シャープ & ふらっと

半音上がって半音下がる。 それが楽しい、美しい。
思ったこと、感じたことはナチュラルに。  writer カノン

誰かの元へ旅立つ楽器

2010-05-28 16:25:21 | 音楽を聴く

娘が持っているトランペットを、このたび寄付することになった。

正確には私の弟が昔使っていたもので、それを娘が小学生の時、譲り受けたものだ。

娘は、なんとか音が出るまでになったが、 結局続けることはなかった。

私もトランペットは吹けないので、 そのまま押入れにしまっていた。

 

先日妻が、 知人のいるボランティア団体に預ければ、

世界の、楽器を買えない子供達に送られると聞いた。

そしてトランペットは我が家から離れていったのである。

世界の、どの国のどの子が手にするだろうか。

いや・・、本当に送られるのだろうか、という不安もある。

しかし、きっと三人目となる持ち主は現れるだろう。

 

映画でもよくあるが、 貧困や、病気の子供がひとつの楽器を手にしたことで、

のちに世界的なミュージシャンになるという話。

そんなストーリーが生まれるといいな、と思う。

 

私は子供のころ、バイオリンを習っていたが、

その教室では、代々生徒がお下がりを譲り受けていた。

バイオリンは、身体の大きさと共に新しいサイズになるわけだから、

当然そういう繋がりができていた。

 

最初に使ったものは、たしか私で5人目だった。

かなりボロボロという感じだったが、 先生の、

「お兄ちゃんお姉ちゃんたちが一生懸命練習してきたものだ」 という言葉は、

今も記憶に残る。

次に使ったものは、逆に新品だった。

これは、私の両親が買ってくれたものだ。

こちらはその後、教室で3人の生徒に渡ったという。

 

もうひとつ、私はピアノも持っていたが、

20年ほど前に、近所の女の子に譲った。

お母さんは私と同級生で幼なじみ。

『この子を将来、音大に入れたいの。だからピアノを譲って!』

そう頼まれて、譲ったものだった。

その子は、 お母さんの期待に応え、見事に名門・国立音大に進学。 私も嬉しかった。

そのピアノは今はさらにまた、 音大を目指す別の子が使っているらしい。

 

楽器の取り持つ縁。 高価な物だからこそ、

それを手にする人たちの想いを感じる。

トランペットと、 それを手にする人たちに幸あれ! 

 


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