NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』、愈々クライマックス！
史上有名な政子の「演説」、どう描くのかと楽しみにしておりましたが、
なるほど、こう来たか！
政子としては、初めこそ尼将軍の権威を持って御家人たちに訴えかけるかたちを取ろうとしましたが、すぐに「それは違う」と思いを改める。
この辺りの「間」の取り方もよかった。
政子は本音で御家人たちに語り掛けます。そこには尼将軍の権威はない。ただ御家人たちと同じ目線で、御家人たちがいかに苦労しながら自分たちが育んだ土地を守り育ててきたか、そのために、彼らは鎌倉幕府に仕えてきたのだ。
そんな御家人たちの想いを、よく知っているからこその、政子の語り掛けに
御家人たちは感銘を受けるわけです。
義時、政子の弟にして執権の義時が行ってきたこと。そこにはかなり非道な行いも含まれているけれど、でも
そこに「私欲」はなかった。
これは御家人みんなが知っていることだし、なにより視聴者全員がわかっていることです。政子はそこを見事に突いてくるんです。
あんな「黒く」なってしまった義時だけど。確かにそこに「私欲」はなかった。
すべては鎌倉のため、御家人のためを思えばこそだったのだ。
今、その鎌倉をまたしても「西」の権威が思いのままにしようとしている。
そりゃ朝廷は恐れ多いし、その権威のほどは十分に認めるけれど
でも、自分たち坂東武者が必死になって拓き、守り育ててきた土地くらい、自分たちの好きにさせて欲しい。
今更「西」の方からやってきて、好き勝手にされたのではたまらない。
朝廷には朝廷の言い分、理屈があり、立場もあり自負もある。
だから、国を統治するために武家を「手駒」として使い、言うことを聞かなければ討伐するという発想は、朝廷としては当たり前の発想。
特別に朝廷側が「悪」だとか、そういうわけでは決してないわけですが、
坂東武者には坂東武者の理屈、言い分があり、立場がありプライドがある。
だが「西」は坂東武者のプライドなど歯牙にもかけない。考慮の外。
馬鹿にするんじゃねえ！そっちがその気なら、我ら坂東武者の誇り、坂東武者の気概
坂東武者の意地
見せてやろうじゃないか！
かんがえてみれば、「西」と「東」の争いとはいつもこんな感じだったなと、思い至るものがありますね。
承久の変より遡ること凡そ100年、奥州の地にて起こった「前九年合戦」「後三年合戦」は、奥州の富を簒奪せんとする「西」の勢力と現地勢力との争いだった。
「西」の者たちは「東」の者たちを田舎者よと蔑み、侮り、好き勝手にしようと画策し
「東」の者たちはそれに正面から抗う。
日本の歴史の中で、何度となく繰り返された歴史…。
それはともかく
義時もカッコいいよね。鎌倉を守るためならと、自分の首を差し出す覚悟で、京に上ろうとするわけです。
ねえ、これまで散々非道なことをやってきて視聴者をドン引きさせてきた義時が、ここへきて突然に、視聴者の心を鷲掴みにしちゃう。
「義時よ！お前やっぱり、良い奴だったんだな！（視聴者号泣）」
1年間通して積み上げてきたものがあるからこその、納得な展開。
そしてそして、そんなカッコいい義時を救ったのが、政子をはじめとする北条家の家族の絆。
家族の情。
義時の長男泰時の号令一下、御家人たちが同意の声をあげる展開は、本当に見事としか言いようがない。ホント、こんなシーン
涙失くして見らりょーか！？
素晴らしかったね。
さて、来週は愈々最終回。そのサブタイトルが
【報いの時】
だって！？
そういえばこのドラマでは、最後に良いところを見せた人物は必ず「死ぬ」もっとはっきり言えば「殺される」という展開でした。
いままで散々非道を重ねてきた義時がここへきて見せた、穏やかな笑顔、そして涙。
ううむ、そういうことか…。
波乱必至の次回、最終回を待て！
