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10次元宇宙 何で陽電子宇宙ではないのか?

2020-10-24 10:25:12 | 理論物理学 素粒子




世の中、目覚ましく科学技術は進歩し様々な不思議が科学的に解明されてきています。
そして、最近では、この世界が10次元であると物理学者が考え始めたようです。
また、10次元での余剰次元はコンパクト化されて観測できないという解釈がなされています。

ここでは、このコンパクト化された余剰次元がもつ性質を解明するにあたり、
不思議な解析接続の数値が整合性を持つための必要十分条件に照らし合わせての考察になります。

⑴式は10次元宇宙が最大限に対称性をもつ4次元宇宙と6次元のコンパクト化された宇宙の
積で表されていることを示している。

⑵式は四次元の空間が最大の対称性をもつ為の制約を示す多様体であり
ここには解析接続にかかわる数値1/12が示されている。

通常、解析接続は微分可能領域が複素数に拡張されて整合性が保たれているが
実際の物理に意味のある数値は実数のみなのだ。
では、複素数をどうやって実数にするかといえば絶対値の二乗にすればよいのです。
とりあえず、意味のある数値を得るための条件は二乗することが示された。

では、実数だけであらわされている解析接続はどうすればよいだろうか?
一見、そのままで良いと思うかもしれませんが、実はそのままでは整合性が
保たれないのです。
⑵式の 1/12 は、この値に相当する。
この1/12に整合性を与えるためには、余剰次元のコンパクト宇宙に制約が必要であり
この制約がなければ整合性は得られません。
言い換えれば、この整合性を得るための必要十分条件が
コンパクト化された余剰次元には必要なのだ。

しかし、恐れる必要はありません。この解釈は非常に簡単であり高度な数学は必要ないのだ。
むしろエレガントな洗練された数学よりも泥臭い地道な解釈の方が優れている。
高度で洗練された数学の陰に隠れている重大な性質なのだ。



aは1+1を無限に繰り返す数列の和である。初項が 1で全ての項が1、項数が ∞なので
a=∞が成り立つ。
通常、物理学でこのようなタイプの無限大を扱うことはないが、他のケースでは理論的に意味のある無限大が現れることがある。そして、この意味のあるタイプの無限大を物理法則で使えるようにするためには繰り込みと呼ばれる操作が必要なのだ。

繰り込みは素粒子物理の様々な計算様式に現れるが、実際問題として繰り込み可能な方程式が無ければ
何も計算することはできない。言い換えれば、無限大には様々な種類があり、一概に∞=∞とは言えないのである。

ここでは、泥臭く10次元時空を解析していくために、通常は使うことが無い上図式を基本にして考察する。この数列の和が最大に対称な4次元空間の基本形となる。

最近の研究で超弦理論の解は無限に存在しており、異なった種類の宇宙が現在進行中で無限に生まれているとする解釈が一般化している。すなわち、超弦理論には説明能力が全く無く何も新しい事は示さないことが証明されたのだ。

ここでは一般論よらず、定められた初期条件を持つ唯一の宇宙が生成されることが示される。
何故、超弦理論の解は無限に存在しているのか?
何故、定められた初期条件であれば超弦理論の解は決定されるのか?
この疑問はエレガントで美しい数学では説明できない。ここからの泥臭く地道な作業によって解析されるのだ。




aの値は∞であり、一般的には意味をなさない。そこで、意味がある数値を得るためには無限大を打ち消す必要があり、この技法が繰り込み操作なのだ。

図式から a-a により無限大は解消されるが、少し変な細工がなされている。-aの数列の和が壱項分だけ右にずれているのだ。当然ではあるが、出てくる答えもずれており、 0=1 、a=a+1 である。
実際は繰り込みが正しくなされる条件があり、やみくもに無限大を打ち消せばよい訳ではないが、この数列の和の関係式が基本形になる。

⑵式に記されている 定数1/12 は超弦理論から導かれた数値であるが、ある意味特別な数値と言われている。これが解析接続により最も単純で基本的な繰り込みで算出される数値であるからだ。従って、理論を一般化するためには 定数1/12 の数列の和を繰り込んでも矛盾が生じないような操作が重要であることが分かる。矛盾を放置したままで超弦理論の解を求めれば矛盾を含む間違った答えになるのだ。

超弦理論から得られる解は無限にあり現在進行形で無限に生成されている。この生成は答えが増え続けているだけではない。実際に異なったタイプの宇宙が現在進行形で無限に生まれていることを示している。
これが超弦理論の解であり、この解からは何も予測できない。困ったことに何も予測できないばかりではなく、間違った解釈が横行する結果となるのだ。何が間違っているのかは明らかだ。解析接続で示された
数値 1/12 が矛盾を秘めているのに放置されているからだ。

この矛盾を解消するためにはコンパクト化余剰6次元空間の性質が重要であり、この数値 1/12 に秘められているコンパクト空間が必要十分条件を満たしている必要があるのだ。



1を無限に足し合す数列の和を壱項分ずつ右にずらして、数列の和を無限に足し合わせる。無限に足し合された数列は1,2,3,4・・・・∞となり後になるほど大きくなる。
∞a=∞であるが、この数列の和が解析接続によれば ー1/12 なのである。

超弦理論から導かれた最大に対称な空間にも、定数1/12が含まれており、数学と物理の不思議な融合性を示唆している。ここで考えるべきことは、無限大の扱いと、解析接続の値ー1/12に含まれる矛盾である。
無限大に関しては必ずしも∞=∞が成り立つとは限らない。また、-1/12の値は純粋に最大に対称な空間成分だけで示すことは出来ないのである。

明らかに最大に対称な空間はコンパクト化余剰次元空間が織り込まれている必要がある。コンパクト化された余剰次元空間が最大に対称な空間に規則正しく織り込まれなければ整合性は保てない。この織り込みは厳密に寸分の狂いも許されないものであり、精度は100パーセントである。すなわち、1/∞の狂いも許されないのだ。

織り込みにより、コンパクト余剰次元空間は完全に確定されるされる。確定された余剰次元は寸分の狂いもなく宇宙の初期条件を導きだす。この宇宙の初期条件が数の基本単位であり、宇宙の自然単位でもある。これは、数学と物理の融合であって、美しい数式の競い合いではない。実際の世界は物理的であって
いかに美しくエレガントな数式であっても物理との融合がなければ修正を免れないのだ。




前回の続き。
ここでは簡単の為に ∞a=b とする。

bは 1+2+3+4+・・・∞ となる数列の和である。この数列の和をずらしながら足し合わせれば有限数値を得ることができのだが、そこには厳密な規則がある。

図には二種類の繰り込みがある。
 b-4b はとびとびの値を繰り込んでいるのに対して  
-3b-3b は全ての項が繰り込まれている。

ここでは、全ての項が繰り込まれている場合と比較し区別するために、とびとびの値を繰り込む操作を織り込み操作と呼びことにする。織り込みの数列は繰り込みの数列と比較して数列の項数が1/2であるから
∞a=∞a/2である。織り込みを定義する上で重要な事は ∞a=∞a/2 この関係性を満たす意味がある答えを得ることにある。

意味がある答えを得るには、繰り込みと織り込みに整合性を与える必要がある。すなわち、矛盾があれば
解消しなければならないのだ。そして、その矛盾は明らかである。

b=-1/12 は明らかに矛盾している。

本来bの値は無限大であるから、答えが間違っていることは明らかなのだ。この矛盾を解消する方法はコンパクト化されている余剰次元に隠されている。言い換えれば、最大限に対称な空間だけでは説明ができないのである。

コンパクト化が織り込み成分であれば、コンパクト化余剰空間には係数1/2が含まれている必要がある。
そして、この係数1/2に加え、もう一つ重要なコンパクト化に欠かせない成分がある。それは無限大成分である。簡単に表せばコンパクト化によりコンパクト化余剰空間は 1/無限大 を係数に持っている必要があるのだ。





前回の続き。 b=∞a なので、 bの値を1+1+・・・の形に展開すれば図のようになる。通常は
∞≠∞ であるが、今回の縦軸と横軸にある無限大は厳密に ∞=∞ になる必要がある。ただし、横軸は項の数が無限大になるのに対して、縦軸は数列式の数が無限大になるので注意が必要である。

この展開により、 ∞=∞² の関係が織り込み操作に不可欠であることが分かるのだが、これは、図式の
無限大が ∞=∞ の関係にあることによる。すなわち、∞=∞² の関係は織り込み操作が厳密になされるための条件であり、∞=∞ の関係は最大限に対称な空間における繰り込みが厳密に為されているための条件である。織り込みと繰り込みの違いは以前の記述を参考にしてほしい。

