江の島で毎年行われているフェスティバルにバリ祭があり、今年は8月の20日、21日と2日に渡り開催されるというので21日の夕方、出かけた。昨年は5月に開催された時に行ったのだが、その時に比べて、震災の影響なのかあるいは天候が良くなく雨がちだったのか、とにかく低調な感じがした。バリ舞踊、ガムランなどが出し物としてパンフレットなどに出ていたが、バリ舞踊の方は私の行った時間のせいかほとんど見られなかった。涼しい風が吹き、と言えば聞こえは良いが、要するに天気が悪くこちらのテンションは下がりっぱなしだったのである。
それでも小雨が降る中、ガムランの演奏が聴けたことと、ケチャの仕組みを解説してくれたことが良かったと思う。もっとも簡単なところで、二つの異なるリズムをそれぞれのグループが受け持って演奏することなどを、実演とお客の参加をもって説明してくれたので分かりやすかった。私にとっては初めて聞くことだった。知識の方から入ることをあまりしないので聞いて初めて分かることが多いのである。自分の打つリズムを聴くよりも相手のリズムに耳を傾けるようにし、それを連続して打っていくうちに、得も言われぬ好い気分になっていくのです、などという説明には、本能的に何か感じるものがあった。同じアジアに住む人間としての共通の感覚かもしれない。二つのものが混ざり合っていく感覚をリズムで表わしているらしい。参加する人はそれぞれどちらか一方のリズムパートに属し、一人の人が横断的に二つのパートのリズムを打つことはないようだった。異なるリズムなのだからもっともなことかもしれない。それを多人数でやるうちに、何ともいえぬ音の世界がかたち作られて皆がその世界に入り込んで行く、ということらしかった。
写真の1枚でも撮っていれば良かったのだが、どうした訳かほとんど撮ることがなかった。帰りは夜の江の島の西海岸のあたりを少し歩き、海の家からあふれ出てくる大音量の音楽を聞きながら、いろいろなことをやっているのだなと思った。アルコールや食べ物を売る呼び声がその時間でも聞こえていた。
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