

当然、リードされている大宮にとっては由々しき状況。
36分に金沢がアクシデントで交代(足を攣らせた本塚→力安)して以降、再度ペースを掴み押し込んでいきますが、ボールを繋ぐものの肝心のシュートには中々持ち込めず。
とうとう40分に最後の交代カードを切り、黒川を投入。
渡部と交代して自身は左SHへ入り、馬渡が元の右SBへと戻って翁長が左SBに回りました。

しかし流れの中からはクロスが上がってもフィニッシュには繋がらず。
期待の黒川は、セットプレーからのヘディングという、矛盾するような形で目立ちます。
40分にはロングスローから、エリア内にこぼれた所を松田詠がクロスを上げ、ヘディングシュート。(枠外)
45分もロングスローからで、ニアサイドでハスキッチのポストプレイから再度繋ぎ、馬渡のクロスに合わせヘディングシュート。(枠外)
何とか自分の得意でない形でも、得点に繋げようとした黒川ですが結果に結び付かず終わります。

それでも押し込まれる展開に金沢サイドも苛ついていたか、42分には大宮・イバを倒してしまった庄司が反則を取られると、判定に不満を露わにし。
最後はボールを地面に投げつけ、警告を受ける破目となってしまいました。

そのシーンは褒められたものでは無いですが、不満に対しガス抜きをするのも大事な要素ではあり。
試合前のインタビューで柳下監督が、チームの不調に対する原因という名の不満?を、思いきりインタビュアーにぶつけていたのが印象的だったこの試合。
何処までが本心なのかは不明ですが、溜まっていたものを出す事で、チームを覆う暗雲も取り払いたかったという側面もあったでしょうか。

そんな事を思い出させた庄司の一幕でしたが、以降も金沢は集中力を切らす事無く守り抜き。
最後は大宮が、山越・山田も前線に上げるロングボール攻勢に入ったうえで、裏をかくようなサイド攻撃も仕掛けましたが最後までシュートは放てず。
1-0のまま金沢が勝ち点3に辿り着き、実に8試合ぶりの勝利となりました。

対する大宮はこれで12戦未勝利という、迷宮にも似てきたような状況に。
それを打破するための新監督の就任もようやく決定し、前年までJ2(山口)の戦場を経験していた霜田正浩氏が、次節から指揮を執る事となりました。
山口とは資本も段違いながら、今季過去に無い程の低迷に苛まれている大宮というクラブで、どんな結果を齎すでしょうか。


DAZN観戦 2021年J2リーグ第17節 栃木SCvs京都サンガFC

2021-06-08 16:19:22 | サッカー視聴記(2021年J2)

※前回の栃木の記事はこちら(13節・水戸戦、1-1)
※前回の京都の記事はこちら(12節・琉球戦、0-0)

15節での直接対決に勝利し、新潟から首位の座を奪った京都。
しかし前節(甲府戦)はスコアレスドローで、一日天下となってしまいましたが。一日では無い
混沌としてきた事で下との差も詰まり、新潟・琉球の2強という様相は終わりを告げ、ここからが昇格争いの本番なのでしょう。

一方の栃木、そんな上位の状況とは無縁な位置に落ち着きつつあり。
降格圏からは一歩上なものの、下を気にせざるを得ないような立ち位置となっています。
前年と比べての「中央の強度の低下」を解消するべく、早速補強を敢行。
育成型レンタルで福岡から三國ケネディエブスを加入させ、早速15節・松本戦から起用。
狙いは的中し、以降無失点でここまで来ています。

ピーター・ウタカが今季2度目のベンチ外という事で、彼抜きで得点を挙げる事が勝利への必須条件である京都。
しかも相手は栃木で、今季は同タイプの秋田に敗戦している(5節・0-1)など、不利な要素を抱えての試合となり。
キックオフ直後に、京都・松田と栃木・山本がボールと無関係な所で身体をぶつけ合うシーンでスタート(反則無し)と、早くも様相が色付けられたようでありました。

そんな中、ウタカ不在のセンターフォワードの位置には、あろう事か最もサイズが劣る存在の中川。
京都の前線は盛んにポジションチェンジが繰り返されるので違和感はそれほどでも無いですが、流石に栃木のセンターバック相手では分が悪く。
結局前半14分頃から、代わって武富がCFに回る事となりました。

