迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

てつみちがゆく──“小田鈍”ブランドを確立せよ。

2018-03-17 20:42:06 | 鐵路
小田急電鉄が、今日から改正の新ダイヤにやたら気合いを入れてゐる。

営業運行してゐる車両の前面に貼ったステッカーからして鼻息の荒さが感じられるが、沿線住民と大喧嘩を繰り広げながら押し進めてきた代々木上原~登戸間の複々線化をようやく成し遂げ、長年の懸案だったラッシュ時の大混雑と大遅延を本格的に緩和できる──さう思ってゐるからだ。

ほかにも、陳腐なデザインの新型ロマンスカーの投入云々、改善といふよりほとんど新生に近い今度のダイヤ改正だが、私はラッシュ時の大混乱など決して緩和されっこない、と思ってゐる。


どうせ複々線にするなら、いっそ起点の新宿からにしたはうが良かったのではないか、と思ふからだ。


新宿に向かって複々線をそれぞれ走ってゐた優等列車と各停は、結局は代々木上原でひとつの線路を走ることになるわけで、列車本数が膨大なラッシュ時に、既に大問題になってゐる列車の滞留が緩和されるとは、とても思えないのだ。

片側二車線の道路で、事故か工事で片側車線が潰れてしまふと、とたんに渋滞が始まるのと同じ理屈だ。

やはり、優等列車と各停は線路を完全に分離しなければ、本当の緩和はあり得ないと考へる。


それで大成功を収めたのがJR西日本の東海道本線で、私も大阪在住の時代にはその恩恵にずいぶん与ったものだ。


小田急に話しを戻すと、新宿駅は優等列車は地上階、各停は地階と、既に二層式になってゐるのだから、各停用の地階をそのまま東北沢駅まで掘り進めて繋げてしまへばよかったのに、と思ふ。

新宿~代々木上原間の沿線家屋の過密ぶりや、代々木上原で地上に現れる東京メトロ千代田線の問題など、重々承知だ。


しかしなんといっても、かつて沿線の世田谷区民を騙して複々線化工事を押し進め、また東横線渋谷駅なみの地底に排水機能の不充分な下北沢駅をつくるなどの豪腕ぶりを発揮した小田急殿である。

出来ぬはずは、なかったのではないか。


相変わらず、降車客が「黄色いブロックの内側」に入るまで延々と電車を発車させない弱腰ぶりを発揮して、平日の日中にもかかわらず堂々と電車を遅延させてゐる場合ではないのだ。



ちなみに、“新生”小田急につひて沿線在住の知人は、かう言って笑ったといふ。

「混雑が緩和されたぶん、また大勢の人が乗るようになって、結局はなにも変わらないよ」


私も、小田急の独り相撲に終はる気がする。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« よく見れば名所名物にぎやかに。 | トップ | 我が人生の恩人、内田康夫さん。 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。