あまねのにっきずぶろぐ

1981年生42歳引き篭り独身女物書き
愛と悪 第九十九章からWes(Westley Allan Dodd)の物語へ

幼子

2017-05-11 23:42:25 | 

Nicoletta Ceccoli






きみの食べ物はだあれ?

ぼくらの食べ物はママの栄養!

きみのいのちは誰のもの?

ぼくらの命は神さまのもの!

きみの涙はなんの味?

ぼくらの涙はママの血の味!

きみの一生はあとどのくらい?

ぼくらの一生は・・・・・・

彼らはそっくりなそのちいさな顔を見合わせてかんがえました。

でもこたえは見つからない。
神さまちっともおこたえしなかった。

彼らは美しい羽根でいつ飛び立つことができるだろう?
神さまなんにもおこたえしなかった。

きみを殺すことなんてわけないさ。
だってほんとうにちいさいんだもの。
殺したって、呪ったりしないと誓ってね。
だってほんとうに虫けらみたいだもの。
殺したって、水子になったりしないでね。
だってほんとうにできものみたいなんだもの。
あたしのお腹のなかにできた。
あんたたちは緑のできものみたいなんだもの。
蝶々になっても追っ駆けたりしない。
ふたりでなかよくごきげんよう。
あたしはひとりで暗い海の底、ふかぁくふかぁく沈みたい。

あんたたちはまだ生まれてない。
あたしの四角い部屋のなかでしか、生きられないんだから。

ぼくらを閉じ込めたのは、だぁれ?
あなたはぼくらのママかしら。

もうすぐ蛹になるからね!
ママはぼくらを愛してるでしょう?

もうすぐ羽化するからね!
ママはぼくらを愛してる?
ぼくらはふたりでひとつの魂。
ぼくらはつがいとなり、生まれる子供たちはすべてママの涙となってこぼれおちる。
どうか見失わないで待っててね。
ママの涙のすべてがぼくらになることを。







我が家に居る羽化を待つ紋白蝶の幼虫たち。