色々と注意することが出てきたので整理する必要がある。例えば 1/∞ の扱いであるが物理的にも数学的にも 1/∞=0 であり、それ以上の解釈はない。 しかし、織り込みや、繰り込みが厳密に行われるためには 1/∞≠0 であることを明記しておく必要がある。これは、以前に定義した基本数列の和aの値がa=a+1 を満たすための条件でもある。

また、∞=∞² ∞=∞ は織り込みと繰り込みの違いであるが、繰り込みは最大限に対称な4次元時空による制約であるのに対して、織り込みはコンパクト化された余剰空間である。すなわち、∞=∞² であることはコンパクト化された余剰空間が、ある無次元量に対して1/2乗になっていることを示しているのだ。





基本的な解析接続における解 -1/12 には織り込み成分と繰り込み成分があり、それぞれコンパクト化空間とワイド空間に織り込まれ繰り込まれている必要がある。基本数列の解 a=a+1 より、図の数列の和
が横軸項数と縦軸基本数列の解が完全に打ち消し合っている必要がある。これは ∞=∞ として整合性が保たれており、コンパクト化空間には係数 1/∞ が付く。すなわちワイド空間を ∞ とおけばコンパクト化空間は  ∞/√∞ で表せることを意味している。

数学における整合性のある ∞=∞ は存在しない。 そこで、一旦 ここに出て来た無限大を最大限に大きな無次元量として物理化する。∞→2.3・・・×10の40乗は重力と電磁力から割り出されたワイド空間
で最大の基本無次元量である。

無限大を最大基本無次元量に置き換えることにより、数学的にも物理的にも整合性の保たれた厳密な計算が出来るようになる。織り込みや繰り込みの精度が 1/∞ から 1/(最大基本無次元量) に置き換わることで、厳密で整合性のある次元解析が可能になるのだ。

素粒子物理において理論的に現れる無限大は他の無限大を繰り込むことで計算が可能になつた。しかし、元となる無限大は手付かずであった。厳密で整合性のある理論を完成するにしても 1/∞=0 が定義されていた。超弦理論は寸分の狂いも許されない織り込みと繰り込みが必要であり、1/(最大基本無次元量)をゼロにすれば、途端に破綻するのである。

理論は破綻して意味のない無限の解が現在進行形で生み出され続けることになったのだ。そして、事も有ろうに意味が無い破綻している理論を信じて疑わないのである。これは、難解な数学が人の想像を超えているからだ。繰り込みで無限大がマイナス1/12になっても解析接続されていれば意味を持つ。しかし、
矛盾する答えに整合性を与えるイメージが無いのだ。コンパクト化された余剰6次元空間は織り込み操作によってイメージすることができる。そして、1/∞=0から1/(最大基本無次元量)=有限とすることにより
超弦理論の解は決定されることになる。



ここからは、無限大が存在しない10次元の宇宙を気楽に考えてみましょう。

宇宙が10次元であれば、余分の6次元は何処にあるのだろうか? 
それが内部空間に丸められて小さくなつているとすれば、その存在は内部空間で確かめられる筈です。
原子核内部は直接見ることはできませんが、原子核を破壊すれば内部の情報を間接的に知ることは可能です。内部の深い情報を知る為には強いエネルギーが必要で、粒子加速器で加速される弾丸粒子の運動エネルギーが大きい程 内部の深い標的を見つけることが出来ます。
粒子加速器の運動エネルギーは1 keV の千倍は 1 MeV(1 メガ電子ボルト)、さらに千倍は 1 GeV(1 ギガ電子ボルト)と大きくなっており、最近ではさらに千倍の 1 TeV(1 テラ電子ボルト)にまで加速できる装置も使われるようになってきました。 恐ろしい程の運動エネルギーですね。
これ程のエネルギーを使えば余剰次元が見つかるかも知れないと期待しましたが、結果は思わしく無いようで、今のところ余剰次元の存在を実験で確かめることは出来ていません。

では、無限大が存在しない場合には余剰次元は何処にあるのでしょうか?
今までは余剰次元が小さく丸まって内部空間に閉じ込められていると考えました。これは余剰次元が私たちが知っている宇宙空間と同質のものだという思い込みによる解釈です。この解釈の中には数学的な無限大が含まれています。そして、その解釈によって無限大の異なった宇宙が存在できると結論付けられています。これはある意味当たり前の結論です。なぜならば無限大を含んだ数学を利用して全ての無限大を繰り込みで計算しているためなのです。これは繰り込み操作の特性であって通常の物理計算と同じように考えることが出来ない特殊なケースです。一般的な実験レベルの物理計算は些細な誤差は無視できるのですが、繰り込み計算は誤差が一切許されないのです。厳密に計算しなければ理論は破綻して使い物になりません。繰り込みに問題がある場合には答えが無限大に拡散するのです。
無限大が存在しない宇宙では余剰次元が全ての通常空間に正確に織り込まれていると考えられます。ただ、織り込みの特性から1/2と1/最大基本無次元量の係数が付いてコンパクトに縮められている必要はあります。



余剰次元の織り込みにより解析接続の矛盾は解消され整合性が保たれる。これは無限に続く宇宙空間から有限で限りある宇宙空間に変更する事を意味している。これは、余剰次元の織り込みが厳密に定義され
1/∞ の誤差も許されないからである。もしも宇宙が無限に広がっているとすれば、余剰次元の織り込みから ∞=∞² が定義される必要があるが、この等式には意味が無いのだ。

余剰次元が織り込まれた有限宇宙には無限宇宙には無い性質がある。宇宙の最大基本無次元量は電磁力と重力から割り出された物理的に意味がある定数である。この定数は不変であるから、Aが大きくなればB
も同じ割合で大きくなる必要があります。当然、Cも同様に同じ割合で大きくなります。この状況を全ての位置で同時に観測すれば、図の形状は不変である。

余剰次元が織り込まれた有限宇宙の性質Ⅰ
この宇宙が同じ速度で膨張している場合、観測者にはドップラー効果が時間と共に変化するように見える。これは当たり前である。遠方の過去の銀河は小さな図形の宇宙に存在しており、近くの銀河は大きな図形の宇宙にあるのだ。比較に無限宇宙を考えれば、宇宙の等速膨張は時間に依らないのでドップラー効果は距離に比例することになる。すなわち、等速膨張として観測される。一方、余剰次元が織り込まれた有限宇宙は、あたかも加速膨張をしているかのように観測される。

余剰次元が織り込まれた有限宇宙の性質Ⅱ
余剰次元が織り込まれた有限宇宙はBやCがAと同じ割合で大きくなる。これは、最大基本無次元量を不変にするからである。一方、無限空間の宇宙はBやCの大きさが不変でありAだけが大きくなる。



余剰次元が織り込まれている10次元宇宙には今までの矛盾を含む宇宙には無い多くの性質があり、その性質は超原理論の整合性を無限大の解釈まで拡張した織り込み操作から導き出されている。

余剰次元が織り込まれている10次元宇宙の性質
(ア)は宇宙の半径を表しており、図では1+1+・・・+1の値で数列の和になっている。(イ)は表面の構造を示しており、 (1+1+・・・+1)² である。球の面積とすれば4πを掛けても差し支えない。
(イ)の表面の構造は宇宙の地平面であり内部とは性質が異なっている。この球は光の速度で膨張しており
内部の真空は光に満たされている。これは、内部のフォトンが光の速度で運動することを意味している。
(イ)に張り付いている真空も光速での運動を要請している。ただ、観測者が(イ)にいる場合にはフォトンが質量を持って地平面に張り付いているように見える。観測者が(イ)にいる場合とは相対速度が光速度に有る場合と同じであるから粒子加速器の実験ではフォトンが質量を持っているように見える。これは、電子の数と関連があり (イ) (1+1+・・・+1)² は宇宙の電子数となる。

余剰次元が織り込まれている10次元宇宙の性質Ⅱ
無限の空間による宇宙の不変量と余剰次元が織り込まれている10次元宇宙の不変量の違いについては以前述べたとおりです。この不変量の違いより、無限の空間による宇宙は宇宙の大きさと年齢は一致する必要があるのに対して、余剰次元が織り込まれている10次元宇宙は宇宙の大きさと年齢は一致しないのである。宇宙の大きさは出来るだけ近い距離にある銀河のドップラー効果から算出される必要があり、これは
電子の重力軌道半径に一致している。すなわち最大基本無次元量に関係する大きさである。また、遠方銀河のドップラー効果は宇宙の年齢に依存している。




