先日、近くの大学の学生達と食事をする機会があった。
たまたま私の隣に座ったのが、二年生の女の子だった。
この子は、ピアノを習っていて、「それなりに」弾けるという。
当然の如くピアノ談義になった。
「好きな曲は?」と聞くと『今、一番好きなのは「花の歌」です』と答えた。
「花の歌」。 私は一瞬、『カルメン』の「花の歌」を思い浮かべ、 「カルメンの?」と聞いた。
『違いますよ~、ピアノ曲です。 友達が弾いてるのを聴いて、私も演奏してみたくなって・・。
今、その曲に夢中なんです』
ただ、彼女はこの時、 誰の作曲か思い出せなかった。
私もその後、調べてみた。
ドイツの作曲家、グスタフ・ランゲの曲で、 日本ではすっかりお馴染みの曲なのだ。
しかし私は、ピアノが好きなどと言いながら、 恥ずかしながら今まで知らなかった。
サイトでこの曲を聴いてみる。 聴いたことのある曲だ。
とても綺麗なメロディで、サロン風の小曲だ。
CDを聴いてみようと思う。 誰の演奏がいいかな・・。
彼女が、 ショパンやリストなどは、それほど興味がないけれど、
この曲は胸に響いた、と言うだけあった。
人との出会いは、時として美しい曲を知ることがある。
曲との出会いには、それにまつわる人との出会いがある。
それを実感した秋、 「花の歌」は、その両方を運んできてくれた。