アプリコット プリンセス

チューリップ城には
とてもチャーミングなアプリコット姫がおりました

赤穂事件 本願

2023-03-24 11:37:20 | 漫画


寂如 (西本願寺住職。法印大僧正)
「京の町は、寺社再建により豊かに発展しております」
「これも全て、将軍綱吉様の御蔭で御座います」

松平 信庸 (京都所司代)
「んんゥ」
「寺社再建は、
桂昌院様が官位を得る為の事」
「官位を得る為ですぞ」
「取り急ぎ、上皇、天皇様にお願い申し上げる」

寂如
「必ず、官位献上は御座います」
「暫くお待ち下さいませ」

松平 信庸
「もう、暫くとは言っておれんのじゃ」
「儂は、難儀しておる」
「これ以上
上様を待たせる事は出来ませんぞ」

寂如
「東本願寺との調整があってな」
「御存じのように
本願寺本寺は西本願寺ですが
東本願寺が力を付けましてな
西の言う事を聞こうとはせぬ」
「東本願寺は延宝誓詞を先取りしてから
西を蔑ろにしておるのです」

松平 信庸
「その調整には
いかばかりの日数が必用かな?」

寂如
「今のところ、問題は日にちではなく
両寺社に寄付されております
資金分配での折り合いで御座います」

松平 信庸
「んんゥ」
「東と折半できぬのか?」

寂如
「西本願寺は本寺で御座います故
東と折半すれば、反発が御座います」

松平 信庸
「んんゥ」
「では、儂が折り合いを付けるしかあるまい」
「宜しいですか?」

寂如
「僧には欲は御座いません故
西と東で納得のいく分配が為されれば
それで良いのです」

松平 信庸
「ところで、大僧正様にお聞きしたい」
「西本願寺にも
大石内蔵助からの寄付が有りますかな」

寂如
「御座います」

松平 信庸
「いかばかりか?」

寂如
「今のところ、五十両程だと思いますが」
「如何為されましたか?」

松平 信庸
「左様ですか」
「内蔵助は吉良家との仲裁を求めているのでしょうか?」

寂如
「そうかも知れぬが
違うかもしれぬな」

松平 信庸
「内蔵助は儂にも願出ておる」

寂如
「では、内蔵助は
東本願寺にも寄付をしておりますな」

松平 信庸
「それは、存じ得ぬが
おそらく、方々で願い出ておるものと思います」

寂如
「んんゥ」
「済まぬが、この事は内密にお願い致したい」
「東本願寺の寄付金が分かると
それと比較して騒ぎ出す者が現れますでな」

松平 信庸
「左様ですな」
「承知致した」
「しかし、大僧正様には欲は無いと申されるが
寄付金の分配には気を使われる」
「一体、何方が本当の御心で御座いますか?」

寂如
「本来、西も東もないのです」
「同様にして、分配金も必要はないのです」
「本来は、必用ない資金ですが
本願寺は朝廷と幕府の間にあり
本願寺は、朝廷と幕府の共通の神仏の廟となったので御座います」
「朝廷は権威を有し、幕府に権力を与えております」
「幕府は、朝廷との綱渡しに寺社を使っております
大僧正は、朝廷と幕府の綱渡し役になっております」
「ですから、大僧正には欲はなくとも
分配金には気を使う必要が御座います」

松平 信庸
「左様で御座いますか・・」
「では、本願とは如何なる事で御座いますか」

寂如
「本願が叶えば
西も東も御座いませんよ」
「本願が叶えば
貧しき者も富める者も
卑しき者も高貴な者も
悪しき者も善なる者も
全ても者が極楽浄土に行く事ができるのです」

松平 信庸
「本願を叶える方法を
お教え下さいませ」

寂如
「本願を他力で叶えるか
自力で達成するか
世を捨てて、苦行するか
中道の道を歩むか」
「大僧正に委ねるか
道を見失い、地獄に落ちるか」
「それは、全て自己責任」
「大僧正に全てを託すのです」
「それが、極楽浄土への最も近い道のりなのですよ」

松平 信庸
「儂は酒井忠清の娘を正室としたため、
儂は、そして我が藩は、
上様から疎まれ、過酷な状況で御座います」
「このままでは、
京都所司代を勤め上げる事は困難になっております」

寂如
「知っております」
「大変な苦境にあることは
知っておりますよ」
「しかしね、
貴方には、この困難を耐え
切り抜ける力が御座います」
「先ずは、桂昌院様の官位献上で御座います」
「其の為には、
本寺と東本願寺との折り合いを付ける必要が御座います」
「本願を叶えるためには
莫大な資金が必用なのがお分かり頂けましたか?」

松平 信庸
「・・・・・・」
「ちょっと待って欲しい」
「幕府は、もう十分に資金を使っておりますぞ」
「まだ、必要か?」

寂如
「僧には欲は御座いません」

松平 信庸
「欲はなくとも、資金は必要とな?」

寂如
「大僧正は朝廷と幕府の綱渡し」
「そして、京都所司代は幕府と朝廷の橋渡し役」
「大僧正の綱は頼りない
貴方様は橋で御座います」
「良いですか、橋を渡るのが正解ですよ」

松平 信庸
「左様か・・」
コメント
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