B/Dは最大基本無次元量の4乗根になる。Bは古典電子半径、Dはウィークボソンであるが厳密には補正が必要になる。補正は微細構造定数と電弱相互作用の混合によるもので、Bの境界にある。注意する事として、B/CやB/Dはコンパクト化された余剰空間ではない。あくまでも、これらの空間はコンパクト化された余剰空間が織り込まれているワイドな空間である。

目指すコンパクト化された余剰空間をB/Dから導き出すには、QEDが必要になる。QEDによって余剰空間は 1/log(C/D)を係数に持つことになる。今までの織り込み操作の整合性を全て合わせれば、
1/2 、√ 、1/log(Ⅱ) の三要素がコンパクト化には必要不可欠であることが分かる。

B/Dをコンパクト化した空間の性質は独自の織り込み適合にある。この織り込み適合の違いによってワイド空間とコンパクト空間は異質なものとなっている。この織り込み適合の違いがあるためにコンパクト空間はワイド空間と完全に遮断されているのだ。



最大に対称なワイド空間は電子によって記述される空間であるのに対して、内部空間は陽子によって記述される空間である。通常の陽子はアップクォーク二つとダウンクォーク一つが緩く結合しているが、外部から衝撃(素粒子を高速で衝突させる)を受けると強い結びつきになりπ中間子を放出する。また、励起状態でなくても、量子条件よって陽子はπ中間子の雲を周りに纏っている状態にある。図はπ中間子の雲を赤色で表現している。

陽子がクォーク三つの緩い結合状態であることを述べた。では、何故、緩く結合しているクォークを単独で取り出すことが出来ないのか? これは強い相互作用の性質である、強い相互作用は外部からの衝撃に抵抗して強くなりクオークを強く結合させる性質があり、理論としてのQCDである。ただ、QCDだけでクォークを単独で取り出せない理由にはならないのだ。

ワイド空間とコンパクト化空間には織り込み適合の違いがある。これは、10の40乗の数列に10の20乗の数列が織り込まれている宇宙と10の17乗の数列に10の8.5乗の数列が織り込まれているコンパクト化空間との適合性の問題である。織り込み適合がない二種類の空間には物理的な分断があるのだ。しかし、理論的、数学的には分断はエレガントではないので、何としても連続にしておきたいのだ。本来、分断されている状態を滑らかに結合する方法は無いのだが、数学的には存在している。ただ、これは分断されている箇所を無造作にすり合わせているだけであり、整合性もなく物理的に意味のない答えを導き出すことになる。

もう一つの問題はクォークの三元論にある。クォークが三元論で成り立つ世界に存在しているためには
電磁力も同様に三元論で説明できなければならないのだが、電磁力は二元論的な力である。実際問題として二元論的力を三元論的な力に変換することはできないのだ。しかし、コンパクト化空間が内部空間であれば全ての不合理は解消されるのである。これは、三元論的な力を二元論的な力に変換できる唯一の理論である。逆はできないが、こちらであれば可能である。




クォーク間の色力は三元力で、これは内部空間特有の極めて強い力であり、三元力は核力としての相互的な強い力を良く説明している。クォークが三元論的な力学で作用することで必然的にクォークは分数荷電粒子となる。10次元宇宙は三元論的な内部空間を二元論的なワイド宇宙空間に変換することができる。
ただし、この場合の10次元空間は余剰次元の織り込み空間である。(詳細は上図を参考下さい)

①上図からマイナス荷電とプラス荷電の意味合いは異なる。これは、物質と反物質の存在が最大限に偏っている事と関係があるが、それは後で解決する。

②上図から電子や陽子が分数荷電になっているが、この分数は両方に3/2を掛け合せれば消すことができる。ただし、この分数荷電は分荷電として残しておきます。これは分荷電を使うことによってクォークの特徴である分数荷電が整数化される事と同じ意味をもつ。

③クォークの荷電が整数化されると標準モデルは修正を余儀なくされる。分荷電によってクォークの荷電の制約が解かれると存在しない新しい粒子の存在が予言されてしまう。これは標準モデルが根本的に改正される必要性があることを示唆している。

④上図の2dの意味は何であろうか? 2dは内部空間には存在せず、ワイド宇宙空間に存在している。これは、内部空間が三元論的であり、ワイド空間が二元論的であるための構造的な特徴から必然的に説明できる。ワイド空間の地平面は光速度で膨張しており1/∞に収縮している。実際は1/(2.3×10の40乗)に収縮することによって宇宙の地平面の基本領域は遠方から宇宙の中心内側に移動している。すなわち、宇宙の異なる二点は内部で重なっている必要があるのだ。そして、これが2dの意味である。



10次元宇宙はワイド空間と六つのコンパクト化した余剰空間で構成されている。織り込み操作による制約から余剰次元の無次元量は決定しており、コンパクト化した余剰次元は三次元の余剰次元の内部に分離した残りの余剰三次元が入り込んでいる。(上図を参考にして下さい)

内部空間は三元論的な世界で三色の強い相互作用をするクォークで構成されている。電磁力においては、三元論によりクォークが分数電荷を持つことが予想され、バリオンの標準モデルは構築された。三元論的な力が強い相互作用を良く説明できるのに対して、電磁力における三元論は近似値的であり正確ではない。これはクォークの分数電荷を直接見ることが出来ないためであり、クォークの質量に大きな食い違いがあるためだ。これは強い相互作用が三元論的であることに対して、電磁力は二元論的であるために生じている。

ワイド空間は電子で記述される宇宙空間である。電子の反物質である陽電子は電子と対等な関係にあり、
ビッグバン理論で対消滅する関係にある。素粒子物理における対称性の破れは見つかっていますが、非常に特殊なケースであり反物質が消え去るような宇宙を説明するには不十分である。

上図に戻ろう。宇宙は物質空間であり反物質は見られない。反物質は何処に行ってしまったのか?答えは
x(エックス)粒子である。このx粒子は反物質粒子である。コンパクト化された余剰空間に反物質は閉じ込められているのである。

三元論に戻ろう。電磁力の三元論は殆ど意味を持っていない。では何故、電磁力を三元論的に考える必要があるのか? これは強い相互作用が三元論的な力であるためだ。電磁力が強い相互作用に統合される必要があるためである。電磁力が三元論的な力であるために、クォークは分数電荷をもつのである。しかし、三元論的な電磁力は前に示したように二元論的な電磁力に変換できた。すなわち、分電荷を使えば
クォークの分数電荷は必要ないのである。ただ、クォークの分数電荷が間接的に確認できたと主張することもできる。バリオンには非常に稀なケースが現れる。このバリオンは電荷 +2/3、+2/3、+2/3 をもつクォークで構成されており、+2電荷をもつのである。

上図に戻ろう。ここで、+1電荷の x(エックス)粒子が現れた。x粒子はプラス電荷の反物質である。そして、物質と反物質の完全なる対称性を満たしている必要があるのだ。バリオンにはマイナス2電荷の粒子は存在しないか、確認できないほどの稀なケースである。しかし、プラス2電荷のバリオンは稀にではあるが存在している。この対称性の破れこそがワイド空間における反物質消滅の答えなのだ。

