ぼくらのありのまま記

ぼくらは
こんな大人になりました。

3月11日。唐桑御殿つなかん 女将、菅野一代のご挨拶。

2016-03-11 09:00:00 | 唐桑日記


こんにちわ、りょうすけです。
東日本大震災から5年。
つなかんも3年が過ぎました。

僕は7月になると、
唐桑に来てから2年が経ちます。
2013年に震災後初めて東北に来ました。
だから「あの頃と比べたら
○○だったけど〜〜になったよね」
というような感覚はわからないです。

わかるのは僕が来てからの
つなかんの状況くらいです。
来た年に比べ2年目は客数が増えました。
一代さんが伝えたいことや、牡蠣の
旨さが伝わっているのだと思います。


客層も団体客より
家族で来る方が増えました。
日々の暮らしの中で少しずつ
変化していることを感じています。
来てくれる全国のお客さんが、
東北への想いをおみやげ代わりに
持って来てくれていることも
日々感じています。5年経った東北で
それが感じられる場所にいられるのは
僕には貴重な体験です。


震災から5年の節目ということで、
今の一代さんが感じていること、
女将として大切にしていることを
聞きました。普段つなかんで、
お客さんやスタッフに一代さんが
話していることでもありますので、
つなかんの紹介にもなればと思います。


【2016年3月11日、菅野一代より】

日頃より、つなかんをご利用頂き
誠にありがとうございます。
日頃の感謝の気持ち、つなかんの魅力や
大切にしたいことを、改めて
お伝えしようと思います。

・震災から5年
「津波が私に第二の人生を与えてくれた」

震災前は、牡蠣の養殖が私の仕事で、
牡蠣を剥いて出荷したら、明日の準備を
して、また牡蠣を剥く。その繰り返しで
うちの牡蠣を食べてくれる人の顔を
見た事がありませんでした。

つなかんでは、
目の前で「美味しい!!」
牡蠣を食べて笑顔をくれる
お客さんと出会うことができます。
私たちの仕事は
「こんなに喜んでもらえるんだ。」
と直接わかるので、こちらが
感動してしまう毎日を過ごしています。

津波のことは、今思い出しても
涙がでるような苦しい体験でした。
ただ、震災が起きなかったら
出会えなかった人がいて、
感じることができなかった
ことがあるのも事実です。


唐桑に来てくれる皆様のおかげで、
津波が私に第二の人生を与えてくれたと
今は思えるようになりました。
本当にみんなから優しくしてもらい、
助けてもらいました。これからは
私がその気持ちを返していく番です。
唐桑で美味しい牡蠣をつくり、
皆様をお迎えすることが、
私のこれからの運命だと思っています。


・つなかんの魅力
「唐桑での生き方を伝えたい」
 
沢山泊まる場所がある中からつなかんを
選んでくれたお客さんに「ここにきて
良かった。」と思ってもらえるためには
どうしたらいいか。毎回お客さんと
接する中でそのことをずっと
考えてきました。そこで見つけた答えは
「私たちが唐桑でどう生きているのか」
というのを見てもらったり、話したり、
感じてもらう、ということでした。
例えば、冬のシーズンはずっと
牡蠣剥きをやっていました。
朝、お客さんが帰る時にはつなかんで
挨拶ができない代わりに、工場に寄って
帰ってもらっていました。

つなかんでは奇麗にお化粧して
「いらっしゃいませ」と上品に
過ごしていますが、工場では鼻水たらし
ながら牡蠣の水揚げをし、泥まみれに
なりながら牡蠣剥きをしています。


おかげで指がこんなに曲がっちゃった。

という様な裏の部分を見せることは
やっぱり勇気がいります。
「恥ずかしい、大変、汚いから」と
隠したくなるようなことでも
「海でくらす人は
こうやって生きているんだよ」
ということが伝わるならば、
見て感じていって欲しいです。


唐桑で生きている私たちの姿を
なんの飾ることもなく見せる。
その私たちがつくっている牡蠣や帆立、
他にもある旬の食材を食べてもらう。

「唐桑の食材って最高でしょ!!」
そういうことだと思っています。


ここでの生活は、冬は寒いし、
なにもないしやだなぁ。って
そう思ったらなにもないところですが、
その中で私は楽しんで生きています。


楽しい瞬間にみんなを
巻き込んでいこうと思っています。
そして帰る時には、お客さんもなにかを
感じて、もって帰って欲しいです。





・女将として大切にしていること
「心底わたし、嬉しいんです。」

女将としては「ありがとう」の一言を
大切にしています。「ありがとう」の
一言だけで、来てよかったなと
思ってくれることがあるかもしれない。

「あなたと出会えたことが 
心底わたし、嬉しいんです。」



その気持ちを伝えていきたいです。
常に心底そう思うためには、
「なんの因果でこんっな遠いとこまで
来てくれたんですがぁ!」と
相手のことを考える時間が必要です。
また、自分の体調や精神状態にも左右
されるので結構難しいことなのですが、
これは毎回、自分との戦いです。心から
話すことばは伝わると信じています。


おもてなしの精神は忘れずにいつつも、
お客さんではありますが、
唐桑で一緒に生活している家族の様な
存在だと思って過ごしてもいます。
お客さんだけど一緒に食器洗って、
じゃあお礼にビールで乾杯しよう!



そういう家族みたいな仲間みたいな
関係になれるのもいいと思っています。
一代は一代らしく、そしてお客さんが
自分らしくいられる場所につなかんを
していきたいと思っています。
それはひとりでできないことです。
来てくれたお客さんの協力が必要です。
ここで私たちと一緒に楽しみませんか?
一緒につなかんで乾杯しましょう。





2016年3月11日 菅野 一代

おわり。
読んで頂きありがとうございます。
また、みなさんにお会いできることを
楽しみにしています!




震災直後の話や、
ここでつくっている牡蠣の話は
ほぼ日に載っていますので、
まだ見ていない方はぜひ見てください!

民宿の予約はホームページより
受け付けております。


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