ミスマッチを起こしていた京都を尻目に、栃木は自身の土俵に持ち込む事に成功。
2分に敵陣深めでパスカットしたジュニーニョが、すぐさま京都・川﨑の出した足に掛かってしまい反則となったシーンがその象徴だった気がします。
その後も6分に京都・武富が、栃木・佐藤をアフターチャージで倒してしまい反則、警告を受けるという具合に立ち遅れていた感があり。
ロングボールを矢野目掛けて放り込むというシンプルな攻撃ながら、主導権を握っていきます。

そしてセットプレーも多数得た栃木でしたが、京都にもCBにはヨルディ・バイスという壁が健在しており。
コーナーキックの際は、他者がマンマークな中、バイスはフリーマン的に構える守備で万全の体制。
おかげでCKを得てもフィニッシュシーンを作る事無く、時間を浪費していく栃木。

栃木の攻撃を防ぎつつ、中川・武富のポジションを変えた後でも、攻撃では中々ペースを掴めずにいた京都。
本領を発揮したのは飲水タイム(26分)後であり、まずは相手を押し込みつつ、数多獲得したスローインで流れを得ようとします。
バイスのオーバーラップを絡めたり、飯田がロングスローを放り込んだりと、相変わらず変化を付けにいくスローインは健在。

そして35分、中央で荒木がエリア内右へスルーパスを通し、武富がシュートを放った(枠外)のがフィニッシュ攻勢の幕開けとなります。
37分には左ハーフレーンから中川のミドルシュート(GK川田セーブ)、39分には左サイドから荻原の浮き球パスを武富が受けてシュート(ブロック)、直後には左サイドから荒木がカットインからシュート(GK川田セーブ)。
45分はCKからの二次攻撃で、右からの飯田のクロスをニアで荻原→中央で武富と2連続でのフリックを経て、ファーで松田がシュートと面白いシーンを作りましたがブロックに遭いモノに出来ず。
序盤は苦戦した栃木のディフェンスにも慣れを示し始め、ボックス近辺でのショートパスを中心に好機を量産。
蜂の巣状態といった感じで前半の終盤を彩りましたが、得点は挙げられず。

アディショナルタイムに突入した所で、京都のスローインを矢野が直接カットしてそのまま栃木がカウンター。
ドリブルでエリア内を伺う位置まで進み、フェイントの連続で撃つ隙を伺ったものの、結局シュートは放てず。
ミスから危機を招くというシーンになり、良い流れで進めながらも予断は許さない状況を京都サイドに再認識させたでしょうか。
結局0-0のまま前半は終了。

12節から5戦連続で無失点と守備面での奮闘が光る京都の成績ですが、「引きこもり上等」というチームでは無く、積極的なプレッシングが売り。
同時に得点力に陰りが見え始め、勝利はいずれもウノゼロ(1-0)でのもので、3得点のみで3勝。
1点逃げ切りが目指す形とは言い難いチームにも拘らず、そうなっているのが今後の不安材料でしょうか。
まあ「理想と食い違う中でも勝っている」と置き換える事も出来ますが。

この日不在であったウタカは14節にもベンチ外で、その要因の一つと捉える趣もあり。
しかしウタカ自身は9節を最後に無得点なので、彼が居ても問題が変わらなかった確率は低くなく、根本的なものでは無いでしょう。

前線からのプレスが攻守ともに肝のチームであり、この日のように攻撃権を支配し、得点を狙いにいくのが持ち味。
そのため交代カードを切っていくのも早い傾向があり、積極的に入れ替えて前線の運動量を確保するのが狙いなのは明白。
そしてこの日も、ハーフタイムから早速交代が敢行されました。

左ウイングの荒木に代え、三沢を投入してMFに。
そして松田が左WGに回るという策を採った曺貴裁(チョウキジェ)監督。

後半、お互いロングボールを蹴り合う入りを経て、先に攻撃権を取ったのは京都。
特に最初の好機(後半3分)は、武田のロングパスを左サイドで受けた荻原が、中川へスルーパスを送りつつ中へ入り。
そして中川のグラウンダーのクロスをニアサイドで受けたものの、シュートは撃てずというもので、崩す所まではいくも得点は奪えずという流れは継続。