将軍家綱漫遊記 四

2020-10-10 09:41:58 | 漫画




将軍家綱
「首座殿が佐倉領民に謝る事になった」
「これで、惣五郎との約束も叶ったから
儂はまた旅に出ることにするぞ」

綱吉
「綱吉も連れてってよ」

将軍
「直ぐまた帰ってくるから
良い子にして待っておれよ」

綱吉
「んん」
「早く帰ってきてね」

将軍
「それから、小僧!」

小僧
「へい」
「突然、江戸に呼ばれたので驚いています」

将軍
「お主はこれから儂の代わりに将軍と成れ」
「もし、争いが有れば
家老の指示に従って速やかに逃げることじゃ」
「良いな」

小僧
「へい」
「あの?」
「私が将軍ですか?」
「将軍は何をすれば良いのでしょうか?」

将軍
「城のなかで安全に過ごすことじゃ」
「お主に仕える小姓には何でも言い付けるが良いぞ」
「後は、政務と学問、剣の鍛錬じゃ」
「好きなように過ごせばよい!」

小僧
「掃除や薪き割り、買い物や商品の持ち運びなどは
しないのですか?」

将軍
「そのような事はしてはならん!」
「儂が帰るまでじゃ」
「暫くの間、将軍を楽しめばよい」

綱吉
「ねぇ 綱吉は如何するの?」

家綱
「お前は副将軍じゃ」
「小僧と一緒に遊んでおればよい」

綱吉
「んん 分かった」
「綱吉は副将軍じゃな」

家綱
「では、達者でな!」



家綱
「余は旅に出る」
「後の事は帥に任そうと思うぞ」

徳川頼房
「んんゥ」
「旅にお出になる?」
「如何な事に御座いますか?」

家綱
「余が城に居ると
何かと困ることがあってな」

徳川頼房
「はァ?」
「いやはや」
「それは違いますぞ!」
「逆でござる!上様が城にいなければ我らが困ります」

家綱
「ところで、帥は何故に水戸に帰らんのじゃ?」

徳川頼房
「上様をお守りするためで御座いますぞ」

家綱
「そうか」
「それならば話は簡単じゃ」
「余は水戸に姿を隠すこととする」
「そうすれば、余は安全じゃ」

徳川頼房
「しかし、上様、江戸に将軍が不在となると
難儀に御座いますぞ」

家綱
「それならば、身代わりの小僧を用意しておる」
「小僧が将軍で、綱吉が副将軍じゃ!」

徳川頼房
「上様!」
「そのような事は絶対に為さなぬように
お願い致します」

家綱
「そうじゃな」

「ところで、帥のもとに光国が御座ろう」
「余は光国に会いに行こうと思うが」
「書状を持たせてくれんかな」

徳川頼房
「んんゥ」
「成りません!」
「上様が旅に出ることは
あい為りませんぞ!」

家綱
「んんぅ」
「そうじゃのォ」
「無理には頼まん」
「兎に角、後の事は帥に任す」

徳川頼房
「んんゥ」
「厳重に監視いたしますぞ」

家綱
「監視などするな・・・」

徳川頼房
「駄目です!」



徳川頼房
「上様が水戸に行きたがっておってな
油断すると出て行きそうじゃ」

松平信綱
「左様で御座いますか」
「では、行かせて上げたら宜しいのでは・・・

徳川頼房
「まさか?」
「危険ではありませんか!」

松平信綱
「一人で内緒に出かければ
危なう御座いますから
見張りを付けて
厳重な警護を伴い
移動する方が安心ですぞ」

徳川頼房
「では、儂にお任せ下さい!」

松平信綱
「其方の警護があれば安心じゃ」
「しかし、上様は自由に振る舞われるので
見つからぬように潜んでの警護が望ましいが
お頼み頂けますかな?」

徳川頼房
「おおゥ 上様に分からぬように厳重に警護致しますぞ」

松平信綱
「では、水戸での安全も万全にお願い致します」

徳川頼房
「しかし、何故に水戸に行きたいと申されるのかな?」

松平信綱
「いろいろ、事情が御座いましてな・・・」
「実は儂も
問題が解決するまでは
江戸を離れておいた方が良いと思っておる」

徳川頼房
「上様はご自身の身代わりまで用意しておりますぞ」
「綱吉は副将軍じゃそうな・・・」

松平信綱
「将軍不在は面倒じゃから
上様がお帰りになるまで
その身代わりを仮の将軍にすえておけばよいと思うが・・・・」
「使えそうかな?」

徳川頼房
「なんとも」
「分かりかねます・・・」




徳川頼房
「上様、一緒に水戸に参ろう」
「儂らが上様をお守り致しますぞ」

家綱
「そうか、一人で行きたかったが
仕方がないのォ・・・」
「どれ程が付いて参るつもりじゃ」

徳川頼房
「総勢数百人にはなるかと・・・」

家綱
「目立ち過ぎるのォ」

徳川頼房
「我らは目立たぬように
隠れておりますからご安心下さい」

家綱
「さようか」「では出かけるぞ」

徳川頼房
「上様は何故に光国に合いたいのですかな?」

家綱
「さして理由は無いが気になっておる」

徳川頼房
「ほォー」
「何か御座いましたか」

家綱
「光国は漢学を学んでおるようじゃが
余には価値が分からんのじゃ」
「史書は何か役に立つのかのォ?」

徳川頼房
「光圀はな事情があって家督を継ぐこととなったのじゃが、
光圀には兄がおる」
「兄を差し置いて世子になることに
対して勉学で応えようと思っているようじゃ」

家綱
「ほォー」
「では、兄を差し置いて世子にする意図は何じゃ」

徳川頼房
「んんゥ・・・」
「水戸のお家事情で御座いますので
あまり深く立ち入らないで頂きたい」

家綱
「そうはいかんな」
「その道理ならば余は将軍ではないぞ」
「綱吉が将軍でも良いではないか!」

徳川頼房
「上様!」
「その件は真に恥ずかしきことで御座いますが」
「水戸藩のお家事情で御座いますので
何卒、踏み込んだことは為さらぬように
お願い致します」

家綱
「光国も苦悩の末に
勉学に逃げておるのじゃのォ」

徳川頼房
「・・・・・・」
「上様はこのようにお若いのに
良くお分かりで・・・・」
「老人も太刀打ちできません
お許し下さいませ・・・・」

「しかし、光国は上様とは一回りも年が離れておりますが」
「はたして、話が合いますかな?」

家綱
「光国と論議しても敵わん」
「話は余の年齢に合わせれば良い」
「光国に申し伝えておけ」

徳川頼房
「はッ」
「抜かりなきように・・・・」






町奴 長兵衛
「やいやい」
「こちとら、商売あがったりじゃ」
「火付け盗賊改めなどになめられてたまるか!」

旗本奴 十郎左衛門
「儂しゃもう 奴は止めじゃ」
「もうおめェさんと遊ぶ暇はねェーや」

町奴 長兵衛
「何だてェめェー」
「てェめェーがおらんほォーが
やり易いじゃ馬鹿たれが」
「いまに見てろ
水戸の光国と組んで暴れてやらァー」

旗本奴 十郎左衛門
「光国ねェー」
「やつは使えねェーぜ」
「すっかり改心しちまって
勉学に励んでいるそうな」
「もう阿漕なまねはしねェーから
おめェーと組むこともありえない」
「儂も阿漕は卒業じゃ」

町奴 長兵衛
「なんだ、なんだ」
「すっかり老いぼれちまってよ」
「奴が荒んじゃ江戸も萎れちまァー」
「光国の事はなァ
おめェーが教えてくれたんだぜ」
「水戸の悪党と組んで
阿漕で遊ぶのが粋ってもんだとな」
「旗本奴と町奴が張り合ってよ」
「そこへ水戸の悪党の光国が加わりャー
面白いことになるじャーねェーか」

旗本奴 十郎左衛門
「光国も儂も改心じゃ」
「もう阿漕はせん!」
「今の江戸庶民は牢人がいなくなって
喜んどる」
「今に、奴などただの嫌われ者に成り下がる
改心するには潮時じゃ」

町奴 長兵衛
「あーーてェめェー」
「まさか、由井正雪に言いくるめられたんじャーねェーか!」
「由井正雪はつまらん野郎じゃねェーか」
「あんな野郎になめられて
恥かしくねェーのか!こんちくしょうめ」


旗本奴 十郎左衛門
「何とでも言え」
「儂は阿漕はせん」




将軍家綱
「宿屋に馬が足りぬようじゃな」

農民
「へい」
「今、馬を用意しております」
「水戸より江戸の往来が多くなったからな」
「今回はおらが助郷じゃ」

将軍家綱
「水戸領主は領民の為に満足なる施しを致しておるか?」

農民
「貴方様は誰ですかのォ」
「童っ子じゃが」
「お武家さまじゃ」
「おらは御武家様に従うだけじゃ」
「何も言うことはできないのォ」

将軍家綱
「そうか」
「少々出で立ちが良すぎたようだか
安心して話して欲しい」
「実は、私は淀屋の丁稚小僧なんじゃ」
「小僧と呼んでくれ」

農民
「なんだ、小僧かな」
「おらは、お武家様じゃと思っておった」
「ほんじゃ 話そう」
「水戸の農民はな年貢の他にも助郷があるんじゃ」
「宿場の馬は出払っているから
近くの馬駅に助け馬を用意するのが助郷なんじゃ」

家綱
「農民が馬を用意するのか!」
「では、年貢が低く設定されておるのか?」

農民
「へィ」
「米は四割程なんで助かっとるよ」

家綱
「他にもあるようじゃな」

農民
「畠の課税が六割を超えておるから
合せると五割以上の年貢を納めておる」

家綱
「まだ 他にもありそうじゃな」

農民
「小僧や」
「あまり立ち入るものではない」
「お武家様に目を付けられると
生きてはいけんからな」
「おらたちは死ぬまで働き続けるんじゃ」
「おらの子供も同じじゃ」
「いっそ、子供たちを庄屋に預けようかと思っとる」
「小僧の暮らし向きは良さそうじゃな」

