昨年の“生命のきずなフォーラム”でお世話になった、大田堯先生のご講演をきく機会を得た。今回は、経営者とその社員の方を対象にして行われたものだった。対象に合わせてお話を変え、最後にはいつも希望をもたせ、91歳という年齢にもかかわらず、ますます力強くお話をされる先生にお会いすると、本当にいつも敬服する。
後半は 、“完全雇用”のお話だった。失業の発生に対して生まれた経済学上の概念だということだが、大田先生が思う“完全雇用”とは、次のようなものだった。関わりの中での自分の社会的な位置が仕事。その人その人の持ち味が、社会的に価値のある仕事、出番を保障されることができるということが、完全雇用である。失業者も多い不況な時代に夢のような話に聞こえるかもしれないが、しかし危機だからこそ、逆に今までの自由主義や競争原理だけではうまくいかないのだという声がでてくるのではないか、ともおっしゃられた。皆違うからこそ、独自の持ち味を探求し、発見し、それを“社会(つながり)”の中で活かしてくことが大切だということを、改めて考えさせられた。そして、このお話を聞いて以前何かの本で読んだことがある、森信三さんの言葉を思い出した。
「人はこの世に生まれ落ちた瞬間、全員が天から封書をもらって生れてくる」
全ての人が、この封書を開きその道を歩んだとしたら、ジグソーパズルのように、一つ一つの違ったピースがぴたりと当てはまるのかもしれない。それぞれが自分の役割を生きたら、調和のとれた社会が生まれるのかもしれない。そんなことを思った。
私も人生の半分が過ぎた。自分の役割を、生きているだろうか・・・。そんなことをこれからも時々問いながら、自分の道を進んでいきたいと思った。
YOU