東急東横線の武蔵小杉駅で下車する用事があったつひでに、駅直結の東急スクエア四階の展望デッキに寄ってみる。
ちゃうど東急線の線路の真上に位置してゐるここには、“名車”9000系の側面が、壁に用ゐられているのだ。
しかしその光景に、私はなんとも言へない寂しさを覚える。
電車は、走ってナンボ。
線路を疾走してこそ、値打ちもあり、また輝きも増す。
これではただの、切り刻んだ“骸(むくろ)”のやうだ。
かういふ中途半端とも映る残し方、わたしは好きではない。
眼下の駅前広場では、警察が主催したイベントが行なはれ、仮説ステージでは女性警察官の制服を着た何者だかが、小慣れた作り笑顔とカラオケじみた持ち歌で、冷めたギャラリーを温めやうとしてゐる。
会場内のテントでは、同じ姿の余類が、何かを頬張ってゐる。
彼女たちは、何かを夢見てゐるのだらう。
夢は、“見るため”だけのものだと云ふ事実を、薄々感付いてゐながら……。
ちゃうど東急線の線路の真上に位置してゐるここには、“名車”9000系の側面が、壁に用ゐられているのだ。
しかしその光景に、私はなんとも言へない寂しさを覚える。
電車は、走ってナンボ。
線路を疾走してこそ、値打ちもあり、また輝きも増す。
これではただの、切り刻んだ“骸(むくろ)”のやうだ。
かういふ中途半端とも映る残し方、わたしは好きではない。
眼下の駅前広場では、警察が主催したイベントが行なはれ、仮説ステージでは女性警察官の制服を着た何者だかが、小慣れた作り笑顔とカラオケじみた持ち歌で、冷めたギャラリーを温めやうとしてゐる。
会場内のテントでは、同じ姿の余類が、何かを頬張ってゐる。
彼女たちは、何かを夢見てゐるのだらう。
夢は、“見るため”だけのものだと云ふ事実を、薄々感付いてゐながら……。