地方の居酒屋へ入ると、チェーン店だからそこまで味にこだわったものはないだろう、くらいに思っていると、とんでもなく旨い魚に行き当たったりする。今夏、旅した八戸でもそういうことがあった。店の人にしてみればたまたまでも地元の良い食材が仕入れられれば、旨いのは当たり前、といったところなのだろう。魚など地場で採れる安くて旨いものをいつも食べているのだろうから、それをそのまま店で出せれば旨いに決まっているということだ。八戸で刺し身に舌鼓を打つうち、店の人と話になった。東京はちょっと苦手です、と言った。旅行は東京以外はときどき行くそうだ。旅行しても東京は都会過ぎて落ち着かなく敬遠しがちなようだった。私も、なんで?いいところもあると思うけど、でも気持ちも分かるな、などと答えたりしていた。20代の若い女の店員だった。
「八戸はどこを見ましたか?」と言う。
「ここだけです。城跡もあるようだけどもうちょっと・・・。時間も無いし。八戸は新幹線も止まるし、今や東京からも近い感じになってきたよね。 だけど今回ここの駅で降りてみて開けた感じの街だなと思いました。これまで何回か来ているのだけれどあそこの新幹線の八戸駅が八戸の街の中心だと思っていたんですよ。店も少ないし随分さびしい街だなと思っていたのだけど」
笑。「新幹線の駅は街のはずれです。八戸の街はこちらの駅が主です。」
笑。「そうなんだよ。全然気がつかなくて。駅二つくらいこっちなんですね。いやあ、意外と大きな街だなぁって。だって名前はよく知られているものね」
「新幹線の駅が離れているのにはわけがあるそうです」
「??? どんな?」
「昔、街の真ん中に、丁度こちらの駅の近くに持ってくるという話もあったらしいんですけど」
「青森までの経路を考えると、あんまりグニャグニャ曲がれなかったんでしょ。新幹線は急には曲がれないから」
「いえ、ばい菌というか、悪いものを運んで来るとかいう話があって、街の真ん中へ駅をもってくるのは避けたそうです」
「ええっ? ばい菌? 」
「ええ。そういうことで反対したらしいです。鉄道というのが都会から田舎へ悪いものを運んで来る、とよく昔からそう言うようです。そういう話です」笑。
「うそだぁ~」
「いえ、ほんとです」
笑い話として話してはいるが、話としては本当らしい。
「ばい菌って、鉄道が運んで来る?」
「そう」
「東京なんかから?」
「はい。そうしてこちらの街に例えば疫病などが発生したりとか・・・」
「うそだぁ~。それじゃ、例えば今日の僕みたいなのがばい菌をくっつけて運んで来ているかもしれないということ?」
「(笑)」
「それは心配ないよ。キレイなもんだと思うけど」笑
「新幹線の駅を作る時に、そういう話があったようですよ」
「それで駅を二つ三つ、ずらしたっていうわけ?」
「そういうこともあるらしいです。調べてみてください」笑
「調べないよ。線路が曲がって遠回りになるというのが主な理由だと思うけどなぁ。新幹線は小回りが利かないから」
「私も詳しくは知らないんですけど、でもそういう話が昔からあるみたいです。駅を作る時にもそういうはなしがあったみたい。図書館などに資料があるらしいです。一度、調べてください。」
「調べない調べない。」笑
調べさせられそうな気がしてきた。
「どこかに出ていると思いますけど」笑
「そんなこと、調べない」
わざわざ、そこまで調べる気はないけれど・・・。図書館好きか調べもの好きと思われたのかもしれない。あるいは彼女がそうなのかもしれない。
もちろん、そこの近くの図書館へでも行って八戸の郷土資料などを当たれば、彼女の言うように出ているのだと思う。
そういうことだそうです。
出発までのあわただしい時間で飲んでいた割に、暇な雑談に精を出すのだった。楽しかった。
「八戸はどこを見ましたか?」と言う。
「ここだけです。城跡もあるようだけどもうちょっと・・・。時間も無いし。八戸は新幹線も止まるし、今や東京からも近い感じになってきたよね。 だけど今回ここの駅で降りてみて開けた感じの街だなと思いました。これまで何回か来ているのだけれどあそこの新幹線の八戸駅が八戸の街の中心だと思っていたんですよ。店も少ないし随分さびしい街だなと思っていたのだけど」
笑。「新幹線の駅は街のはずれです。八戸の街はこちらの駅が主です。」
笑。「そうなんだよ。全然気がつかなくて。駅二つくらいこっちなんですね。いやあ、意外と大きな街だなぁって。だって名前はよく知られているものね」
「新幹線の駅が離れているのにはわけがあるそうです」
「??? どんな?」
「昔、街の真ん中に、丁度こちらの駅の近くに持ってくるという話もあったらしいんですけど」
「青森までの経路を考えると、あんまりグニャグニャ曲がれなかったんでしょ。新幹線は急には曲がれないから」
「いえ、ばい菌というか、悪いものを運んで来るとかいう話があって、街の真ん中へ駅をもってくるのは避けたそうです」
「ええっ? ばい菌? 」
「ええ。そういうことで反対したらしいです。鉄道というのが都会から田舎へ悪いものを運んで来る、とよく昔からそう言うようです。そういう話です」笑。
「うそだぁ~」
「いえ、ほんとです」
笑い話として話してはいるが、話としては本当らしい。
「ばい菌って、鉄道が運んで来る?」
「そう」
「東京なんかから?」
「はい。そうしてこちらの街に例えば疫病などが発生したりとか・・・」
「うそだぁ~。それじゃ、例えば今日の僕みたいなのがばい菌をくっつけて運んで来ているかもしれないということ?」
「(笑)」
「それは心配ないよ。キレイなもんだと思うけど」笑
「新幹線の駅を作る時に、そういう話があったようですよ」
「それで駅を二つ三つ、ずらしたっていうわけ?」
「そういうこともあるらしいです。調べてみてください」笑
「調べないよ。線路が曲がって遠回りになるというのが主な理由だと思うけどなぁ。新幹線は小回りが利かないから」
「私も詳しくは知らないんですけど、でもそういう話が昔からあるみたいです。駅を作る時にもそういうはなしがあったみたい。図書館などに資料があるらしいです。一度、調べてください。」
「調べない調べない。」笑
調べさせられそうな気がしてきた。
「どこかに出ていると思いますけど」笑
「そんなこと、調べない」
わざわざ、そこまで調べる気はないけれど・・・。図書館好きか調べもの好きと思われたのかもしれない。あるいは彼女がそうなのかもしれない。
もちろん、そこの近くの図書館へでも行って八戸の郷土資料などを当たれば、彼女の言うように出ているのだと思う。
そういうことだそうです。
出発までのあわただしい時間で飲んでいた割に、暇な雑談に精を出すのだった。楽しかった。