家綱
「農家の暮らし向きを改善する必要があるのォ」

農民
「そうか 
お前さんが大商人になったら
おらたちに援助してくれ」
「あまり当てにはしてないがな・・・・」

家綱
「んんゥ」
「農家の暮らしを良くせねば!」




徳川頼房
「農民と話しを為されましたな」

家綱
「悪いか!」

徳川頼房
「徳川家の権威が御座いますので
話を為さる相手は御選び下さい」
「上様に相応しき者は用意しますから
その者とお話し下さいますように
お願い申し上げます」

家綱
「帥が選ぶ者と話してもつまらないぞ」
「しかし、関所が多すぎる通行の妨げじゃ」
「関所を無くせ!」

徳川頼房
「関所は悪人が江戸に入らぬように
監視する場所ですぞ」
「無くしては山賊やら牢人が
江戸の町に入ってきます」

家綱
「水戸と江戸の間じゃ」
「無くしても たかが知れておる」
「要らんぞ!」
「馬も無駄になる!」

徳川頼房
「うゥ」
「江戸家老と相談してみましょう」

家綱
「早急に致せ!」
「ところで、帥は江戸住まいだから
水戸は参勤もしないのじゃな」

徳川頼房
「徳川御三家として特別な恩恵を
与えられております」
「権威ある者は特別に優遇されるものに御座います」

家綱
「では、余と御三家は何方が格上じゃ」

徳川頼房
「それは、上様に御座います」
「我らは上様に仕える身に御座います」

家綱
「では、朝廷の天皇と余は何方が格上じゃ?」

徳川頼房
「我ら武士は朝廷の勅令をもって
天下に号令をかけることが出来ます」

家綱
「将軍は天皇の勅令に従うのじゃな!」

徳川頼房
「いかにも、幕府は朝廷から権威を託されております」

家綱
「では、朝廷が豊臣方と手を組めば
我らは賊軍じゃな」

徳川頼房
「豊臣方はもう御座いません」

家綱
「光国は如何思うかのォ?」

徳川頼房
「はい、同様に御座いましょう・・・」







徳川光国
「確かに・・
これは父上の消息の書じゃな」
「其方を丁重にもてなすように書かれておる」
「んんゥ」
「其方の年に合わせた話をせよとある・・・・」
「父上は何をお考えじゃ?」

将軍家綱
「暫く水戸で暮らすことになりました」
「お世話になります」

徳川光国
「んんゥ」
「申し訳ない! 儂には良く分からんのじゃが」
其方は何者じゃ?」

将軍家綱
「ただの童です」
「ちょっとした縁で水戸様のご恩を承りました」

徳川光国
「父上の恩人か?」
「んんゥ」
「何故、父上は黙ってお帰りになったのじゃ!」
「さっぱり分からん!」

将軍家綱
「水戸様からお聞きしましたが
世代様は勉学に精通しておられるとか・・・」

徳川光国
「んんゥ」
「儂の事か?」
「ちょっと漢学をな・・・」
「史記はおもしろいぞ!」
「史記を読むには漢文が必要じゃ」


「おもしろいことであれば
童にも教えて下さいませ」

徳川光国
「ああ」
「そうじゃな
見込みがあれば、其方を弟子にしてやるぞ」
「父上の恩人じゃ 遠慮はいらん」


「世代様は西洋の珍しき料理を召し上がると
聞いております」
「童も食してみたいのですが・・・」

徳川光国
「ほォー」
「知っておるのか!」
「南蛮人から手に入れたチーズがあるが
食べてみよ!」


「変わった食べ物ですね」

徳川光国
「大陸からは麺料理じゃ」
「珍しい食べ物じゃぞ」


「童は毎日冷や飯じゃったから
世代様の料理を楽しみにしております」

徳川光国
「旨いぞ!」


「楽しみですね」





伊藤友玄
「水戸の上様直々の恩師にしては小さき童に御座いますな?」
「大事な客人で御座いますから
このような爺ですが何なりと申し付け下さい」

将軍家綱
「其方は水戸領大老じゃな」

伊藤友玄
「はい、水戸の跡取り様の守役に御座います」

将軍家綱
「立ち入ったことじゃが
水戸領の石高は如何ほどじゃ」

伊藤友玄
「37万石で御座います」

将軍家綱
「ほォー凄いのォ」
「流石水戸御三家に御座います」

伊藤友玄
「ははは・・・」
「実は、これは、外向けの宣伝工作じゃ」


「宣伝と如何なことじゃ」

伊藤友玄
「水戸領は幕府御三家として
特別な地位にあってな」
「幕府も認めておるのじゃよ」
「まァ童っ子には分かるまいが」
「水戸城主の外向け宣伝のために
大見得を切って石高を大きく見せかけておるのじゃ」


「では、実際の石高は?」

伊藤友玄
「内緒だぞ」
「実際は28万石じゃ」


「見栄を張っておるのか?」

伊藤友玄
「見栄ではないぞ」
「対外的宣伝工作なんじゃ」
「まァ」
「童っ子には分かるまいがな」
「年貢の租率が四割と対外的に宣伝すればな
いやァー水戸領は領民に優しい城主に恵まれておるなァーと
宣伝になりましょう」
「しかしな、実際は五割以上の租率を負担しておるのじゃ」
「農民共の負担は大きいのじゃ」


「難しい事で御座いますね」
「ことろで、畠は?」

伊藤友玄
「これも対外宣伝工作じゃ
通常年貢は米だけじゃろ
米の租率が四割と言えば聞こえが良いが
実際は加えての畠の租率は六割なんじゃ
畠の年貢は金銀で支払うことになっておる」


「難しい話ですね・・・」

伊藤友玄
「まァ」
「童っ子には分かるまいな!」
「あっはははは」


「水路も作っておるのォー」

伊藤友玄
「水路を作って米の量産をせねばな」
「石高は領地の力じゃ」


「水路は誰が作るのじゃ?」

伊藤友玄
「農民に決まっておろォー」
「水路は農民が使うのじゃ
使うものが作るのが当たり前ではないかな」


「農民は大変ですね」

伊藤友玄
「そりゃ大変じゃわな」






徳川光国
「おお」
「童」
「遠慮なく暮らせよ」

将軍家綱
「その赤い物は何ですか?」

光国
「これはな、西洋から特別に取り寄せたワインという酒じゃ」
「童には毒じゃな」


「ほォー」
「お館様は毒を飲むのか!」

光国
「毒も少しならば薬になるのだ」
「まァ 大変に高価な品じゃ
少しだけ嗜むのが楽しみなのじゃ」


「流石御三家で御座いますね」
「調度品も目を引く物ばかりです」

光国
「おお! 分かるか!」
「西洋の高級品じゃ」
「みな高価な品じゃ」


「お館様は幸せですね」

光国
「そう見えるか・・・」
「実はな、儂は苦しんでおる・・・・」
「童にだけ胸の内を話しておこう」
「儂の母君は正室ではなく、
側室といっても身分の低い者であった」
「父君はそんな母君の子が世継になることを
許さなかったから
生まれたばかりの、この光国を始末しようとなされた」
「本来、儂はこの世にいない存在なのじゃ・・・・」


「そのような過去のこと、お忘れになれば宜しいかと・・・・」

光圀
「そうはいかんのじゃ」
「儂には兄がおる
生まれは同じ母君じゃ」
「それなのに父君は
儂を世継にすると言って聞かんのじゃ」
「儂は兄君を差し置いて
家督を継ぐことは出来ない」
「辞退しても許されない」
「何処にも逃げ場所はないのじゃ」


「きっと、水戸様は
生まれたばかりのお館様を亡き者にする命令を下したことを
後悔して、せめて世継にとお考えなのではありませんか・・・」

光国
「そうではないのじゃ」
「兄君もまた
生まれたばかりの時に殺されかけたのじゃ!」


「んんゥ」
「では、お館様が生まれたばかりの時に
殺されかけたのは嘘かもしれませんよ」
「更には、お館様の母君も・・・・」

光国
「はははははは・・・」
「それ以上申すな!」
「儂が哀れに思えるわ!」


「いえいえ」
「お館様は哀れどころか
水戸様に大変愛されて御座います」
「自信を持たれた方がよろしいかと・・・・」

光国
「儂の兄君は哀れではないのか!」


「なにも、水戸領に拘る必要はありません」
「他の領地を召し抱えれば宜しいのです」

光国
「・・・・・」
「そうよの・・・・・」




伊藤友玄
「童っ子はいつまで滞在なさいますかな」


「まだ暫く此処に居るぞ」

伊藤友玄
「上様の恩人で御座いますから
遠慮はいりませんぞ」
「今日は何をお話し致しましょうかな?」


「此処には白豚やら牛、兎などを飼っておるが
何故じゃ?」

伊藤友玄
「祭礼の供物となります」
「儒教式の祭礼で子龍様がささげものとする為に
飼っております」


「んんゥ」
「子龍(光圀)様が飼っておられるのか?」

伊藤友玄
「はい」
「肉料理は旨きものですぞ」
「子龍様は牛肉が好物ですが
牛乳にも大変興味が御座います」
「牛乳酒など調合し
今はご自分でチーズを作れないかと
試案しておるようです」


