シャープ & ふらっと

半音上がって半音下がる。 それが楽しい、美しい。
思ったこと、感じたことはナチュラルに。  writer カノン

乙女の祈り

2008-09-14 13:10:12 | 音楽を聴く

久しく聴いていなかった、古いCDを出してみた。

ピアノの小品集だが、 この一曲目に、『乙女の祈り』が入っている。

 

『乙女の祈り』。 ピアノ曲といえば、誰でも聴いた事があるであろう名曲。

しかし、この作品に関する資料はあまりない。

作曲は、バダジェフスカ。

1834年・ワルシャワ生まれ。 ショパンと同郷だ。

しかし、この年24歳のショパンは既に、 故郷を離れパリに移り住んでいる。

 

バダジェフスカは、ごく普通の少女で、 有名な音楽家でも演奏家でもない、

まったくのアマチュア音楽愛好家だった。

18歳の時、 当時流行していたサロン・コンサートなどで演奏するため、

作曲して弾いたのが評判になったようだ。

4年後には、ワルシャワで楽譜が出版され、

さらにその3年後の1859年、 パリの音楽雑誌の付録として、 この楽譜が紹介された。

そこから、この曲は世界中に知られる事となる。

 

しかし、 バダジェフスカは、とても病弱だった。

『乙女の祈り』が、世界に広まった頃、 彼女は27歳という若さで病没した。

バダジェフスカは、 他にも何曲かサロン風の曲を作ったが、

有名になったのは、『乙女の祈り』だけだ。

ただ、この続編として、 『叶えられた乙女』という曲も作曲している。

しかしこれは、 周囲の好奇に乗せられて作った色合いが強く、

ほとんど日の目を見ずに終わっている。

 

そして、 27歳で死去したというのも、実は定かではない。

24歳で亡くなったという説もある。

そちらが正しいとすれば、 1858年9月29日が命日だ。

もうすぐ、没後150年の日を迎える。

 

詳しい事がわからない名曲。 だが、若くして亡くなったからこそ、

この曲は輝いており、 いつまでも『乙女』なのかもしれない。