一方の栃木、相変わらず攻撃では矢野目掛けたロングパスが第一。
そして収めたのち、もう一人のFWであるジュニーニョを走らせるという、アバウトながらもハイラインの京都相手には有効な攻撃。
8分にはCKから、こぼれ球を拾ったジュニーニョがミドルシュート。(枠外)

京都はボールポゼッションに関してはそれほど重視はしないながら、栃木のようなチーム相手には必然的にボールを繋いでの攻撃をせざるを得ず。
攻め上がる京都と、カウンターの栃木という図式が完成し、後半の時間が進んでいきます。

15分の京都、左サイドで三沢・荻原・松田が繋いだのち三沢が右へサイドチェンジ、これが一旦カットされるも飯田が奪い返して継続。
そして武田がミドルシュートを放ち、ブロックされるもクリアボールをバイスが拾い、左サイドから荻原がクロス気味にシュート。(ブロック)
パス数を多くしつつ、クリアされても攻撃を継続させる分厚い攻撃を敢行し、後は栃木の堅守を破れるかどうかという持久戦の雰囲気も漂いつつありました。(16分に中川→中野克哉に交代)
栃木は11分にジュニーニョが足を痛めて倒れ込み、一度はプレー続行したものの、19分に京都・バイスに倒されて再度傷んだ所で交代。(有馬が代わって出場)

25分に飲水タイムが挟まれ、明けてすぐの27分、栃木・三國がキックミスで中野克が拾いそのまま右サイドをドリブル。
そしてエリア手前でカットインからシュートを放ちましたが、GK川田がキャッチ。
栃木にとって致命的にならずに済んだというシーンであり、シンプルな戦いを貫くにも、全員の強い意志でエラーを起こさない事が求められるのを再認識させます。
直後に栃木は山本→畑に交代。

それでも0-0のまま試合は進み、迎えた32分。
右サイドから川﨑中央へ縦パス→松田ポストプレイ→武田ダイレクトパス→三沢でエリア内を急襲、一旦クリアされるも飯田が再度繋ぎ、エリア内右から中野克がクロス。
中央で跳んだ武田を越え、武富がフリーで収める大チャンスになりましたが、放たれたシュートはGK川田がファインセーブ。
完全に崩したシーンでしたが、モノに出来なかった京都。
34分にはその武富に代えて、今季初出場となる上月を投入。(同時に荻原→白井へと交代)

押され気味ながらも、一糸を繋ぐ姿勢なのは変わらない栃木。
36分にこぼれ球を有馬が前へ送り、矢野が頭で受けるとボールは右サイドのスペースへとこぼれ、拾った矢野からマイナスのクロス。
これをニアサイドに走り込んだ有馬が受けるもシュート出来ずと、掴みかけるものの実る事は無く。

その後京都は白井の突破力を軸に、左サイドから主に攻撃。
荻原が主力級の働きを見せている左サイドバックのポジションですが、例え代わっても戦力的に落ちないという層の厚さを見せ付けます。
それでも終盤を迎え、守り切るという意識が一層強まっていく栃木に対し、急所を突くパスは鳴りを潜めてしまい。
シュートは42分、CKからの曽根田(松田と交代で出場・38分)のミドルシュート(GK川田キャッチ)ぐらいに終わる事となりました。

AT直前には栃木がスローイン攻勢を掛けるものの、面矢がベンチスタートなためロングスローを入れる事は無く。
三國・柳がエリア内に入って来るものの、それを活かせずに終わり。
そしてATも2分台に入ってようやく面矢を投入(菊地と交代)と、今一つ噛み合っていない感がありました。

最後は京都が、ここも左サイドから攻撃して白井から低いクロスが入るも、ニアで合わせた川﨑は枠を取られられず。
そして(ゴールキックののち)試合終了となり、スコアレスドロー。
京都は6試合連続、栃木は3試合連続で無失点が継続されたものの、やや物足りなさを感じつつの結果となりました。


DAZN観戦 2021年J2リーグ第17節 ヴァンフォーレ甲府vsアルビレックス新潟

2021-06-07 16:15:38 | サッカー視聴記(2021年J2)

