支那疫病の世界的感染によって人の動きと産業が抑制された結果、世界中の大気が浄化傾向にあるとの調査結果、ありける。
平常時ではニンゲンに解決出来ない難題が、皮肉にも異常時に疫病が“正”へと解決する──
忌ま忌ましいことだが、これが事實にて候。
さういふ意味では、首都圏鐵道も“元凶”がほとんど除かれた結果、運転見合はせや遅延が明らかに減少した。
なにより一番の効果は、街中からムダな異國人旅行團が駆逐されたことだらう。
幕末の尊王攘夷派も、今頃はさぞかし草葉の陰で莞爾と……、
と言ひたいところだが、為政者の自宅軟禁政策により、浮世に居場所が無いと思しき自國民が、徒党を組んで郊外などの町なかを徘徊してゐる由。
だうもこの輩が、「観光公害」の二代目になりさうだ。
但し、これらに限り「お気の毒な結果」となれば、いよいよ“浄化作用”は証明されることになる……?