アプリコット プリンセス

チューリップ城には
とてもチャーミングなアプリコット姫がおりました

第九章 信長公の深き考え

2016-01-11 10:23:56 | 漫画


エゾンベラ国から脱出したチューリップ王は
武智世を信長公の下へ送り届けた。

信長公
「でかしたぞ!強運だ!
信玄は撤収したぞ!」

信長公
「遠路難儀であったな!
丁度よい、チューリップ王よ
其方の国やエゾンベラ国はどのようじゃ!」

チューリップ王は武骨な信長公に戸惑っていた。

チューリップ王
「エゾンベラ王は信玄公と同盟を結び
内陸と海から強襲する構えであると聞いております」

信長公
「そうじゃろう!
だかな、信玄は撤収したのだ!」

チューリップ王
「チューリップ国は造船力が増強され貿易で世界の物品を
大量に動かすことが出来るようになると思っております」

信長公
「この日の出国にも水軍はあるが、
世界へ乗り出すほどの造船能力は持ち合わせておらぬ。
其方の国の造船力は世界貿易が出来るほどのものなのじゃな!」

チューリップ王
「実際に、大量の物資を本国に輸送した経緯があります」

信長公
「戦国の世も終わりを告げそうな時期であったが、
そこへ、エゾンベラ王がしゃしゃり出てきおった。
奴は、信玄と結託して戦国の世を続けさせるつもりだ!
滅ぼさねば、滅ぼされる親子の情も無い非情の時代なのじゃ!
武智世よ、其方は岡崎城に帰れ!」