※前回の甲府の記事はこちら(12節・山形戦、2-2)
※前回の新潟の記事はこちら(14節・町田戦、1-2)

前節は琉球との上位対決を制した新潟。(2-1)
その前に首位の座を京都に明け渡しており、「胸すく首位攻防戦」とはならなかったのが玉にキズでしたが、勝利によって再度首位に立つ事に成功しました。
第一の山を越えたと思ったら、次なる相手は甲府。

新潟・琉球が失速気味となってきた現状で、虎視眈々と上位を狙うクラブの一つである甲府、6戦無敗で5位に着けています。
メンバーを入れ替えながら戦う事に定評のある伊藤彰監督も、そんな好調なチームの中にあって「動かさないのがベスト」という方向に傾倒していったのか、この日で5戦連続の同一スタメン。
開幕前の故障が懸念された泉澤も、新人の長谷川元希・関口(といっても前年既に特別指定でしたが)もその中に加わっており、ベストメンバーの構想も決まりつつあるようです。

前半1分、新潟・高のトラップミスからウィリアン・リラが拾ってドリブルから好機。(左サイドに展開され泉澤クロス→ブロックされて荒木が再度クロスもクリア)
新潟も固定メンバーでの戦いが中心で、町田戦(14節)で鈴木が1トップに復帰してからは、三戸・谷口を使い分けているぐらいのスタメン。
しかしこの日はミスが絡む、先行き不安な入りとなりました。

気を取り直し、その後はいつものようにボールを握っての攻撃を展開する新潟。
4分右サイドで縦パス→戻しを繰り返しつつボールを動かし、藤原のスルーパスに走り込んだ高木のクロスが入ると、ファーサイドで鈴木がヘディングシュート。(ゴール上へ外れる)
パス数を重ねていくスタイルを基本としつつ、相手の隙を伺うのを怠らず。
10分には千葉の左へのパスを堀米がダイレクトで中央へロブ、島田が繋いだのち拾った高木がドリブルからミドルシュート。(GK岡西キャッチ)
緩急をふんだんに使い、堅守を誇る甲府を攻略せんとしていきます。

順風が吹いてきたかに見えた新潟ですが、再度怪しい兆候が見られたのが17分。
千葉の左サイドへのパスが強くなり堀米は受けきれず、関口に奪われて甲府の攻撃になると、関口の右サイドのドリブルから野津田のミドルシュート(枠外)に繋げた甲府。
再びミスから危うい場面を作ってしまいます。

それでも18分にはボランチの島田が、パスワークが行われている間に前に出て縦パスを受け好機を作る場面が。(その後本間に繋がるも甲府・新井に反則気味に倒され撃てず)
序盤はビルドアップで可変が足りなかったという印象の新潟でしたが、ここに来てポジションを動かして一つ良い流れを生み出しました。
このプレーからコーナーキックが2度続き、押し込んでいく新潟。

しかし21分に三度ミスが発生すると、今度はダイレクトで失点に直結。
自陣左サイドで堀米がボールを持ち、中央へ戻したもののこれが短くなってしまい、甲府・泉澤が走り込んでシュート。
僅かワンタッチでゴールされるという屈辱的なシーンとなってしまい、甲府がリードを奪う展開となります。

同時に飲水タイムに突入したのは幸いだったでしょうか。
首位チームらしくない第1クールとなってしまった新潟ですが、以降は落ち着きを取り戻し。
甲府ボールになっても、巧くパスを遮断して相手に攻撃権を渡す事無く、自らはポゼッションスタイルを前面に押し出していく持ち味を発揮していきます。

それでもパスを繋ぐだけというシーンが長かったですが、33分。
左サイドでパスワークののち、戻されて今度は右サイドで繋ぎ、舞行龍ジェームズと本間がパス交換を繰り返す形に。
そして舞行龍から縦パスが入ると、先程と同様に前に出ていた島田が受け、すかさず送られた彼のエリア内へのスルーパスに谷口が走り込んでシュート。(GK岡西キャッチ)
島田の巧みな動きでボールを引き出し、好機に繋げる新潟。

