ぼくらのありのまま記

ぼくらは
こんな大人になりました。

富田涼都 「なぜ自然を守るのか?」環境社会学の視点から

2014-03-10 13:12:25 | ぼくらのありのまま記
第4話 生態学で答えがでなかった疑問

中学生で初めていった小笠原で
空港建設問題に疑問を感じ、
生態学を学びに農工大へ。
そこでもまたひとつの疑問が・・・。

始まります!!

富田
でもその挫折が
「なぜ生き物に興味があって何を知りたいんだろう」
って考える時間にもなったのね。で、
生態学でひとつ、大きな不満があって。
それは大学が悪いとかじゃなくてね。


たら
それは知りたいことが知れないっていう不満?

富田
そう。生態学では「how to」は教えてくれるんだよ。
つまり、ある植物を守るためにはどうやって、
どういう環境をととのえたらいいのか。そういうこと。



たら
うん。

富田
で、実際、農工大っていうのは、
そういう生態学でいうともう50年前、
日本で最初に生態保護学科っていう学科をつくって。
実績もあるし当然OB,OGも沢山いるすごい所なのね。

たら
うんうん。

富田
だからそういう「how to」に関しては
いくらでも教えてくれる。でも、
俺はその前に気になっていたことがあって、
「なぜ、それを守らなきゃいけないのか」っていうこと。


たら
それは、じぶんのなかに答えはなかったの?

富田
うん、あのね、それは俺としては、
自然を守ることにすごく共感できるけど、
でも共感できない人が沢山いると知ってたから。
それじゃあ説明にならないでしょ。っていう。

たら
そっか。奇麗な海を守りたいとは思うけど、
そう思わない人に対して、それだけじゃ、

富田
だめでしょ?って。で、その人たちに
「そもそも、なんでそう思わないの?」
っていう水掛け論じゃだめでしょ。
って。今日の話も基本的にそこなんだよ。
「伝統だから」っていうのはわかるけど、
でもなぜ伝統だと守らないといけないの?とか。
それならカタチだけのこっていればいいの?とか。



たら
うん。珊瑚礁を純粋に守りたいなら、
海女さんたちも立ち入り禁止にした方がいいよねっていう。

富田
多分そうなる。林みたいに
手入れが必要なものじゃないからさ、珊瑚礁は。
学生の時、いくら熱心に授業聞いたり、
本を読んだりしても生態学ではわかんないのさ。

たら
へぇ~!!

富田
生態学では「なぜ守るのか」
っていうことは誰も説明してないんだよね。
「どうやって」てことは沢山解説してくれるんだけど。

たら
そうか、守るのが、前提なんだ。

富田
そういうこと。そこに大きく不満があったんだよ。

たら
うんうん。

富田
そこにさっきの小笠原の空港問題がかかってんだよね。

たら
生態学を学んでいったら、
反対派の意見の理解は深まるよね、たぶん。

富田
できるし、賛成派の人に有効かどうかは別として、
補強することはできる。例えば
こんだけ世界的に珍しい種類の生き物がいますとか、
島の外の人たちにアピールする材料は一杯つくれる。
でもそれは、なんかこう、バトルとして勝つだけのはなしで。
だってつくろうとした人たちなりの、理由があるわけで、
そこが解消されたのかわからない。仮に勝ったところで。

たら
うんうん。

富田
確かに一週間に一回しか新聞こねーよ。とか。

たら
パンも賞味期限切れで届くし。

富田
病気になったらどうすんだよ。とかさ。
そういうくらしはまた別の問題で。


たら
一理はあるよね。賛成派も反対派の人も。

富田
賛成派だって、島をめちゃめちゃにしてやろうと
思ってるわけじゃないからさ。


たら
基本的に島を好きっていうのは根底にあると思うし。

富田
そこにこう、なんか
釈然としなさをずっと抱えているんだよ。
きっかけは小笠原だけど。
どこも同じ話なんだよ、全部。
そうすると、改めて、
結局そこが気になって気になって仕方ないわけだ。
「なんで守らないといけないの?」

そこをちゃんと言えなかったら、
そうじゃない人たちに
納得してもらえないじゃんね。
っていうのがあって。
どうしよう、このまま生態学にいっても
エクスタシーも感じないし、周りに勝てないし笑。
そのままこう求めるものがない気がする。
で、悩んでたんだよね。


たら
なるほどなー。

富田
そんときに、
ある環境教育の先生に相談したことがあって。
「今、こんなことがあって、
なんで守らないといけないのかを
考えてぐるぐるしてるんです」みたいな。
その時に俺の師匠となる、鬼頭先生の本を紹介されるんだよ。

たら
へえ。

富田
早速読んでみて。内容は、難しくて
半分くらいしかわからなかったんだけど。
ただ、読んだときに直感として、
「なんで、守らなきゃいけないんですか?」
って言ったときに、怒られないなって思ったの。

たら
怒られないし、嫌な顔もされないなって笑。

富田
うん。そう言うことを
考えてる人だっていうのはわかって。
環境社会学っていう学問を
そのとき理解したわけじゃないよ。
でもまぁ、直感として。

たら
同じようなことを考えている
人の本だってことはわかったんだ。

富田
うん。「これはここかもしれない、、、」と思って。
鬼頭先生のところの門をたたいたわけ。
どういう教授かも全然知らないまま。
単に、この本を読んで、「あ、いけるかもしれない」と。

たら
へええ!!

富田
そこから環境社会学
っていうところにはいっていくんだよ。
だから、その直前まで、まさか、
自分が文系の方にいくとは微塵も思っていなかった。

たら
文系、理系っていう分け方よりも、
りょうとの探求したい、
中学校からくすぶっていることの
しっぽがつかめそうだなって思ったんでしょ?

富田
そういう感覚。
しっぽがなんかありそうだ。

たら
それはどんな動物かはわからないけど。

富田
なんかいる!と。
そこだったらいけるんじゃねーか?
っていう。ので走ってった


たら
結構エキサイティングだったんじゃないの?
しっぽ見えたときは?

富田
うん。まあいまだに、その本の内容
理解してるかっていったら疑問だけど、、、笑。

たら
はははは。

富田
でも。そんときに俺は
なんかすーっと。感じたんだろうね。

たら
それって、同じような悩みを
考えている人がいるんだ!!っていう発見もあった?

富田
それもあった。
全然俺は、その人のことを知らなかったし。


たら
そういう学問も知らなかった。

富田
うん。どうやら、そういうものがあるらしいと。




今日はここまで。
読んでくれてありがとうございます。

今井たら竜介
arinomamaki@gmail.com


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