火曜日からの4日間はまさに悪夢だった。
火曜日の朝、いつものように会社に行く支度を終えて、のんたんを起こすと体が熱い・・・。ありゃ、熱か。
会社と保育園にお休みを告げて、小児科に行くことにした。
前日まで毎日通っていた耳鼻科に行っても良かったのだけれど、こう毎日診てもらっているのに発熱と言うのは、もしかしたら耳鼻とは関係ない発熱かもしれないと思ったからである。
小児科に行くと、「○○ウィルスが流行っているから、今日よりも明日の方がぜーぜーするようであれば、総合病院に行って気管支炎の疑いがないか調べてもらった方がいいかもしれない」と言う。
今日ならいつも黄疸の検診にあたってくれている先生がいるので「今日、この後行きます」と言うと診断書を書いてくれた。
総合病院でレントゲン撮影をしてもらった。(かっこいいレントゲン技師だった)気管支炎も肺炎も大丈夫と言われ、ぜーぜーするのは鼻が詰まっているのが原因のようで、鼻の吸引をしてもらい、抗生剤といつもの薬を処方してもらう。ただ「熱は2、3日続くかもしれない」と言われた。
家に辿り着いたのは14時。
その日の夜から翌日の朝までは比較的元気だった。
今までにない39℃の大熱だったのでもう一日大事をとって休ませることにした。(先生も2、3日熱が続くかも・・・と言っていたので)
***
水曜日。
案の定・・・昼頃から熱がぶり返すようにグングン上がる。
何度も着替えさせては水分を飲ませる。
とにかく水分(水分・塩分・糖分入り)を口にしている間は大丈夫だと聞いていたから、水分を摂るか摂らないかで病院に行くか行かないかが分かれる。
夜になっても熱は一向に収まるところを知らない。
19時に最初の「がくっ」はやってきた。
のんたんの体がものすごく熱くなり、そのあと自分の意思とは関係なく体が「がくっ」となる。その後ものすごく痛そうな顔をして泣くのだ。
目もうつろになり、天井を右左と見ている。
私は、私には見えない何かがのんたんには見えている、悪霊でもいるんじゃないかと「悪霊退散!!!」と本気で言っていた。
のんたんも意識が朦朧としているのだが、私が隣にいないとすぐに目を覚ましてしまう。力なく、だが、はっきりと「抱っこしていて」の意思表示をしてくる。
だからずっと腕枕。腕枕をはずそうものなら、ぱちりと目を開けて「どこへいく」と言う顔をするのだ。赤ちゃんって黒目が大きいからそのホラー性の高いこと高いこと。
でも腕枕を続けていると熱が籠もる。一向に熱が下がらないのもそのせいだと思うのだけれど、どうしていいか分からない。
2回目の「がくっ」は21時。
そうなったあと、ひときわ大声で泣くのんたん。
もう、神にもすがる思いでぎゅっと抱きしめてどこにも連れて行かれないようにした。
少しすると落ち着くのかまたすぐ眠りに落ちる・・・それを数度繰り返し、その時がやってきたのである。
私もずっとのんたんを見つめていて、22時過ぎになったのでうとうとし始めた。今日はこのまま寝るのかな・・・23時半ごろ・・・うぎゃっという泣き声とともに、のんたんが、がくっ、がくっ、がくっ、がくっと4回立て続けに自分の意識とは別に硬直した。今までに見たことがない光景。
目を見るとどこか1点を見据えたまま動かない。口はパクパクしている。
小説『エンジェル・エンジェル・エンジェル』で乳幼児突然死症候群の件があるんだけれど、それを思い出してしまった。もう最悪にパニック。必死に瞳孔が開いたりしていないか何度も確認。
急いで119をダイヤル。
住所と名前と症状を告げる。それだけでもまどろっこしい!もう、ワープして飛んできてくれ。
その間にものんたんの硬直は続く。唇は紫色になってゆく。
「何か、今できることはないですかーーー!!!」と言うと、「お母さん落ち着いて、首のうしろと足の裏を濡れタオルで冷してください」と言われた。
その「お母さん」と言う電話口の言葉に、そうか私はお母さんなのだ、私がしっかりせねば!と、もう叫びだしたくなる状況をなんとか落ち着かせようと必死。
救急車はものの数分でやってきた。
濡れタオルで冷したのんたんの衣服はびしょびしょ。
せめて着替えさせたい。でも、のんたんの体はうまく反応しないので、脱がせて、途中まで着させた段階で諦めて救急車へと向かう。
もちろん私なんてパジャマのまま。
病院に着いて症状を話すと、ちょっと冷めた女医さん(いや、クールと言えばクールなのかもしれない)が「熱性けいれんですね」と言う。
6ヶ月以降の乳幼児は高熱の対応に脳がついていけずにけいれんを起こすことがあるというのだ。それも一生に1度あるかないからしい。
