アプリコット プリンセス

チューリップ城には
とてもチャーミングなアプリコット姫がおりました

赤穂事件 知らない噂

2023-03-28 11:53:22 | 漫画


大石内蔵助
「これはこれは」
「大叔父様では御座いませんか」
「久しゅう御座います」

大石 良次
「今回は、難儀であったな」
「如何じゃ、健勝しておるか」

大石内蔵助
「ほとほと、困り果てております」
「打開の道が閉ざされております」

大石 良次
「其方は、京の僧に期待しておるようじゃが
西本願寺にせよ、東本願寺にせよ同様に
幕府の顔色を窺う管理下の者に過ぎぬ」
「金の無駄遣いじゃぞ」

大石内蔵助
「しかし、他に頼る者が御座いませぬ」
「将軍様の温情賜り
浅野赤穂の再興をお願いする為で御座る」

大石 良次
「其方、将軍綱吉様の弱みを握っておるのか?」

大石内蔵助
「それは、世間の噂で御座る」
「儂には、何のことかさっぱり分からん」

大石 良次
「如何なる噂じゃ?」

大石内蔵助
「様々で御座る」
「幕府の秘密であるとか
将軍様の秘密とか」
「面白がっての噂で御座る」

大石 良次
「其方、其の事を利用しておるのか?」

大石内蔵助
「んんゥ」
「他に有効な手立てもなく
藁にもすがる思いで御座るのだ」

大石 良次
「今、左様な噂が広がっておるのに
幕府が、お主を泳がせている意味は
何であろうな?

大石内蔵助
「はい」
「何やら、監視を受けておりますが
直接手を掛けて来る事は御座いませぬ」
「御上は、儂を恐れておるのか?」

大石 良次
「御上が其方を恐れる意味は何じゃ?」

大石内蔵助
「・・・・・・」
「んんゥ」
「儂を恐れる意味・・・」
「噂が出鱈目であれば
儂を捕らえて始末すれば済む事」
「噂が事実であれば
儂を捕らえて始末しても
何らかの物証が残り露見する心配があると・・・」

大石 良次
「左様じゃ」
「噂は事実じゃぞ!」
「そして、その噂を打ち消す為に
其方を始末しても物証が残るのじゃ!」

大石内蔵助
「いよいよ、訳が分からぬ」
「物証とは何じゃ?」

大石 良次
「何であろうな・・」

大石内蔵助
「大叔父様は知っておられるのか?」

大石 良次
「知っておる」

大石内蔵助
「その物証とは
如何なる物で御座る?」

大石 良次
「其方は、知らぬ方がよい」
「其方が知れば、幕府が揺らぐ」

大石内蔵助
「何と!」
「幕府を転覆させるほどの
物証が存在しておるのか?」

大石 良次
「もしも、其方が赤穂城で籠城して
幕府軍を退けたとすれば
その物証が大きな力となっていた」
「しかし、事態は御上に有利になったのじゃ」
「もはや、その物証を開示する事は出来ぬ」
「開示できぬ物証ならば、
持っていたとしても意味は無い」
「更には、其方が知っておく意味も無いのじゃ」

大石内蔵助
「んんゥ」
「歯がゆい」
「儂に付いた噂であるが、
その噂の真相を大叔父は知っておる」
「なのに、儂に付いた噂を儂は知らぬ」
「教えても下さらぬ」

大石 良次
「知らぬ方がよい」

大石内蔵助
「んんゥ」
「せめて、それを利用させて欲しい」

大石 良次
「んんゥ」
「儂は、それを伝えに来た」
「其方は、将軍様を怯えさせる程の秘密を手に入れたのじゃぞ」
「それを大いに利用すればよい」

大石内蔵助
「将軍様を怯えさせる程の秘密で御座るか?」

大石 良次
「んんゥ」
「もしも、其方が籠城しておったら
開示される筈であった」

大石内蔵助
「・・・・・・」
「儂のしくじりであったか?」

大石 良次
「いやいや」
「そうではない」
「もしも、籠城しておったら
そうなっておったと申しただけの事」

コメント
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