そして35分、好循環を結果に結び付けます。
ここも右サイドで縦パスも交えつつボールを動かしたのち、逆の左サイドに展開し攻撃、左からの堀米のクロスがクリアされるも島田が拾って継続。
今度は右サイドで高木がドリブルで奥へ進入、彼の戻しから高が低いクロスを入れると、ニアサイドで鈴木がスルー。
そして中央の谷口へと渡り、胸でトラップして甲府・浦上をかわしてシュート。
長いパスワークによる攻撃を技術の高さで仕上げた谷口、新潟らしさを発揮して同点に追い付きました。

今までリードしていた事で受けに回っていた感があった甲府。
裏目に出てしまった事を反省したか、以降は攻撃の手を緩めず。
新潟のボール保持が目立つ試合でしたが、甲府もパスを繋いでの攻撃を基本とするチームで、以降はボールの握り合いという展開に。

しかし好機に結び付いていたのは甲府で、39分には中央⇔右サイドで細かくパスを繋ぎつつ、時には縦パスを入れてボールを動かしていくという新潟のお株を奪う攻め。
そして中央で新井がドリブルで前進ののち、関口の右からのクロスが上がるとファーサイドで泉澤が収め、エリア内で切り返しを続けた後シュートするもブロックをかわせず。
43分には再度中盤でパスを繋いだのち、野津田が左サイドへスルーパス、走り込んだ泉澤のクロスがファーサイドへ。
そして関口が折り返すと、中央でリラがシュートするもこれもブロックに阻まれます。
新潟ディフェンス陣も、甲府の特徴とストロングポイントを抑えたうえで、最後の場面ではやらせず。
序盤から両サイド裏へのロングパスを抑制、中盤以降は泉澤の単独突破を阻み。
そしてこの終盤の場面で、「左からのクロス→ファーで右ウイングバックの関口が合わせる」という持ち技を見せた甲府でしたが、ここでも対処されて得点ならずという前半になりました。

1-1で前半を折り返し、共に交代は無く後半のキックオフ。
新潟が前線でのボール奪取による好機を作ったりもしましたが、その一方で鈴木が痛み倒れ込むシーンも生まれてしまうなど、今一つリズムに乗れない入りに。
しかし徐々に中身が濃い攻撃を展開できるようになり、後半10分には左サイドで前進したのち、中央へ展開されて本間がミドルシュート。(ブロック)
直後には甲府も新井がミドルシュートを放つ(ブロック)など、ミドルの応酬のような絵図が見られ。

新潟が若干押し気味も、どちらに転ぶのかという流れを予感させた所で、その直後の11分。
高木が敵陣右サイドでボールカットして攻撃権を得た新潟、そのまま前進した高木が中央へパス、そして受けた谷口がシュート。
甲府・新井の股を抜いたゴール右へのシュート、GK岡西は止めきれずネットに突き刺さり。
勝ち越しに成功し、後半序盤の攻防を制したのは新潟という結果に。

尚も15分に右サイドのスローインから、高木エリア内へパス→本間スルー→高シュート(枠外)というシーンを作った新潟でしたが、以降は甲府の反撃の流れに。
パスワークによる分厚い攻撃を敢行して押し込み、CKも数多得るなど激しく新潟ゴールに迫っていきます。
しかし、泉澤のミドルシュートが味方の野津田に当たってしまう(19分)など、モノにする事は無く。
23分にメンデスが、新潟・高木へのアフターチャージで反則・警告を受けた所で飲水タイムとなり、同時に甲府は流れを失う事となりました。

明けた際(正確には明ける前から準備していたが)に、鈴木→星への交代を敢行した新潟。(谷口がFWへシフト)
星の入った右サイドを中心にパスワーク、ボールを動かしつつ甲府の気勢を削ぐような流れに入ります。

反撃したい甲府ですが、その新潟の振る舞いにより中々攻撃権を掴めず。
30分にGK岡西の左サイドへのロングフィード(というより跳び出してのクリアか?)に三平が走り込み、GK阿部が跳び出すも処理を誤り裏で受けたのが最大の好機でしたが、結局それもモノに出来ず。
33分に泉澤が新潟・高木に反則を受け、左サイドでのフリーキックとなった所で、ベンチは3枚替えを敢行。
泉澤・長谷川元・野津田→有田・鳥海・中村へと交代します。

