徳川家光の治世。幕府は旧豊臣恩顧の大名を取り潰さんと画策、忍者を放ち、取り潰しの口実を仕掛けていた。
こうした幕府の策略に対抗せんと、伊予松山、蒲生藩城代家老(田村高廣)は、かつて忍者と戦った経験のある浪人者(近衛十四郎、佐藤慶、山城新伍、河原崎長一郎)ら4人を雇い、藩内に潜入した忍者抹殺に乗り出す。
これに対する公儀隠密、甲賀忍者たちを率いるは、闇の蔵人(天津敏)。神出鬼没にして、暗殺者としての腕前は天下髄一。容易に倒すは至難の業。
蒲生藩存亡を掛け、忍者たちとの死闘が始まる…。
近衛十四郎さんの目が怖い!人を斬るときの目つきの鋭さ、全身から漲る殺気。本物の刀を持たせたら本当に人を斬ってしまうんじゃないかという、ある種の狂気を感じさせる。
非情にして苛烈。忍者を炙り出すためなら藩士の犠牲も厭わない。一人の忍者を特定するために、他の普通の藩士たちを斬りまくる!
忍者を狩るには、ここまでやらねばならぬのだ!
残酷な物語です。集団と集団の戦いに特化したストーリーで、画面は全体的に暗く、東映時代劇調の明るさは微塵もない。
よりリアリティのある殺陣、リアルな殺し合い。
なかでも凄まじいのは、やはり近衛十四郎さんの殺陣ですね。
速さ、正確さ、無駄のなさ。刀を構えただけで迸る殺気。
歴代時代劇スターのなかで最も殺陣が上手いとされた、近衛十四郎さんの殺陣は、集団の中にあって一層、その凄さが際立つ。
対する天津敏さん演じる闇の蔵人の不気味さもまた良し。天津さんといえば、我々の世代では『仮面の忍者赤影』で演じた悪役が有名でしょうかね。私の大好きな悪役俳優さんの一人。
この二人の最後の決戦が文字通り死闘なんです。主役の近衛さんが、まさか負けるんじゃないかというくらいに追い込まれ。
この追い込まれ方が、尋常な時代劇のそれではないんです。ここまでやるかい!?というくらいの凄まじさ。近衛さんの必死の演技が、危機感をより一層際立たせ、実にスリリング。
この決闘シーンは時代劇の歴史に残る名シーンですね。
残酷な話ではあります。でも時代劇アクションとしては超一級。理屈抜きで楽しめることは、私が保証します(笑)。
古いと言えば古い映画ですが、温故知新という言葉もあるとおり、古さの中に新しさを見出すのもまた
エンタテインメントの醍醐味。
この作品は現在、YouTubeにて期間限定無料公開されています。3月26日まで。
今がチャーンス!この機会に時代劇の面白さを堪能しよう。
時代劇の灯を消すな!