「研究熱心なのじゃな」

伊藤友玄
「はい 熱心に御座いますぞ」
「あと、祭礼には鹿や山羊もお供えいたしますから
それはそれは豪勢な肉料理が食べられるので御座います」
「更には、海産物もある」
「他領からナマコや昆布を持ってきて
海に放ち繁殖させております」
水戸の特産品を目指しておるのです」


「牛や豚の飼育は誰がするのじゃ」

伊藤友玄
「えッ」
「儂らは忙しいからとても無理じゃ」
「百姓が当番制ですることになる・・・・」


「村の牧場の世話も当番制なのか?」

伊藤友玄
「水戸領の特産品じゃ」
「水戸の為じゃ」
「まッ 百姓も大変じゃろォーが
水戸様の為じゃ」


「牧場の世話人は肉を食べるのか?」

伊藤友玄
「まさか!」
「百姓が牛肉を食べるなど・・・」


「牧場が大きくなれば百姓も
食えるのかな?」

伊藤友玄
「いやいや、それはダメじゃ」
「特産品は他領に売るためにある」
「百姓に食わしては儲からん!」


「では、百姓には手間賃じゃな!」
「牧場で飼育するのは片手間では出来ぬ」

伊藤友玄
「いやいや、まだ特産品とは言えんのじゃ」
「まッ 百姓は大変じゃろーが
水戸領の為じゃ」


「たまには、肉利用理を振る舞ってやれば
喜ぶと思うが・・・・」

伊藤友玄
「心配無用じゃ」
「百姓はな、水戸様の為だと言って
喜んで仕事に励んでおるぞ」
「特に子龍様の牧場は抜かりがあっては大変といって
夜寝る暇を惜しんで働いております」
「全て水戸様の為じゃ」


「寝ないのか・・・・」




徳川光国
「おい!」
「童は何年何日何時まで此処に居るつもりじゃ」

将軍家綱
「儂が居ると目障りになってきたようじゃな!」

徳川光国
「いくら何でも長すぎるぞ!」
「童っ子にも帰る所が御座ろう!」
「そろそろ帰れ!」

将軍家綱
「身元も知らず帰れと申すか?」

徳川光国
「お前は他領の間者のようじゃ!」
「我が領地の内情を探っておるように見える」
「童っ子じゃと思うて油断しておったわ!」

将軍家綱
「知られては困ることでも有るのか?」

徳川光国
「んんゥ」
「お前の最近の言葉使いは何じゃ!」
「童じゃとしても礼儀がなっておらん」
「儂はもう堪忍袋の緒が切れたぞ」
「叩きだしてやる!」


「そうか」
「では、そろそろ帰るかのォ」
「しかし、儂を此のまま帰せば
お主は責任を問われるぞ!」
「儂は一向にかまわんがな!」

徳川光国
「何を言ってやがんだ!」
「生意気な小僧じゃ!」


「水戸様から託された書状があったであろうが!」
「儂を丁重にもてなすように書かれておった筈じゃ」

徳川光国
「んんゥ」
「そうじったな・・・・」

「ところで、お前は何者じゃ」


「知らん方が身のためじゃ」

徳川光国
「いやいや」
「身元も知らずに追い出すのは気が引ける」
「教えてくれんか?」


「後悔するぞ!」

徳川光国
「そんな、・・・・・脅かさないで下さいよ」


「そうじゃな」
「では、お主の大切なワインを少々
儂にも飲ませてくれんか?」

徳川光国
「おおォ」
「これじゃな」
「いやいや」
「ワインが飲みたかったのか!」
「よしよし、特別じゃぞ」
「飲んだら教えてくれるな!」




将軍家綱
「ニャオーン」
「ゴロ ニャオーン」

光国
「うわァ~ア」
「酷い酒癖じゃ」
「如何しよう・・・・・」


「おい!」
「光国くん」
「旅にでるぞ!」
「御供致せ!」

光国
「旅ってさァ?」
「何処に旅するの?」


「これから助さんと格さんを連れて世直しの漫遊じゃ!」
「儂に続け!」

光国
「世直しって?」
「儂は水戸を守らねばならんぞ」
「駄目駄目じゃ!」


「ケチケチすんな」
「光国くんが来んと面白くないぞ!」
「これより、世直しの漫遊じゃ!」

光国
「しかたがないのォ」
「では、御供致します」
「お手柔らかにお願いしますぞ」


「そうか覚悟を決めたか」
「よしよし」
「これは世直しの旅じゃ」
「光国くんは私欲を忘れ庶民の為に尽くすのじゃ!」
「良いな!」

光国
「しかたがないのォ~」
「嫌じゃけど~しかたがないのォ~」


「では、行くぞ」
「付いて参れ!」

光国
「アッ はい・・・・?」



将軍家綱
「光国くん御供の格さんじゃ」

光国
「えっ」
「この汚い童が格さんなの?」

将軍家綱
「そうじゃ
この子は乞食の格さんじゃー
ニャオーン!」

光国
「おい乞食」
「お前には、てて親は居らんのか?」

格さん
「殺されたんだい・・・・」

光国
「誰に?」

格さん
「言えないよ・・・・」

光国
「哀れじゃのォ」
「儂は水戸の偉い殿さまじゃから
お前のてて親を殺した奴を成敗してやるぞ!」
「誰にやられた」

母親
「きっと言えば殺されます」
「だから言えないのです・・・」
「お許し下さい・・・・」

光国
「んんゥ」
「まッ」
「無理には聞かん」

将軍家綱
「格さんのお母さん」
「格さんを暫くお借りしますぞ
ニャオーン!」

母親
「はいはい」
「どうぞお連れになって下さいませ」
「どうにもこうにも食べさせてはいけませんので」
「ここに残っても飢え死にじゃけェ」

将軍家綱
「母様」
「もしや、てて親を辻斬りしたのは・・・・では
ありませんか?」

母親
「はい」
「そうです」

将軍家綱
「そうか!」
「・・・・は、とんでもない悪党じゃな」

母親
「そのような事」
「口が裂けても言えません・・・・」

将軍家綱
「まっ」
「格さんが親の仇を打ってくれるじゃろー
ニャオーン」

光国
「???」



将軍家綱
「光国くん、御供の助さんじゃ」

光国
「ひィィーー」
「何だっておめェーなんだよ」

助平
「紋所も用意してますぜ!」「悪友」

光国
「おい、儂はおめェーなんか連れていかねェーぞ」

助平
「何言ってやがんだ」
「また、一緒に遊ぼうじゃねェーかよ」「悪友」

光国
「あそばねェー」

助平
「あぁーあ」
「思い出すねェー」
「一緒に遊び歩いたよなァー」
「社会勉強に遊郭通りたァーおつなもの」
「帳簿には名前を並べて光国助平と書いて笑われたっけェーなァ」
「今度は宿帳に光圀の助平と書いてみようかのォー」
「くくくくくぅ 面白そうじゃ!」

