カッキーYAMA   akihiko tange

手始めに、日常的なことを気の向いたときに載せていくつもり。

一陣の風 10DEC2012

2012-12-10 | エッセイ

4、5日前の夜中だったと思う。この頃から急に冷え込みが厳しくなった。夜中の2時頃にまだ起きていて、テレビなど眺めていたかもしれない。この時間ともなると「ながら」で、見るというより眺めているだけだ。それまで静かだったのが突然、雨戸がガタガタと音を立て始めたので何事かと思ったら、深夜の風だった。突風がいきなり吹き始めたのだった。冬の寒さが増す頃、こういった風が夜中に何の前触れもなく吹いて何か自然の不気味さを感じさせる時があるものだ。そしてその時、数年前のことを思い出した。この時も季節も時間も同じ頃だったと思う。その時の風はもっと特徴的で、北から吹いてくるのが分かったのだ。しんと静まり返った夜にゴーッという音が北から近付いてきて、家の前のバス通りを南へ移動していくのが分かったのだ。一陣の風。生き物のように音を立て、通りを駆け抜けて行った。この時は今回とは違い、その後、嘘のように、本当に何事もなかったように、また元の静けさに戻ったのだった。その夜も深夜、ひとり起きていた。だから不気味な感じはしたが、自分以外にも起きているものがいるのだという親近感も持った。何か意思を持った生き物のように感じたのだ。だから、記憶の中に今でも残っている。



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