抗けいれん剤(坐薬)を注入して処置は終わり。8時間後にもうひとつ注入するようにと1つ渡された・・・。こんなに怖いことがよくあることなの・・・。育児って怖い。
今回、頭の中に流れていたのは「悪魔が来たりて笛を吹く」・・・♪マイファーダ、マイファーダ♪(中学の教科書に載っていた曲です)
息子が魔王に連れ去られそうになるのを必死で食い止めようとする父の歌です。
***
木曜日。
「熱は自然と下がるまで待つしかない」と言う言葉と、体温調節のできない赤ちゃんの体の冷し方を教えてもらって帰ってきたので、熱が上がると、氷嚢を4つ作ってわきの下と脚の付け根を冷す。
もちろんのんたんは動いてしまうので、私がのんたんを抱えるようにして氷嚢を押さえる。その寒いこと、冷たいこと。
看病ってこういうことなんだ・・・と初めて知った。
この3日間私もうつらうつらとしか寝ていない。
耳鼻科へ3日ぶりに連れて行ったら(水曜日は休診日)、「中耳炎になった」と言う。毎日毎日通っていたのに・・・なぜにまた中耳炎。
先生は「中耳炎になったから熱が出た」と言うけれど、私は熱が出たから中耳炎を併発したんだと思っている。
***
金曜日。
ようやくのんたんの熱が収まりを見せてくる。
長かった。3日3晩とはこのことか。
それでもまだ本調子ではないからか、のんたんの目はうつろ。
けいれんで後遺症があるのか心配になったけれど、調べてみたら「ない」とのことだったので一安心。
だんなの人が半休をとってくれていたので、耳鼻科へのんたんを連れて行ってもらう。
心配された熱もぶり返すことなく平熱へと・・・。
ママンに会社に行って欲しくないから平日中ずっと熱が出っ放しだったのか?そう問いかけたくなる。
でも本当に良かった。
少し食欲も戻ってきたようで重湯を食べ始めた。
もう嬉しくて嬉しくて、健康なことがこんなにも素晴らしいことなのか!と思った。
***
土曜日。
母マサコさんと遊ぶ予定だったけれど、大事とをって先送りに。
のんたんの体にこまかくプチプチとした湿疹ができていた。
これが噂には聞いていた「突発性発疹」なのかー!
皆が一度は通る道と噂には聞いていてもやっぱり目の前で自分の子供がけいれんしたり、大熱でぐったりしているのを見たのは本当につらかった。
でも私よりも何よりものんたんが一番つらかったか。
本当によく頑張ったね。
火曜日の朝、いつものように会社に行く支度を終えて、のんたんを起こすと体が熱い・・・。ありゃ、熱か。
会社と保育園にお休みを告げて、小児科に行くことにした。
前日まで毎日通っていた耳鼻科に行っても良かったのだけれど、こう毎日診てもらっているのに発熱と言うのは、もしかしたら耳鼻とは関係ない発熱かもしれないと思ったからである。
小児科に行くと、「○○ウィルスが流行っているから、今日よりも明日の方がぜーぜーするようであれば、総合病院に行って気管支炎の疑いがないか調べてもらった方がいいかもしれない」と言う。
今日ならいつも黄疸の検診にあたってくれている先生がいるので「今日、この後行きます」と言うと診断書を書いてくれた。
総合病院でレントゲン撮影をしてもらった。(かっこいいレントゲン技師だった)気管支炎も肺炎も大丈夫と言われ、ぜーぜーするのは鼻が詰まっているのが原因のようで、鼻の吸引をしてもらい、抗生剤といつもの薬を処方してもらう。ただ「熱は2、3日続くかもしれない」と言われた。
家に辿り着いたのは14時。
その日の夜から翌日の朝までは比較的元気だった。
今までにない39℃の大熱だったのでもう一日大事をとって休ませることにした。(先生も2、3日熱が続くかも・・・と言っていたので)
***
水曜日。
案の定・・・昼頃から熱がぶり返すようにグングン上がる。
何度も着替えさせては水分を飲ませる。
とにかく水分(水分・塩分・糖分入り)を口にしている間は大丈夫だと聞いていたから、水分を摂るか摂らないかで病院に行くか行かないかが分かれる。
夜になっても熱は一向に収まるところを知らない。
19時に最初の「がくっ」はやってきた。
のんたんの体がものすごく熱くなり、そのあと自分の意思とは関係なく体が「がくっ」となる。その後ものすごく痛そうな顔をして泣くのだ。
目もうつろになり、天井を右左と見ている。
私は、私には見えない何かがのんたんには見えている、悪霊でもいるんじゃないかと「悪霊退散!!!」と本気で言っていた。
のんたんも意識が朦朧としているのだが、私が隣にいないとすぐに目を覚ましてしまう。力なく、だが、はっきりと「抱っこしていて」の意思表示をしてくる。
