東京国立博物館での
「栄西と建仁寺」特別展に行く機会を得た。
その中でひときわ目をひいたのが、
俵屋宗達の「風神雷神図屏風絵」であった。
長い帯をたなびかせ、舞うように浮かぶ雷神。
風を起こす大きなふくろを持つ風神。
どちらも鬼のような姿をしていながら、
表情はどこかおどけたようで、愛嬌がある。
見ているこちら側も、自然に笑みがこぼれる。
戦国の世に終わりをつげ、
それまで社会の中でうごめいていたパワーが、
一気にあふれ出そうとする時代に生まれた。
自然の中に隠れていた風神と雷神。
そして笑いながら出てくる風神と雷神。
人類学者の中沢新一さんは、
この笑いのことをこう語っていた。
「善も悪もなく、
人間の笑いなんかじゃない。
もっと深いところで
歓喜に満ちている。
ただ、この世界があるということ、
存在していることがうれしくて笑う。
生まれたばかりで、
まだ言葉もしゃべらない幼児が
笑っているかのようだ」
生まれたばかりの赤ちゃんは、
本当に笑う。
不思議だけれど笑う。
あれは、「存在する」という喜びなのか。
生命の深いところから出てくる力の源なのか。
そんなエネルギーを感じるこの絵を、
時々見に行きたいと思う。
http://kenninji.jp/gallery/index.html
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