明日の葉っぱ(8×8)=69

思いつくまま 気のむくまま書いてます。

熱き心に 小林旭

2018-05-31 12:17:46 | 僕の音楽日記
心だけ
旅をした記憶。

別に現実逃避した訳では
ないのだけれど…
そして 現実に不満があったわけでも
なかったわけで…

一見さんお断りの店でなければ
ふと
立ち寄りたくなる
そんな
暖簾をくぐって
入りたくなる所があった。

カウンターには馴染みの客が
もう 出来上がった会話の世界で
花盛り。
笑顔の花を咲かせていた。

少し気難しいそうで
インテリっぽい
さほど 大将としての風格がないその店の大将。
常連さんを相手に
ウンチクを戦わせてる。

恐る恐る自分の座れる席を見つけるや
周りを見渡し
店の雰囲気を改めて確かめる。

カラオケも歌えるその店は
いろんなジャンルの人たちや
常連が入れ替わり
その店を賑わせていた。

店の名前は
音楽堂

さほど似合わない店名に
ギャップを感じ
面白さも覚え
暖簾をくぐったのだ。

僕は程なくお通しに手をつけるまもなく
挨拶がわりに好きな曲を入れ歌った。

僕がひとりで寂しく見えたのか
向こうで手招きしてくれている常連さんたちが
いた。
(こっち こっち)
人なつこい笑顔と懐かしい雰囲気に包まれて僕はそちらのテーブルへ向かった。

さっきから気になっていたひとりがいた。
その人は
凛とした強さと可愛い感じと綺麗な感じと
南方系の瞳で時よりうなずきながら
話を聞き、
時より
持論を低い声でぶちまけていた。
少しアネゴ肌でありながら
その実
弱い所もあるそんな感じを僕はその人から
印象として
受けていた。

包み込まれるように
吸い寄せられるように
僕はただ
側で眺めていた。

憧れ
という言葉
の意味に
その時初めて実感した。

その人は憧れ。


そして
その店は僕のお気に入りになった。
時間があれば
足を運び
暖簾をくぐって店内を見回し、その人を探した。
僕が先の時もあり
その人が先の時もあり

話し始めると
話は尽きない
意気投合した。

まるでその時間だけ
旅に出ているかのように
時間と空間を超えた
不思議な時間だった。
心だけ旅をしていたかのように


入れ替わり立ち代わり
人は行き来し、
歌は流れ
目を細めながら
嬉しそうに聴き入っていた
その人の横顔が
大好きになっていった。

一緒に口ずさみ
大きな拍手をして迎えてあげる
全身で喜びを返す
その人の誠意は
横で見ていて
清々しく
気持ちが良かった。


熱き心に…
そう
熱い心が
あの時店内には
充満していたし
みんなが楽しかった。

僕は何より
その人とその店にいるだけで
幸せだった。

ただそれだけの関係だったけど
心が満たされて
癒されて
自分が一番輝いていた時代。
その人と過ごした楽しかった時間。

今はもう
その店に行くことも
立ち寄ることもない



♪熱き心に

北国の旅の空 流れる雲 はるか
時に人恋しく
くちびるに ふれもせず
別れた女 いずこ
胸は焦がれるまま
熱き心に 時よもどれ
なつかしい想い
つれてもどれよ
ああ 春には花咲く日が
ああ 夏には星降る日が
夢を誘う 愛を語る

熱き心に きみを重ね
夜の更けるままに
想いつのらせ
ああ 秋には色づく日が
ああ 冬には真白な日が
胸を叩く 歌を歌う 歌を
オーロラの空の下
夢追い人ひとり
風の姿に似て
熱き心 きみに