武智世
「では、今川を打ち取れと申されるのですか?」

信長公
「奴らはとっくに逃げ帰ったぞ
岡崎は空城じゃ!」

武智世
「わかりました。信玄とエゾンベラの強襲に備えて準備をしておきます」

信長公
「チューリップ王よ其方の国の貿易で鉄砲を大量に持ち込みたい」

チューリップ王
「残念ですが、私は今チューリップ国を統治できていないのです。
革命勢力が実権を握っており、本国へ帰ることも出来ない状況なのです」

チューリップ王は鉄砲の輸出はしたくなかった。

信長公
「チューリップ王よ鉄砲の入手は絶対命令だ!
無敵を誇る武田の騎馬軍団を一網打尽にしなければ
戦国の世が終わらんのじゃ
頼んだぞ!」

チューリップ王
「しかし、私にはその力がないのだよ」

信長公
「鉄砲の入手は絶対必要だ!
なんとしても大量の鉄砲が必要なんじゃ!」

武智世
「私は、エゾンベラで鉄砲の製造を見てきました!
弾薬と材料は船に大量に入っています」

信長公
「でかしたぞ!
これで、信玄の奴を叩き潰してくれるぞ」

信長公は上機嫌であった。





開間臣は武田騎馬軍団に恐れをなして逃げ帰ったことで、
信長公から厳しい処分を受けていた。

一方、日出吉臣は出世頭で知恵者として
信長公から高い心服をを得ていた。

開間臣
「儂は殿を見くびってしまったぞ」

日出吉臣
「開間臣どの、その様なことを他言めされるな」

開間臣
「お主は、殿よりひいきされておるから良いわのぉ」

日出吉臣
「儂はのぉ
殿に深い考えがあって、
その様にしておるのだと考えるがのぉ」

開間臣
「お主は、知恵者だからなぁ」

日出吉臣
「いやいや、開間臣どの
武芸に関しては開間臣どのには敵いませんぞ」

開間臣
「じゃがの・・・
その武芸を棒に振ることになってしまったのじゃ」

日出吉臣
「信長公も開間臣の勇猛果敢な戦いぶりを知っておる」

開間臣
「儂は武田の騎馬が恐ろしゅうて逃げたんではないぞ!
儂は、敵陣に切り込んで討ち死にしようと思っとった」

日出吉臣
「そんなことは分っとる
殿も、分っとって言っとるのじゃ」

開間臣
「だから、悔しいのじゃ
こんな生き恥をさらして生きとうはないぞ」

日出吉臣
「まあ、早まるな」

「殿には深い考えがあると言っておろうが!」

開間臣
「えーい
されば、聞かされい」

日出吉臣
「それはならん」

開間臣
「・・・・・」

日出吉臣
「敵を欺くには、まず、味方からともうすからな」

開間臣
「お前は、いつも抜け目ないのぉ」
「しかし、そのチンドン屋みたいな恰好は何じゃ」

日出吉臣
「ははは・・・・
チンドン屋がこの時代にあったかのぉ・・・」



武智世は岡崎に帰ることなく、
勝余里に人質として取られることとなった。

武智世
「アプリコット! これにてお別れです」

アプリコット
「信長の王様はお城に帰れと仰ったのに?」

武智世
「父上の命令にあれば、従うことが子の務めです」

アプリコット
「武智世さんは、今までエゾンベラの王様に匿われていたのに
今度は、勝余里という方のもとに身を寄せることになるのですね」

武智世
「勝余里は潰しておかねばならぬ、我らが宿敵であるが、
今は同盟を結んでおく必要があるのだろう・・・・」

アプリコット
「でも、エゾンベラのお国であったことが
今度は、そこでも起こることにはなりませんか?」

武智世
「今度は、死を覚悟している」

アプリコット
「そんなに簡単に死んではだめよ
私も一緒に行ってもいいかしら」

武智世
「死ぬのは大殿様がお決めになる」

アプリコット
「そう、武智世さんのお父様が時期を見て
決断を下すというのですね」

武智世
「アプリコット! あなたは優しい人だが
戦国の世には生きられない。
私は大殿に天下を取らせるために死にに行くのだ」

アプリコット
「やっぱり、私も一緒に連れて行って下さい。
勝余里候にもお目にかかりたいわ」

武智世
「やめておけ!
勝余里は戦好き、策略好きだ
其方の優しさなど通用する相手ではないぞ」

アプリコット
「乱世は人の心まで乱してしまうのですね」



武智世
「信長公の嫡男、武智世にございます」
「これより、勝余里様のもとで忠誠を誓い
人質として過ごしていく覚悟にございます」

信玄公
「儂は、信玄じゃ」
「其方は、大切な大殿様の嫡男坊であろうが
人質などと思うでわないぞ」
「これより、両家は親戚となり、
仲睦まじく、そして平和な世の中になっていくのじゃ」

武智世
「身に余るお言葉」
「私も、天下泰平のため
少しばかりの力となれれば幸いにぞんじます」

アプリコット
「私は、チューリップ国のアプリコットです」
「信玄さんは、優しそうな方で安心しました。
早く、争い事が無い平和な世の中になればと思ってます」

信玄公
「おー 其方がチューリップ国の王女さまか!」
「エゾンベラに行っていると聞いとったが
遠路、日の出国に参ったのじゃな」

アプリコット
「武智世さんはエゾンベラのお国で人質になっていたのです。
そして、今度は勝余里様のもとで暮らすことになると聞いて
ご一緒させてもらいました」

信玄公
「どうもよく分からぬが
王女は武智世殿が好きなのでございますかな?」

アプリコット
「私にはたくさんのお友達が世界中にいるのです。
そして、その全てのお友達が私にとって大切な存在なのです」

信玄公
「ははは・・・・
しかし、それは欲張りなことじゃ
恋ざたは一人にめされえ」

アプリコット
「私の愛は神様に捧げたもので
私は愛の化身なのです」

信玄公
「それは、良き心がけじゃ
この国では、その様な女子は仏門に入るのだよ
其方の国にも教会がござろう」

アプリコット
「私は、自分の神様を信じています
私の神様の命じるままに生きているのです」

信玄公
「ほーぉ・・・
其方は教会にも属さず、己の神のみ信ずるのか」

「それは、強い信念よのぉ・・・」

「多くの者は、神仏に救いを求め
祈り、すがるのじゃ
しかし、其方は神にすがるのではなく
自分の信念をもっているのじゃな。
強き女子じゃ」

「武智世よ
この女子は家宝者よ大切にいたせよ」

武智世
「しかし、異国の女子にて
私は女子を選ぶことはなりませぬ
信玄公をはじめ勝余里候の推薦を待ちたく思います」

信玄公
「そうか、良く言うた
天下泰平のため己を我らに託すと申されるのじゃな
見上げた志じゃ」

「儂は戦のない平和な世の中を望んでおる
これは、其方の父親大殿も同じ考えであろう」
「しかし、この戦乱の世において主君に忠誠を尽くし
死んでいった忠臣どもの執念は簡単には解消しないのじゃ」
「武士は己の事よりもお家を守ることを第一に考えるものじゃ
そして、そのためには意地が通されねばならね
主君のためお家のために死んでいった者どもを思えば
天下を納めねば収拾がつかぬものなのじゃよ」