このFKでシュートを放てなかった甲府、直後に新潟も高木→田上に交代。(堀米が左サイドバック→中盤にシフト・36分)
これにより、2列目の流動性を見せる新潟の攻撃に翻弄され、反撃の糸口が掴めない状況に追い込まれた甲府。
星・本間・堀米の3人が、どのサイドに位置するのか傍らからでも不透明であり、掴まえられずに守備に奔走される事となってしまいます。
3枚替えにより、3-5-2気味へとフォーメーションを移した事も裏目に出たでしょうか。

成す術が無くなった甲府ですが、41分に最後の交代カードを使用。
山田→山本へと交代し、大ベテラン・山本の経験と精神性で建て直しを図りに来たという判り易い策となりました。
それに対抗するべく、43分に新潟は堀米→早川へと交代。
こちらも3-4-2-1へとシフトし、5バックシステムで守り切る判り易い策。

最終局面に入ったと思われた刹那、その最初の好機で試合が動く事に。
44分に甲府の左サイドからスローイン、エリアから遠い位置でしたが、荒木がロングスローを敢行する形振り構わないスタイルへと傾倒。
荒木によってエリア内に投げ込まれたボールはクリアされますが、再び荒木が拾って二次攻撃。
山本の左への展開から鳥海→荒木と渡ってクロスが上がり、新潟はクリアしきれずファーサイドでメンデスが収め。
ディフェンスに遭いこぼれた所を、再度メンデスがシュートを放ち、ネットを揺らす事に成功。
どんな形でも……という執念が勝った甲府、土壇場でスコアを振り出しに戻しました。

こうなると甲府サイドが精神面で上回り、押せ押せの展開になるのは明白で、その通りにアディショナルタイムでも猛攻を仕掛けます。(以降新潟は、藤原が右サイドハーフに上がり4-2-3-1へと戻したっぽい)
左サイドだけでなく、右サイドでも荒木がロングスローを入れる体制を取り、逆転ゴールを奪わんと圧を掛ける甲府。
有効なのはクロス攻撃のみという状況でしたが、とにかくエリア内へとボールを入れる、不格好ながらも相手方にとってはやって欲しくないであろうスタイル。
特にメンデスという強力なターゲットが控えているのならば尚更だったでしょう。

しかし何度も思い通りにはいかないもので、やはり決定的に時間が足りず。
惜しい局面は作るものの、フィニッシュまでは辿り着けなかった甲府、同点のままタイムアップを告げる笛が鳴り響き。
2-2で引き分けとなり、勝ち点1を分け合う結果となりました。

前節(京都戦・0-0)から上位を脅かしにかかった甲府でしたが、共に引き分けという悪くない結果ながら、物足りなさも残る事となり。
コンスタントに昇格争いに加わっている近年ですが、もう一歩上に行く事は出来ていないという側面もあり。
勝利によってその壁を打ち破る起爆剤としたい連戦、次節は同じく上を行く磐田相手なので、気を取り直して勝利したい所でしょう。


DAZN観戦 2021年J2リーグ第16節 松本山雅FCvsファジアーノ岡山

2021-06-03 16:46:18 | サッカー視聴記(2021年J2)

※前回の松本の記事はこちら(11節・北九州戦、2-1)
※前回の岡山の記事はこちら(13節・千葉戦、2-4)

公式サイトに尻を叩かれて(?)から3連勝と、泥沼を抜け出したかに見えた松本。
しかしその効果も薄れつつあり、2連続のスコアレスドローを経て迎えた前節・栃木戦。
激しい肉弾戦という一線を越えたかのような絵図となってしまい、結果的にも0-3の完敗。
クラブは再度公式サイトで声明を発表する事となり(栃木サイドも同様)、再び暗雲が立ち込めつつある状況。

そんなラフプレー渦に呑まれた影響か、この日はGKが村山から圍に変更。
その他ディフェンスリーダーの橋内・FWの阪野が欠場となり、安東が故障から復帰という要素も重なって、イレギュラーなメンバー選択を余儀無くされました。
また試合運営も、この日は正午キックオフという珍しい形となり。

