GW中は友人と一泊だけ伊豆の伊東へ行った。熱海でも遊んだ。伊東の旅館はどこもGW料金とかで普段の倍くらいの値段となっていて、あまりお金の掛けられない私としては、逆に迷うことなく手頃な料金の旅館に決めたのだった。私が決めたのだが友人も特に異存はないのだった。それならそれで別のところで少しだけ贅沢してもいいし、というのが、その旧友との旅行でのいつものことなのである。
旅館は古びていてお世辞にも新しくてきれいとは言えないものだった。だが、私は不思議と違和感を感じなかったのである。年季が入っている、と言えばそういう表現もできただろう。部屋は畳が少し歪んでいるようなそんな雰囲気の部屋だったが、掃除は行き届いていて、なぜか満足したのである。そして妙に落ち着いた。
伊東とくれば温泉である。浴室、湯船も部屋と同様古びていた。これもどう見ても、綺麗で新しい内装とは言えないのであった。広さもそれほどではなかった。だが、私はこの温泉の湯船に浸かって、ほんとに、近年にない落ち着いた気分を味わったのである。どうしてそう感じたか、それは分からない。不思議だった。伊東だけあって、泉質は良いのは言うまでもなかったのだが、それだけでそんな気分にはなれないはずなのにと思う。しかし、しっくりと満足したのである。私は2回入ったのだが、友人は朝も含めて3回も入りに行っていた。何か共通する感覚を持ったのかもしれない。浴室内は薄暗かったし、壁などはモルタル塗りだったような気がする。