あまねのにっきずぶろぐ

1981年生42歳引き篭り独身女物書き
愛と悪 第九十九章からWes(Westley Allan Dodd)の物語へ

I'm Not Human At All

2019-09-11 16:27:54 | 

彼の細く美しい脚は切断されるために在ったのではなく、雨の降ったあとの瑞々しい草原を駆けるために在った。
彼女の滑らかな首はナイフで切り裂かれるために在ったのではなく、愛しい我が子に頭を擦り寄せられるために在った。
子どもたちが鳴いている。
光の届かない無機質な冷たい部屋のなかで。
彼らのすべては、人間に食べられる為ではなく、彼らのすべては、生きてゆく為に在った。
僕には歩くことのできる足がある。
彼らの足は、切断された。
彼らのすべては、醜い肉片となり、何一つ、想うことも、喜ぶこともない。
彼の足は、もう歩くことはできない。
彼の足は、切断される。
明日に。
心臓の鼓動が止まらぬ間に。
彼はもう、生きてゆくことはできない。
彼はもう、歩くことはできない。
彼の鼓動は明日の朝に、動かなくなる。
彼の身体はもう、動かない。
彼らは人間ではない。
彼らは最早、生命でもない。
彼の生きていた場所に、腐敗してゆく肉片が転がっている。
彼が歩いていた場所に、彼の切断された脚が転がっている。
彼女が我が子の頬に擦り寄せたその頬は、冷たいコンクリートの床にある。
明日に。

すべての人間の明日に。

僕らはまったく人間じゃない。
僕らには、心がない。
僕たちは、何の心も持っていない。








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