あまねのにっきずぶろぐ

1981年生42歳引き篭り独身女物書き
愛と悪 第九十九章からWes(Westley Allan Dodd)の物語へ

Catharsis

2016-06-09 17:25:07 | 音楽



昨日はいつもは一杯のお酒を二杯飲んでいました。ツルメリン錠って気分のあまねです、こんにちは。
あれだけぼろ糞に抜かしていたレディオヘッドの新作をもう通しで19回は聴きましたが
聴くほどパワーをもらえているような心地になっています。

今までは劇的にカタルシスを覚えるような曲をたくさん書いてくれたレディオヘッドですが
今作は劇的なカタルシスは何処にも起こらない。
でも何回も何回も聴いていると、それまで感じていた気の抜けた寂しい感覚を超えて清々しさに近い感覚を覚えてき始めています。
これはまるでじわじわと知らないうちにこの身を侵食しだすウィルスのように広がってくる一つのカタルシスの状態だと言える。
今作は腑抜けの殻を被っていた怪物であったというわけです。

思わばレディオヘッドではKID A以来のどうしようもなく胸を苦しめる作品でした。
そういった意味でもこの作品は怪物作品です。
最初に聴いたときはこれといって何も残らず、いいアルバムとはとても思えなかった。
それが聴いていくうちにどの曲も素晴らしいと感じ始め癖になりだしている。

でもそれはある意味、麻痺しているのかもしれない。
きつい薬を飲んで、最初は副作用が強く起きていたが、徐々に何も起こらなくなってきて効き目を実感できるようになってくる薬のような。
ドラッグも最初は吐いたりして非常に苦しみを伴うが、だんだんと慣れていき快楽だけを感じるようになっていく。
負の感情といわれる、悲しみ、寂しさ、苦しみ、という感情が強く入っている作品もまた、同じ作用を引き起こすのやも知れまい。
それは間違いなく、カタルシスです。

カタルシスとは恍惚な感覚に浸り、幻覚を見ているような心地になる。
感覚が麻痺して起こる快楽と同じで、言い換えるなら強い痛みを緩和する脳内麻薬エンドルフィンのような作用と同じなのかもしれない。

つまりそこに在る苦しい感情、悲哀や寂寥感や空虚感、喪失感などが強ければ強いほど苦しいわけだから、
苦しいほどにそれを緩和しようという作用が引き起こされ、そして甘美で恍惚な深いカタルシスが起こり出す。

それもすぐは起こらず、十分この苦しいものを味わってから起こり始める。
それは苦しみを長く感じるほど大きく救われた心地になることだろう。

だから苦しみを長く感じていられる人は幸せです。
そのあとにはとんでもなく大きなカタルシスに包まれるはずだからです。






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