午後、日が傾いた3時過ぎ、新緑の井の頭公園を通り抜け、ジブ
リ美術館へ向かった。
美術館に着くと、入口にいる係りの人が、ここではチケットは売ってい
ません、と言った。どうすればいいのか、と訊くと、直ぐそこに見えるコ
ンビニで買えます、ということだった。そこの自動券売機で買おうとす
ると、チケット扱っていません、の表示が出た。何だこりゃ、話が違う
ではないか。ちょうどそこに同じように買いに来た子供連れの夫婦と、
なんでですかね、などと話すうち、カウンターの奥の部屋あたりから突
如出てきたおばちゃんが、そこでは買えないですよ、と念押しするよう
に言うのだった。そのうち、そのおばちゃんが、カウンターで買えま
すよ、といったのだ。それもどういうわけか聞き耳を立てていないと聞
こえないような上品な小さな声で・・・。カウンターで買えるって・・・・
何だ???!!!、アンタが売る人なのではないか、早く言ってくれ。
それと、もっと大きな声で言って下され。
その家族連れともども、無事購入できたのであった。よかったよかった。
券売機の表示に、そこのコンビニのカウンターで買える旨のことが見間
違えないくらい大きく書かれてあれば、直ぐ分かったのにと思った。お
ばちゃんがタイミングよく奥の小部屋から出てこなければ、知らずに、
その日は諦めていたかもしれない。私の前の男は買えないと思った
のか、店から出て行っていた。後で、買えることを教えた。
ジブリ美術館は、スタジオジブリの作品があれだけ話題になり、あれ
だけ売れて、それでも私設で作ろうとすると、このくらいの規模になる、
ということである。だから、大きな規模ではないけれど、作った人の思
いが、ぎゅっと凝縮されたようで、濃く、良いのだ。その無形のものは
空間に現れる。
・・・と訳知りのことを言ってしまったが、私はここで、丹波黒豆だかの
少し黒っぽいソフトクリームを食べた。美味だった。
内部は残念ながら、フォトは禁止とのことだったので、撮れなかったの
だが静止画から動画への移行期の頃の人々の驚きとわくわく感が展
示物から感じられるのだった。建物はもちろん子供などは特に喜ぶだ
ろうと思った。