武智世
「心得てございます」
「もし、不忠がございますれば
切腹をお許しください」

信玄公
「これが戦国の世の定めなのじゃ・・・
許せよ」



武智世は勝余里のもとに身を寄せることとなった。

武智世
「信長公より人質として参りました武智世にございます」

勝余里
「良く参られた、儂が勝余里じゃ
信長公は健勝でございましょうな」

武智世
「今回の、戦で大きな損失を受けたゆえ、
わたくしは和解の使者と思うております」

勝余里
「では、信長どのに申し付けておいてくれ」
「この勝余里、其方たちが思うておる程愚かではない
人質は時間稼ぎにすぎぬことと承知しておるとな
我らが撤退した隙に鉄砲を大量に集めて反抗に及ぶは明白であると」

武智世
「なぜ大殿をお疑いになりますか?」

勝余里
「日の出国には二人の王は必要ないのじゃ
必ず一方が勝利し、一方は滅びる運命じゃ」

武智世
「では、大殿も勝余里様をお疑いになりましょうぞ」

勝余里
「ほーぉ なぜじゃ」

武智世
「勝頼様は武具を付けたままでございます」

勝余里
「これは、失礼仕った」
「儂の恰好は戦に行くものじゃのぉ
安心いたせ。信玄公本体は撤収しておる」

武智世
「これはもって、可笑しなことを仰る」
「勝頼様は正面から大殿を迎え撃ち、
本体の信玄公が側面いや、背後から襲い掛かれば
この戦は武田側の勝利にございましょうに」

勝余里
「むむ・・・・」

武智世
「やはり、何かありましたな」

勝余里
「ははは・・・・
それはお主の考え過ぎじゃ」
「武田勢は農閑期に戦をするのじゃ
本体が撤収するのはそのためであるぞ」

武智世
「では、なぜ我らに影武者を合わされたのじゃ」

勝余里
「どうゆうことじゃ?
儂には、お主の言っておることがよう分からんぞ」

武智世
「そうか、それでは、お教えいたそう」
「我らは勝余里さまに差し出された人質であるにも関わらず
信玄公に合わされた。
不自然だと思うのは当たり前でござろう」