だからずっと腕枕。腕枕をはずそうものなら、ぱちりと目を開けて「どこへいく」と言う顔をするのだ。赤ちゃんって黒目が大きいからそのホラー性の高いこと高いこと。
でも腕枕を続けていると熱が籠もる。一向に熱が下がらないのもそのせいだと思うのだけれど、どうしていいか分からない。
2回目の「がくっ」は21時。
そうなったあと、ひときわ大声で泣くのんたん。
もう、神にもすがる思いでぎゅっと抱きしめてどこにも連れて行かれないようにした。
少しすると落ち着くのかまたすぐ眠りに落ちる・・・それを数度繰り返し、その時がやってきたのである。
私もずっとのんたんを見つめていて、22時過ぎになったのでうとうとし始めた。今日はこのまま寝るのかな・・・23時半ごろ・・・うぎゃっという泣き声とともに、のんたんが、がくっ、がくっ、がくっ、がくっと4回立て続けに自分の意識とは別に硬直した。今までに見たことがない光景。
目を見るとどこか1点を見据えたまま動かない。口はパクパクしている。
小説『エンジェル・エンジェル・エンジェル』で乳幼児突然死症候群の件があるんだけれど、それを思い出してしまった。もう最悪にパニック。必死に瞳孔が開いたりしていないか何度も確認。
急いで119をダイヤル。
住所と名前と症状を告げる。それだけでもまどろっこしい!もう、ワープして飛んできてくれ。
その間にものんたんの硬直は続く。唇は紫色になってゆく。
「何か、今できることはないですかーーー!!!」と言うと、「お母さん落ち着いて、首のうしろと足の裏を濡れタオルで冷してください」と言われた。
その「お母さん」と言う電話口の言葉に、そうか私はお母さんなのだ、私がしっかりせねば!と、もう叫びだしたくなる状況をなんとか落ち着かせようと必死。
救急車はものの数分でやってきた。
濡れタオルで冷したのんたんの衣服はびしょびしょ。
せめて着替えさせたい。でも、のんたんの体はうまく反応しないので、脱がせて、途中まで着させた段階で諦めて救急車へと向かう。
もちろん私なんてパジャマのまま。
病院に着いて症状を話すと、ちょっと冷めた女医さん(いや、クールと言えばクールなのかもしれない)が「熱性けいれんですね」と言う。
6ヶ月以降の乳幼児は高熱の対応に脳がついていけずにけいれんを起こすことがあるというのだ。それも一生に1度あるかないからしい。
抗けいれん剤(坐薬)を注入して処置は終わり。8時間後にもうひとつ注入するようにと1つ渡された・・・。こんなに怖いことがよくあることなの・・・。育児って怖い。
今回、頭の中に流れていたのは「悪魔が来たりて笛を吹く」・・・♪マイファーダ、マイファーダ♪(中学の教科書に載っていた曲です)
息子が魔王に連れ去られそうになるのを必死で食い止めようとする父の歌です。
***
木曜日。
「熱は自然と下がるまで待つしかない」と言う言葉と、体温調節のできない赤ちゃんの体の冷し方を教えてもらって帰ってきたので、熱が上がると、氷嚢を4つ作ってわきの下と脚の付け根を冷す。
もちろんのんたんは動いてしまうので、私がのんたんを抱えるようにして氷嚢を押さえる。その寒いこと、冷たいこと。
看病ってこういうことなんだ・・・と初めて知った。
この3日間私もうつらうつらとしか寝ていない。
耳鼻科へ3日ぶりに連れて行ったら(水曜日は休診日)、「中耳炎になった」と言う。毎日毎日通っていたのに・・・なぜにまた中耳炎。
先生は「中耳炎になったから熱が出た」と言うけれど、私は熱が出たから中耳炎を併発したんだと思っている。
***
金曜日。
ようやくのんたんの熱が収まりを見せてくる。
長かった。3日3晩とはこのことか。
それでもまだ本調子ではないからか、のんたんの目はうつろ。
けいれんで後遺症があるのか心配になったけれど、調べてみたら「ない」とのことだったので一安心。
だんなの人が半休をとってくれていたので、耳鼻科へのんたんを連れて行ってもらう。
心配された熱もぶり返すことなく平熱へと・・・。
ママンに会社に行って欲しくないから平日中ずっと熱が出っ放しだったのか?そう問いかけたくなる。
でも本当に良かった。
少し食欲も戻ってきたようで重湯を食べ始めた。
もう嬉しくて嬉しくて、健康なことがこんなにも素晴らしいことなのか!と思った。
***
土曜日。
母マサコさんと遊ぶ予定だったけれど、大事とをって先送りに。
のんたんの体にこまかくプチプチとした湿疹ができていた。
これが噂には聞いていた「突発性発疹」なのかー!
皆が一度は通る道と噂には聞いていてもやっぱり目の前で自分の子供がけいれんしたり、大熱でぐったりしているのを見たのは本当につらかった。
でも私よりも何よりものんたんが一番つらかったか。
本当によく頑張ったね。