迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

愉しい哉、生みの苦しみ。

2018-11-20 10:14:17 | 浮世見聞記
「那須与一」で使用する予定の烏帽子を、手作りする。

既製品を購入するテもあるにはあったが、実物を見て、それらしい物なら自分でも作れさうだ、と感じたので、実行する。

実際の烏帽子は現在でも職人の手作り、私が見真似でそれらしい物を手作りしても、同じことだ。

現代手猿楽は私の手作り藝能、装束や道具も、手作り出来る部分はさうしたはうが良い。


材料は全て、百圓ショップで買ひ揃へる。

現在の百キンは本当になんでも揃ってゐので、かうした時には少ない元手で済むので大助かり、便利な世の中だと思ふ。


過去に試作した雛形と照らし合はせ、しょせん素人の哀しさで失敗しながらも糸と針でチクチク縫ふこと、四時間余り。

やうやく仕上がった時の喜びはまた格別、縫ひ物は得意ではないが、嫌ひではない自分に感謝だ。


修羅物は「那須与一」のほか、まだ作りたい曲がある。

ひとつの道具を苦心して作ることで、未来の可能性が大きく拡がる──

それは旧街道探訪で、急峻な峠道を越えたあとの安堵感や開放感とも、通じるものがある。





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