勝余里
「不自然ではなかろうが」
「お館様直々にお会い頂いたのである
これは、信長殿に対する情けだとは思わぬのか」

武智世
「そうは思わぬ」
「武智世は信玄公の影武者と合ってきたのじゃ」

勝余里
「くどいぞ!」
「少々、無礼が過ぎるとは思われぬか!
口を慎め成され」

武智世
「んー 申し訳ござりませぬ」
「武智世 得心が行かぬ故
勝余里様に不快な思いをさせてしまった」

勝余里は武智世を少し見くびっていたことに気が付いた。
こんな、子供にも内情が漏れていたとすれば
信長は更なる備えをしているであろうことが推測されたからである。



穴熊勲は信玄公に古くから使える重臣であるが、
勝余里とは意見の食い違いがあった。
そもそも、若造の勝余里に従うことが気に入らなかった。

勝余里
「信長は時間稼ぎに武智世を遣わしたようじゃ」
「儂は敵の裏をかいて退くと見せて反転し、
本隊が挟み撃ちすればよいと思うとるぞ」

これは、武智世が口走ったことであるが、
勝余里も同じことを考えていた。

穴熊勲
「それはならん」

勝余里
「では、穴熊勲は予の命令には従わぬと申すのか」

穴熊勲
「お館様の大事に御座るぞ、
ここは一旦退いて体制を整えて再度攻め込めばよいのじゃ」

勝余里
「今は、儂がお館様の代わりに軍を統率している。
命令に従わぬは軍規に触れますぞ」

穴熊勲
「お館様は、退くように申しておったぞ」

勝余里
「いや、お館様は攻めよと申されたのじゃ」

穴熊勲
「勝余里殿の勇猛さはわかっておる、
しかし、お館様を戦場に残しておくわけにはいかぬ」

勝余里
「信長は我らに異変ありと気付いておるぞ」
「戦う気が無いのであれば、ぼやぼやせずに
速やかに行動せよ」

穴熊勲
「そうじゃ、ぞうじゃ
信長の追撃も警戒せねばならんからのぉ」

勝余里
「おい、しんがりを予にさせるつもりか」

穴熊勲
「めっそうもない、儂の軍がしんがりじゃ」

勝余里の戦略は重臣の反対で実行されることはなかった。



開間臣
「儂は軍議に出るのが嫌になったぞ」

日出吉臣
「まあ、軍議というよりも宴会みたいになっとるからのぉ」

開間臣
「先代のころには絶対になかったぞ」

日出吉臣
「開間臣どのは先代からの家臣でござったのぉ」

開間臣
「先代は、軍議の席で、
皆のものの前で恥をかかせることは
絶対にござらなんだ」

日出吉臣
「今度の軍議でも開間臣どのへのお戯れがござろう」

開間臣
「儂は病気だと言って休もうかと思うぞ」

日出吉臣
「大殿様のことであるから、
其方の部屋に押しかけてこようのぉ」

開間臣
「むむむ・・・やはり無理じゃのぉ」
「日出吉どのにお願いじゃ
大殿様がお戯れの理由をお聞かせ願いたい」

日出吉臣
「この前は理由を教えなんだのぉ
まぁ 少しなら教えても支障はあるまい」

開間臣
「そうか、はよ教えよ」

日出吉臣
「信玄は何故強いと思うぞ」
 
開間臣
「まぁ 理由は色々あろうのぉ」

日出吉臣
「でわ、信玄と勝余里が決闘すれば
どちらが勝つと思うか?」

開間臣
「まあ、ようわからんが、
勝余里かもしれんのぉ」

日出吉臣
「そうじゃろうが!
これが答えじゃ」

開間臣
「???」

日出吉臣
「浮かぬ顔をしとるのぉ」
「分からぬか?」

開間臣
「んー では何か
先代と信長様を引き合いに出しておるのかな」

日出吉臣
「いや、違う。そうではござらん」

「勝余里は信玄には成り得ないのじゃよ。
武田の武将どもは信玄のために命を捧げて
戦こうてきたが、
勝余里のため命を捧げようとは
思うておらん。
しかしのぉ
決闘をすれば勝余里が勝つかもしれん
そういうことじゃ」

開間臣
「ちと、待ってくれ
これとそれは何の関係があるのじゃ?」

日出吉臣
「実わのォ
大殿様は信玄のようにも、勝余里のようにも
なりたいのじゃよ」

「例えば、今、仮に信玄が死んでしまったとして
勝余里に従うものがどれ程いるのかのォ」

開間臣
「武田の武将どもは若い勝余里を馬鹿にするかもしれん。
そう言いたいのじゃな」

日出吉臣
「その通りじゃ
信長さまは、お主を見せしめにして
信玄に注がれるような絶対的な忠誠心を
植え付けようとなさっているのじゃよ」
「それから、勝余里のような若さと実行力
戦略、知恵を兼ね備えようとなさっているのじゃ」

