あまねのにっきずぶろぐ

1981年生42歳引き篭り独身女物書き
愛と悪 第九十九章からWes(Westley Allan Dodd)の物語へ

いま或る場所

2019-05-22 09:41:51 | 
もう何も言うな。
あのままね、ずっとずっと。
何も起こらないより。
今のほうが、無限に。
美しい。
世界は血塗れていて。
縹色の空が、今日も眩しい。
世界は拷問の果に、記憶の操作をしている。
もう何も言うな。
小鳥が今日も、小魚と会話している。
黄金の糊を、自害した人々に塗り手繰りながら。
今日も子鳥たちが、子魚たちと話をしている。
もう何も、言うてくるな。
俺に。
誰に向かって、お前ゆうてるねん。
脳だけが観ている夢。
そのなかで、肉体が浮遊している。
もう金輪際、ホームヘルパーは利用しない。
俺は接ぎ木に、約束す。
時間と時間の、その間の空白にある。
その接ぎ木。俺の願いが、吊るされ。
蠢いていた。水色の部屋の中で。
家族の死体を編み込んで、巨大な時間を作る。
それは動かない。
それは動き出す。
籾殻を取った素粒子の感覚のなかに。
それは自由を伴い。
それは綱で繋がれ。
いま或る場所を、解き放つ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


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1 コメント

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Unknown (aozora77)
2021-08-27 11:35:22
悲しいですが美しい失恋の詩ですね
この詩を読むと改めて文章を書くことは
あまねさんにとって必要な
心を修復するための治癒行為でもあるのだと感じます

一昨年前の記事ですが
あなたの傷ついた心も少しずつ癒えていきますように
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