試合が始まり、その入りでいきなり岡山は川本のミドルシュートが炸裂。(GK圍セーブ)
前半3分にも、左からの白井のクロスが跳ね返されたのち、中央から宮崎幾笑がシュート(枠外)と攻め立てます。
7試合ぶりのスタメンとなった宮崎幾、横断幕に「サイドアタッカー」と書かれていながら(この日はアウェイ観客無しのため掲げられておらず)、これまでは4-2-3-1のトップ下での出場が目立つというねじれぶり。
しかし本来のサイドハーフで出場したこの日、その後は持ち味の右サイドアタックで威力を発揮する事となります。

岡山ペースの入りとなるも、松本も反撃を見せ、4分には右CKからキッカー前のクロスをファーサイドで安東がトラップしてシュート。(枠外)
9分には岡山GK金山のキックを横山がブロックし、そのまま空のゴールへシュートした横山ですが、左へと外してしまい先制ならず。

14分に松本が、下川が左からカットインしてミドルシュート(ゴール右へ外れる)という好機を見せてからは、試合も落ち着きを見せ。
ここから岡山は裏狙いのロングパスを多用し、度々サイドハーフ(右=宮崎幾・左=木村)が走り込むも、フィニッシュには結び付かず。
一方の松本も、下川がロングパスを供給する攻撃が目立ち、試合は膠着状態に。

そんな中22分にアクシデントが起こり、松本・安東が岡山・白井にチャージして反則を取られると、あろう事か反則した安東の方が痛み続行不能となってしまいます。
故障明けという中で激しくデュエルした結果、高くついてしまった格好となった安東。(直後に飲水タイムが採られ、明ける際に米原と交代)

ブレイク明け、依然として裏狙いを続けるもチャンスを作れない岡山を尻目に、松本がペースを掴み始め。
左サイドに下川・外山と、サイドバックが2人揃う並びを活かして攻撃を組み立てます。

徐々に岡山も、パスワークで組み立てる攻撃へと傾倒していき。
ここから白熱していくかと思いきや、34分にCKから阿部がヘディングシュートを放ったぐらいで、流れを掴む事が出来ません。
結局前半の残りは終始松本ペースとなりましたが、その松本もフィニッシュという点では目立たず。
長短のパスを織り交ぜつつ好機を作ったものの、ゴールを脅かす事無く時間を浪費。
結局前半はスコアレスで終える事となります。

後半が始まり、小競り合いを経て最初に流れを得たのは前半同様に岡山。
右サイドで攻撃を展開して押し込んでいくと、後半5分に松本のスローインからのミス(投げられたボールを下川が蹴り出そうとするもミスキック→上門拾う)でCK攻勢に。
1本目の右CK、キッカー宮崎幾のクロスがクリアされるも喜山がヘッドで繋ぎ、エリア内左で木村のクロスがブロックされ今度は左CK。
そして2本目、キッカー白井のクロスがクリアされて再度白井の下へ、もう一度クロス。
これもクリアされますが再び喜山がセカンドボールを、今度はエリア内中央で収め、そして左足でシュート。
ゴール右へと突き刺さる、喜山のこぼれ球の処理が光ったセットプレーからの先制点となりました。

一方ミスが遠因でビハインドとなってしまった松本。
直後の7分に大野が岡山・川本との競り合いで倒れると、川本の足が頭部に入ってしまい立てなくなるという、前節の事が思い出されるようなシーンが。
幸い暫くして大野は立ち上がり復帰しましたが、その間にも野々村が岡山・阿部と頭部同士で接触。
一旦松本サイドの反則となるも、異議を受けて判定が変わり岡山の反則となるなど、ラフプレーに神経質になっていた節が窺えました。
これで左サイド・エリアからすぐ手前のFKとなりましたが、グラウンダーでクロスを入れるという変化を付けるも、奪われて逆に岡山のカウンターを誘発してしまうなど余裕も無くなってしまっていたのでしょうか。
そのカウンターからまたもCKを得た岡山、阿部のヘディングシュートが生まれるもゴール右へと外れ。

同点への流れを得たい松本、16分に動き横山→戸島に交代。
これで3-4-2-1→3-3-2-2へとフォーメーションをマイナーチェンジし、鈴木・戸島の2トップで、佐藤が一列上がってアンカーに米原とします。
直後の18分に敵陣で相手クリアを拾ってから攻撃、下川の縦パスが戸島に入り、ディフェンスに遭いこぼれた所を米原がミドルシュート。(枠外)