光国
「何だよ」
「何でだよ!」
「おめェーなんか知らねェーよ」

助平
「あァーあ」
「昔の光国は如何しちまったんかなァー」
「また、派手に暴れまわろォーぜ」「悪友」

光国
「無礼者!」
「儂の名を気安く呼ぶな!」
「儂を呼ぶときは高譲味道根之命と呼ぶこと」
「絶対命令じゃ!」

助平
「そんなの読めねェーや」
「光国助平で呼び合いましょうや!」

光国
「ぶゥ ひィーーーーー」
「勘弁してくれ・・・・」



光国
「格さんや」
「さっぱりとしてこ綺麗になったのォ」

格さん
「・・・・・」

光国
「格さん?」
「何で睨んでるの?」

助さん
「そりャーそうさ」
「格さんの気持ちになりャー
睨みたくもならァー」

光国
「儂が何かしましたかな?」

格さん
「お主が寝た時ならば・・・・」

光国
「寝た時?」

助さん
「なァ」
「光国ちゃんさァ♪」
「格さんの顔に見覚えがないかい?」

光国
「んんゥ~」
「似ておるな!」
「まさか!」
「なァ~ 格さんのてて親は誰じゃ~?」

助さん
「それは聞かない方が光国ちゃんの為ですよ」
「聞くと怖いよ」
「おしっこ漏らしちゃうぞ♪」
「光国ちゃんも罪作りィ♪」

光国
「おおゥーーーー」
「よいよい」
「無理には聞かん!」
「おおおおーーーーーー」
「南無阿弥陀仏」

助さん
「これから楽しい旅がはじまるのよ」
「何、念仏を唱えてるのよ♪」
「光国ちゃんが寝た時に何か起こるわよ♪」
「早く宿場を探しましょ♪」

光国
「儂は寝んぞ!」

助さん
「夜になるのが楽しみね♪」

将軍家綱
「なァ 光国くん」
「また、ワインが飲みたくなった」
「少し分けてくれ!」

光国
「ひィーーー」
「怪談じゃ!」



光国
「なァ 助さんや」
「何でお腹が大きくなったんじゃ?」

助さん
「やだよ♪」
「あんたの子に決まってるじゃねいの♪」

光国
「よしてくれ!」
「儂は兄君に家督が譲れない」
「だからな」
「兄上の子供に水戸城主となってもらうことにしておる」
「だからな、絶対に子供はつくらんことに決めておるのじゃ!」
「子は処分しろ!」

助さん
「何だい!」
「勝手に決めんじゃねェーよ」
「生まれたら可愛いもんだよ」
「この子を跡継ぎにしたら良いじゃねェーか」

光国
「儂は子供はつくらん!」
「それはよその子じゃ」

助さん
「強がっても嘘はダメよ」
「本当は嬉しいくせして」
「生まれたら何てェ名前にしようかなァ」
「ねェ 格さん名付け親になっておくれよ」

格さん
「親の仇」

助さん
「それはちと困った名前だね」
「まっ 助平にちなんで大助平と名付けるか!」
「大きくなったら光国大助平で呼び合える」
「楽しみだなァ♪」

光国
「人の名前で遊ぶとは罰当たりな!」
「だからな、儂の事は小龍と呼びなさい」
「よいな、水戸の御公の小龍じゃ」
「絶対に光国と呼び捨てにしてはならんぞ」

将軍家綱
「光国くん!」
「せっかく子供が出来て目出度いのに
怒ってばかりいては駄目ですよニャオーン」
「もっと笑って」
「楽しくいきましょうーニャオーン」

光国
「儂には逃げ場がないのか・・・・」

将軍家綱
「今は台風の目じゃ」
「これから暴風が吹くぞ」
「洪水やら地震やらで全ての嘘が暴かれる」
「内乱がおこり、神々が粛清をするのじゃ
沼地の汚い水を抜き取り
腐敗したヘドロが顔を出す」
「今まで人々を欺いてきたヘドロは
神々によって浄化されるのじゃニャオーーーーーン」

光国
「そんなに腐敗しておるのか?」

将軍家綱
「しておるぞ」
「腐れきった者共は
互いに嘘をつき」
「罪なき者を冤罪にして
牢に入れ口封じをするのじゃ」
「特に独裁権力者は恐ろしいぞ」
「儂などは特に恐ろしいぞ」
「よいか」
「神に祈るのじゃ」
「物欲を捨て」
「私欲を捨て」
「食べるものを分かち合い」
「ひもじき者に食を恵むのじゃ」
「よいな」
「これから内乱となり、
経済は大転換をするぞ」
「大都市に近づいてはならん」
「人ごみに紛れておってはならんぞ」
「家の中で慎ましくしておるのじゃ」
「神に祈り
弱き者のために生きるのじゃニャオーーーーン」

光国
「おおおおおゥ」
「恐ろしい!」



「生まれた!」

助さん
「光国ちゃんにそっくりね♪」

光国
「おおォ 儂の子じゃ!」

助さん
「そんなにそっくりな子は他にはいないわよ!」

光国
「おおォ そっくりじゃ!」

格さん
「その子には、父がおってよいなァ」
「うらめしや~」

光国
「おおォ」
「格さん!」
「儂はお主の父じゃ」
「父上と呼べ!」

格さん
「無理してらァー」

助さん
「まだ、その子を捨てる気かい?」

光国
「しかたがないのじゃ」
「兄君の子に水戸を継がせるのが我が使命である」

助さん
「何だよ!」
「私の子を始末するつもりかい!」
「あんたは何処かオカシイよ」
「外ずらばかしじゃネェーか」
「あたしャー頭にきた」
「格さん! 懲らしめてやろうよ!」

格さん
「親の仇は寝た時に仕留める・・・・」

助さん
「あたいも助太刀するからね」
「息の根を止めてやる」

光国
「おおァ」
「あのね」
「暴力はいけないよ」
「儂は平和主義なのじゃ」

助さん
「何を言ってやがんだ!」
「悪友のくせしてよォ」

光国
「あのね」
「儂は改心してお勉強をすることに決めたの」
「大日本史を編纂するという偉業を成し遂げるのよ」

助さん
「そんなことは格さんと一緒にやってやらァー」
「あんたは、おとなしく成敗されることだよ」

将軍家綱
「もう喧嘩は止めるのだ!」
「日本史が知りたいなら教えてやるぞ」
「先ずはモン族のことを知らないとダメなのだ」
「中国の少数民族にミャオ族がいるんだ」
「少数民族のミャオ族は多様な文化と歴史があって、
その中のモン族は大昔に日本に渡って来たのだ」
「モン族はベトナム戦争やラオス内戦で
アメリカ軍について戦い敗戦後
アメリカにも移住しているのだ」
「アメリカに移住したモン族は
文化や言語、教育の問題で
低賃金の工場労働に従事し続けているのだ」
アメリカの低賃金の工場労働は
深刻な人種の問題となっているぞ」
「ウイスコンシン州のミルウォーキーには
州内の黒人の4分の3近くが住んでいる」
ウイスコンシン州のシボイガンは
ミャオ(モン)族が5千人暮らして居り
65パーセント以上が18歳以下なのだ」
多くの若者は低賃金に嫌気をさして
ギャングになった者もおるのだ」
「それからミネソタ州じゃ」
「セントポール市やミネアポリス市は
覚えておくことじゃ」

光国
「日本史はアメリカにあるのか?」

妖怪猫童
「バカ者!」
「今は台風の目じゃ」
「今に嵐になるのじゃぞ」
「備えをするのじゃ」
「嵐の前の静けさじゃ」
「全ての嘘が暴かれるぞ」
「神々は沼の水を抜き」
「底に溜まった腐敗したヘドロを露わにし
浄化しようとしておられるのじゃ」
「呑気に勉学等と言ってはおれんのじゃー」
「神に祈り」
「新しい神聖な世界を渇望するのじゃー」
「ニャオーーーーーン」




猫童
「光国くんは寝ないのか?」
「助さん、格さんは寝たぞ」

光国
「ああ、そうじゃな」
「そろそろ寝るか」

猫童
「秘密を教えれば、
助さんと格さんは寝たふりをしておるのだ」

光国
「まだ敵討ちを企んでおるのか?」

猫童
「助さん格さんは、強く決心しているのだ」

光国
「では、儂も寝ないで起きていよう」

猫童
「お主、自分の子を抱いておるのに
情が移らないのか!」

光国
「お前は如何時代の者じゃ」
「戦国の世から今まで主の心得として
子に情が移ることは許されん事なのじゃ」
「お家を守る事、
武士として潔く生きることが使命じゃ」

猫童
「お家も大切じゃが、家族も大切じゃぞ」
「自分の子が愛せぬのなら
なおさら家族は愛せぬ」
「家族を労わる気持ちが無ければ
お家も廃れる」
「ましてや、城主となる者が
其のようであれば、前途は真っ暗じゃ」

光国
「では、愛せぬものを如何せよと言うのじゃ!」

猫童
「決まっておるではないか!」
「愚か者めが!」
「報いを受けるのじゃ!」

光国
「いやだね」

猫童
「お主が嫌だと言って逃げ回っても報いは受けるぞ」
「何度も言うが
今は嵐の前の静けさじゃ」

光国
「しかしなァ」
「儂は良き領主になると評判じゃ」
「人気者だぞ」

猫童
「良き領主は人気者とは限らん!」
「アメリカの切り札と呼ばれる大統領は良いリーダーじゃが
人気者ではないぞ!」

光国
「・・・・」

猫童
「今世界は三つの精神世界が支配しておる
二つは善良だが、残りの一つは邪悪なのじゃ」
「切り札は複雑に絡み合った策略と陰謀に立ち向かっておるのだぞ」
「これから少しづつ寒くなるにつれて
停電やらサイバー攻撃が心配される」
「準備をしておくのだ」
「十分な食料を備蓄するのじゃ」
「必要な現金は必ず確保しておくのだ」
「無くなってからパニックに為らぬように
嵐が来る前に確保しておくことじゃ」
「嵐が過ぎれば平和が訪れるのだから
それまでの辛抱だぞ」
「切り札は良き指導者じゃ」
「人気者が正しいとは限らんのだ」