開間臣
「なんじゃ、儂は見せしめにされとるのか」
「なんじゃ、そんなことか」
「んーーーーーー」
「ところで、大殿の深き考えとは何じゃ」
「教えてくれんかのぉ」

日出吉臣
「それは秘密じゃ」

開間臣
「お主、たしか前に
敵を欺くには、まず味方からなどど申しておったが」

日出吉臣
「そうじゃ、
だから秘密なんじゃ」



撤収した武田軍は緊急軍議を開いていた。

勝余里
「信長は城下の検問を開放して自由に人の出入りを許している。
その自由な市場が商業活動を活発にして多くの富を生み出しているのだ」

穴熊勲
「その富は、いずれ我らのものになるのだから良かろーぞ」

勝余里
「そうはいかぬのじゃ。
信長に集まる富は武力増強に使われ
信長の力は増強されていくことになる」

穴熊勲
「よく考えてみなされ、
我らの間者は自由に信長領内に入れるのじゃぞ!
やつらの企みは全て筒抜けじゃ!」

勝余里
「そのようなことを危惧しているのではないぞ!
信長に猶予を与えては機を損じると
申して居るが分からぬか!」

穴熊勲
「分からぬのー
時間稼ぎをすれば強くなるのであれば
我らは更に強くなれば良いじゃろーが」

勝余里
「信長は武智世を人質に出している
この武智世を盾にして正面から責め立て
裏手から総攻撃を仕掛ければ
我らが勝利であろーが」

穴熊勲
「それは武士道に反するぞ
人質を盾にして正面からせめるなど
武田のお家に泥を塗る卑怯な戦法じゃ」

勝余里
「では、穴熊勲に聞こう!
お主の戦略は何ぞ」

穴熊勲
「決まっておろーが
我らが最強の騎馬軍団で
信長など泡を吹くて逃げ回るぞ
見ておれ、正面から堂々と攻め伏せてやる」

信玄公?
「いずれにしても、今から再び戦に向かうことは敵わぬ。
戦費、兵糧も計算して、今年の作付と収穫を待ってから
再び軍議を開くがよいと思うぞ」

勝余里
「それでは手遅れじゃ!
お館様は直ちに攻め上がれと申しておったのじゃ」

穴熊勲
「勝余里どのの勇み足じゃ
こんどの戦で皆疲れておる。休養が必要だと思わぬか」

勝余里
「思わぬ!
今から直ちに出兵するのじゃ!
今を逃すと勝利が逃げてゆくぞ!」

信玄公?
「もうよい、今回はこれにて軍議を終了しよう」

穴熊勲
「そうじゃ そうじゃ
皆疲れとるのに、これからすぐ出兵など出来ぬぞ」

勝余里
「疲れておるは敵も同じじゃ
予はお館様に代わって武田の統率を任されておる
今攻めるはお館様の命令ぞ」

穴熊勲
「お館様は退き、静かにしておれと申していたのじゃ」

勝余里
「静かにしているのであれば
何のために攻めあがったのじゃ
全てが無駄であろーが」

信玄公?
「もうよかろーぞ」

穴熊勲
「来季じゃのー」

ここでも勝余里の戦略は実行されることはなかったのである。



アプリコットは信玄さんに会いに行った。
信玄さんなら話を聞いてもらえそうな気がしたからです。

アプリコット
「信玄さんこんにちは」
「今日はお話をしたくて会いに来ました」

信玄
「おーおチビちゃんは、この信玄公が怖くないのかな?」

アプリコット
「今までお会いした方の中で一番話を聞いてくれたのが
信玄さんなのです」

信玄
「おチビちゃんは、この信玄とどんな話がしたいのかのぉ」

アプリコット
「織田のお殿様も、武田のお殿様も乱世を終わらせるために
戦っていると言っています。
乱世を終わらせる方法は戦うしかないのでしょうか?」

信玄
「他に方法があるのかな?」

アプリコット
「私のお父様はチューリップ国の革命勢力に追われて国外にいます。
お王様が申されますには、
革命勢力と戦い内戦になるのを未然に防ぐためと
聞いているのです。

信玄
「チューリップ国で革命がおきたのじゃな」

アプリコット
「この日の出国の戦乱も、ある意味で内戦状態なのだと思います。
戦うのではなく譲歩し合って仲良しになれたらいいと思うのです」

信玄
「まったくその通りじゃ」

アプリコット
「良かったわ!
信玄さんなら分かってくれると思っていました♪」

信玄
「おチビちゃんは優しいのぉ
信玄はこれでも神仏に仕える身じゃ、
戦などしないほうがよいと分かっておる。
しかしのぉ、皆が皆、同じ考えでは無いのじゃよ」

アプリコット
「では、決着がつくまで戦い続けるのですか?」

信玄
「儂が最大限の譲歩をしても治まりがつかぬのぉ」

アプリコット
「それは、信玄さんが別にいらしゃるからなのね」

信玄
「おチビちゃん!
そんなことを言ってはいかん」
「もし、他でそのようなことを申せば
貴方の命はござらん。
信玄は儂一人じゃ他にはおらぬ
絶対に喋ってはならぬ
心得ておれよ」

アプリコット
「私は他の方にお喋りしないわ
信玄さんにだけお話ししたかったのですから」

信玄
「そうか、良く心得ておけよ」



開間臣はお家断絶か、はたまた、
お家取り潰しの危機的な状況になっていたので、
大殿の深き考えは切実な問題であった。

開間臣
「大殿が見せしめにするのは良いが、
お家取り潰しにでもなれば、
家臣どもは浪人じゃ。
儂が切腹するだけではすまぬぞ」

日出吉臣
「だから、申しておろうが
早まってはならぬぞ。
お主は見せしめに合っているのじゃ」

開間臣
「たのむ、武士の情けじゃ
大殿の深きお考えを教えて下され」

日出吉臣
「じつわのー
お主に大殿からの命令が下っているのじゃよ」

開間臣
「おお、何じゃ
儂は死んだつもりで実行するぞ」

日出吉臣
「今度の軍議でお主は厳しいお叱りを受け、
いよいよ、お家取り潰しになることを告げられる」

開間臣
「むぅ」

日出吉臣
「大殿の命令とは
お主がお家取り潰しを受けたときに
大殿に向かって白目を向けて舌を出して
アッカンベーをしながら
『わしゃーお前には愛想をつかしたわい』
と言って退席するのじゃ」
「これが大殿から仰せつかった命令ぞ」

開間臣
「冗談はよしてくれ!
こんな深刻な相談をしとるときじゃ!
お主を見損なったぞ!」

日出吉臣
「いや、冗談ではござらぬぞ
これは、大殿から直に下された命令なのじゃ」
「背けば、お主の切腹やお家取り潰しなどでは済まぬぞ」

開間臣
「では、大殿に直に聞いてみるしかござらぬ」

日出吉臣
「それがよろしかろう」

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