反撃の狼煙が上がるも、直後に岡山ベンチも動き。
宮崎幾・宮崎智彦→パウリーニョ・徳元へと2枚替えし、フォーメーションも変更。
4-4-1-1→3-4-2-1へと転換し、喜山が左CBへと落ちて井上が中央CB・阿部が右CBの3バック。
ウイングバックは右が河野・左が徳元で、パウリーニョと白井のドイスボランチ、シャドーに上門と木村で1トップが川本という布陣になりました。

今まで終盤の守備固めでこの布陣を採用する事が多かった岡山ですが、この日は早い段階でシフト。
ツインタワーともいうべき松本の2トップ(阪野は居ないけど)に対抗する手段なのは明らかで、その通りに松本は勢いを失い。
逆に22分には、右サイド遠目で上門が思い切り良くシュートを狙うと、GK圍が何とか弾いてゴールポストを直撃する一幕が見られました。

その余韻が残っていたでしょうか、24分に飲水タイムが挟まれたのちも、上門が積極的にゴールを狙う姿勢を見せる岡山。
そしてそれが結果にも結び付きます。
29分、川本を狙ったロングパスがこぼれた所を上門が拾ってシュートされるもブロックで防がれ。
続く30分、左サイドでのパスワークに川本が加わったのち、左ハーフレーンで上門が受けてエリア内へと前進。
そして左斜めから巻くシュートを放ち、綺麗にサイドネットに突き刺した上門。
1トップが開いた所を突くという岡山らしい形で、追加点を獲得します。

2点差となり、総攻撃を掛けるしかない松本。
しかし守備を固める相手に対し、何とかこじ開けようとするもそれは叶わないまま時間が進み。
36分に岡山は川本・木村→山本・松木へ交代と、着実に逃げ切り体制を作っていきます。

崩すには何かが欲しいという状況の松本、38分に下川・河合→村越・小手川へと2枚替え。
村越はこれが今季初出場と、空気を変える新星として期待されます。
この交代で前が右WB→ボランチ、米原がボランチ→左CBへとシフトし、村越は右WBへ。

すると40分、戸島の落としがクリアされたのち、ボールを持った村越がエリア内へロビング。
これもクリアされますが尚もエリア内左で外山が拾い継続させると、ここからシュート気味にクロスを入れた外山。
中央で戸島が跳んで触れずも、そのまま右サイドネットへと突き刺さり。
交代カードだけで無く、プレーの面でも意外性が相手守備を崩す事となりました。

これで1点差となり判らなくなった試合。
村越は続く41分にも、右サイドでボールを持つと前進からシュート(ブロック)と攻撃面で羽を伸ばします。
同点への機運が高まって来ましたが、時間も押し迫り。
2トップに当てるロングボールへと攻撃が傾倒しつつあり、対する岡山もロングボールで応戦と攻撃権が右往左往する展開に。
そんな流れの所為かやや反撃ムードが萎みがちになる中、それを完全にぶち壊したのがまたもスローインでのミスでした。

45分の自陣最後方での左サイドからスローイン、野々村から焦って投げ入れられたボールを岡山・上門に掻っ攫われてしまうと、エリア内の山本へラストパス。
そして山本は大野の股を通すシュートを放ち、ネットを揺らしてゴール。
山本にとっては古巣相手へのゴールとなりましたが、試合的には何ともあっけない幕切れと言うしかない追加点。
村越のシュート以降、攻撃が雑になってしまっていた松本、このミスはその報いのような印象を受けました。

結局2点差でアディショナルタイムを迎えてしまった松本、もはや反撃の機運は何処にも無く。
ひたすらロングボールを蹴り、運良くチャンスが生まれれば……というような流れで、4分間のATはあっという間に過ぎ去り。
そして試合終了の時を迎え、1-3で岡山が勝利となりました。

今節終了でボトムハーフの12位から降格圏手前の18位まで、勝ち点3差の中に7クラブがひしめく事となった順位。
松本・岡山はともにそのうちの一つで、勝った岡山は17→13位へと上がり、負けた松本は14→17位へとダウン。
降格圏が近い位置だけに、順位が下がった際のプレッシャーも凄まじい事が予想されますが、この集団から抜け出すクラブは現れるでしょうか。