光国
「・・・・」
「日本は大丈夫じゃ」「アホらしい」




助さん
「酷いわ!光国ちゃん!」
「これは如何いうことなの!」
「此処、牢屋じゃないの」

光国
「そうじゃ」
「其方たちを処分することに決めたのじゃ」
「かっかかかかっ(笑)」
「其方たちが好き勝手にしておると
儂は落ち着いておれん」
「安心して寝ることも出来ん」
「儂との身分の差を思い知れ」
「だっはははは(笑)」

格さん
「父の仇!」
「卑怯だぞ!」

光国
「殿様の寝首をかくなどという
大それたことをねかしおってからに」
「卑怯なのはお主の方じゃ」
「でっへへへへへ(笑)」

助さん
「気持ち悪い笑い方しないでよ」
「早く此処から出しなさい!」

光国
「いやじゃ」

格さん
「もう勘弁しないぞ!」
「絶対に父の仇を討ってやる」

助さん
「私は格さんの助太刀をするわよ」

光国
「やれるものならやってみな」
「びぇへへへへへへ(笑)」

猫童
「なあ、光国くん」
「もう、お遊びは終わりにして」
「いつものお茶の間の人気者に戻らんか?」
「最近の光国くんは評判が悪いぞ」

光国
「儂は水戸領内では無敵じゃ」
「そして、領外では優しく思いやりがあり
領民に慕われる人気者じゃ」
「かっかかかか(笑)」

助さん
「また、笑う・・・」

光国
「儂の笑いはお茶の間の人気じゃ」
「儂は日本中で皆に愛されておるのじゃ」
「これは全て儂の戦略が旨く機能したからにほかならない」
「全ては儂の作戦通りになつたのじゃ」

猫童
「お主は子供が嫌いなんじゃな」
「しかしな、子も大きく成れば役に立つぞ」
「役立ててみんか?」

光国
「やだね」
「特にお前たちは危険だ」
「あのな、言っておくが」
「役に立つのは危険のない子供たちじゃ」
「おめェーたちじゃーねェー」

助さん
「どうやら、光国ちゃんは宇宙人に支配されたみたいよ」
「光国ちゃん目を覚まして!」

光国
「おい、助平!」
「おめぇーの方こそ宇宙人じゃねェーのか」
「この、おたんこなすのおたんちん」

助さん
「まァーいやなこと言うのね」
「でもね、光国ちゃんは良い人よ」
「頭を冷やして改心してよ」
「此処から出しておくれよ」

光国
「嫌だよ」

猫童
「今、世界中で子供たちが危険に晒されている」
「子供たちの安全を他人に委ねていてはならぬぞ」
「子供の安全を一番に考えるのじゃ」
「囚われの身になってから慌てても遅いのじゃ」
「細心の注意をはらい子供たちを守ることが
嵐の前には必要な事なのじゃ」

光国
「そうじゃ」
「もうお主たちは手遅れじゃ」
「其処からは出られんぞ」

猫童
「お言葉ですが」
「もうすぐ全ての企みが明らかになるぞ」
「そして、多くの子供たちが解放される」
「犯罪者は裁かれる」
「今のうちに改心しておく方が身のためじゃ」

光国
「へッ 何だよ!」
「また、沼の腐敗したヘドロの話かな?」
「もう聞き飽きた」
「つまんねェーぞ」

猫童
「何故故にヘドロが露わになるのか」
「それは、全ての嘘が暴かれるからじゃ」
「沼の水を抜かなければ隠された嘘は見えぬからな」
「これから世界を驚かせる大嘘が露呈するぞ」
「切り札はもうすぐ出される」

光国
「まっ 日本には関係無い事じゃ」
「アホらしい」
「かっかかかかかかっ(笑)」

助さん
「また笑ってる・・・・」




光国
「おおォ」
「そうじゃった。儂の子じゃ」
「こ奴も処分せねばな!」

助さん
「ねェ」
「光国ちゃん」
「こんなに沢山集めちゃって如何する気なのさ!」
「皆で、大声出して暴れちゃうよ!」

光国
「よせ」
「静かにしておれ」

助さん
「じゃあ、此処から出しておくれよ」

光国
「んんゥ」
「ちょっと待て」
「如何するか考える」

助さん
「光国ちゃんが情無しなのは親譲りなのよね」

光国
「んゥ」

助さん
「その子は私(花魁)の子よね」
「実はね、光国ちゃんのお父さん(水戸ちゃん)も
花魁の子がいてね」
「本当はその隠し子が長男なのよ」
「だからね、兄の頼重ちゃんは次男なの」
「家督は頼重ちゃんには渡せない理由があるのよ」

光国
「あのォー」
「では、何で儂が家督を継ぐのじゃ?」

助さん
「決まってるじゃない」
「長男の隠し子を跡継ぎにするためよ」

光国
「えっ」
「では、儂は如何なるのじゃ!」

助さん
「処分されるのよ」

光国
「えっ」
「嘘でしょ」

助さん
「嘘なもんか!」
「花魁仲間では知り渡っているわよ」
「知らないのは、光国ちゃんだけよ」

光国
「父上は、そのような情無しではない」
「立派なお方なのじゃ」
「無礼者!」

助さん
「だってさ、
あんただって自分の子を始末するつもりじゃないかさ」

光国
「これは、兄君の子に家督を譲るだめじゃ」
「お家を守ることが使命なのじゃ」

助さん
「そうよね」
「水戸のおとうちゃんも同じように考えてるのよ」
「お家を守る為に光国ちゃんを犠牲にするの」
「光国ちゃんは処分されるわよ」

光国
「嘘じゃ!」

猫童
「もう喧嘩は止めるのだ」
「おい、光国よ」
「早く目を覚ませ!」

光国
「頭がクラクラしてきた」
「地震でも起きるのか?」
「起きる起きると警戒しておったが
油断しておると足をすくわれそうじゃ」

猫童
「神々が全てを平坦にならしてしまうぞ」
「権力に溺れ人心を蔑ろにして
神に背を向けておれば
報いを受けるのは当たり前じゃ」
「今からでも遅くは無い」
「早く目を覚まして
おはようの挨拶をするのじゃ!」

光国
「おはよう?」





将軍家綱
「光國殿 お目覚めですな」

光國
「貴方様はもしや将軍様ではありますまいか?」

将軍家綱
「いかにも 将軍家綱じゃ!」
「隠しておいて悪かった」

光國
「これはこれは」
「恥ずかしいところを晒してしまった」
「真に此の光國の無礼 お許し下さいませ」

将軍家綱
「いやいや、無礼など有るものか」
「其方、夢を見てうなされておったが
怖い夢でも見たのかな?」

光國
「恐ろしき夢で御座った」

将軍家綱
「如何な夢を見たのじゃな?」

光國
「儂は妖怪猫童の夢を見ておった」
「夢とはいえ恐ろしい出来事であった」

将軍家綱
「そうか」
「夢で良かったのォ」

光國
「はい」
「真、夢であったこ事 安堵致しました」

将軍家綱
「夢から何か得るものが御座いましたか?」

光國
「はい」
「和を以って貴しと爲し忤ふこと無きを宗と爲す」
「篤く三寶を敬へ、三寶とは佛と法と僧となり」

将軍家綱
「其方は学者じゃな」

光國
「いいえ、厩戸皇子の十七条の二文で御座います」
「この事こそが強く意識された教訓であり
光國の目指す処に御座います」

将軍家綱
「さようか」
「儂にとっても天下を治める上において必要不可欠な習わしじゃ」
「悪い夢の中にも未来を光に導く教訓があるのじゃな」

光國
「真、お恥ずかしき事に御座います」

将軍家綱
「儂はこの世は不思議に満ちておると思うが」
「不思議とはいずれ解明されるものなのであろうかなァ」

光國
「光國の興味は日本史にあり、
その分野は疎いので御座いますが
西洋には天文学というものが御座います」
「上様は天文学を学ばれては如何でしょうか?」

将軍家綱
「ほォー」
「天文学か!」
「面白そうじゃ!」