今年は本当に本当によい一年だった。
仕事に、遊びに、人間関係に、お出かけに。
あかいはなの仲間たちと
一緒に考え、作り、形にする機会にもとにかく恵まれた。
私が好きな写真や創作的なことだけでなく、空間とか時間とか思い出とか・・・そういったものを一緒につくりあげ、共有できるすばらしさ。
実のところ、私にとって今年は。
失いたくないから、想い出を作るのが怖いと強烈に思うところから始まった一年だった。 もう最後。これが最後と思っていた。
そして、いま振り返ってみると。
今まで共に歩んできた道を一緒に立ち止まって振り返り、
そのあとに顔を見合わせて微笑みあえる、
そしてまた一歩ずつそれぞれの歩幅でふみだす
・・・そんな時間がくりかえしあった今年。
もう怖くないかといったら、そうではないが。
そういう怖さも抱きながら生きていくのは、とっても生きている感じがする。
今年一年、本当にありがとう。
12/28 み
高校生、大学生の時、友人の家にいりびたっていた。その家の、おばちゃんは、とっても料理上手で、私は、お兄ちゃん達に「おまえは、そろそろ食費を払え。」と言われるくらい、頻繁にご飯を頂いていた。ある時など、カレーのお肉をうっかり全部食べちゃって、帰ってきたお兄ちゃんが「ありゃ、今日は野菜カレーか。」と間違えていたこともあった。(今から考えてもひどい話だ。)その家は、人がたくさん集まる家で、私はいろんな人に出会った。そして、たくさんのことを教えてもらった。納豆そうめん、BBQ、ふぐの刺身にひれ酒、浮浪雲、さだまさしさん、世界は広く、いろんな人間がいるってこと、人のあったかさ、本当のかっこ良さ、感情を素直に表現する喜び、私は私のままでいいんだってこと。
おばちゃんは、話をよく聞いてくれた。高校生のちっぽけな、でも、本人にとっては真剣な悩みを、ちゃんと真っ正面から聞いてくれ、話をしてくれた。今も、頂いたたくさんの言葉が私の胸の中にある。これは、財産だと思う。普段は忘れているが、ふとした時に胸の中で、その言葉が華咲き、あの時の言葉はこういうことだったんだって実感し、何度も感動する。噛めば噛むほど味がでてくるするめのようなものだ。年齢を重ねるごとに、おばちゃんの偉大さを、以前よりも深く感じることができるようになった。あの穏やかな微笑みの裏には、多くの悲しみや苦しみがあったであろうことも想像できるようになった。ある時、「おばちゃんにもらったものは、精神的にも物質的にもたくさんありすぎて、とてもじゃないけれど、おばちゃんに返すことができない。」と私が言うと、おばちゃんは、「そういうものはね、まわりまわって、巡り巡っていくものだから、それでいいのよ。おばちゃんも、昔、人からしてもらったことをしているだけなの。八平も、八平のできることを、できる時に、できる相手にしたらいいのよ。」と静かに微笑んだ。
今年、さだまさしさんのコンサートに初めて行った。MCで笑って、歌で泣いての感動的なコンサートだった。さださんは、地元のアマチュアオーケストラとコラボコンサートをされていた。それは、亡くなられた山本直純さんの意志でもあった。山本直純さんは、偉大なる指揮者で、日本のクラシック界の底辺や間口を広げるために生きた方だそうだ。「まさし、おまえもクラシック出身なんだから、力を貸せ。まず、おまえの客からだ。客をつれて来い。」とよくオーケストラと一緒にコンサートをされたそうだ。さださんがおっしゃられてた。「僕は、若い頃から、かっこいいじいさん達に本当に可愛がってもらってきた。いろんな人からもらったバトンを僕のところで止めてはいけない。僕も次の世代に渡していきたい。伝えたていきたいんだ。」
ある方が「人生はマラソンではなく駅伝だ。」とおっしゃられていた。私も、とても有り難いことに、たくさんの人から可愛がってもらってきている。不器用で走るのも遅い上、怠け者で持久力もないから、たくさんの人には渡すことができないかもしれない。でも、私も、もらったバトンを私なりに渡していきたいと思う。 うっかり八平
“最大の敵は、大人の自分” 世界的にも注目されている絵本作家の荒井良二さんの特集を見た。絵を描いているときに「大人だなぁ(自分自身のことを)、くやしい」「子供の天才スイッチってないかなぁ」などとつぶやいていた。“子供”と“大人”。以前は私自身そんなに意識しなかったけれど、なにやらこの両者のことを考えるようになった。荒井さんが大切にしていることは“日常じゃーにぃ”日々の生活を子供の目線で眺めてみると、わくわくすることが転がっているという。例えばくもの巣。例えば木々の間の暗闇。「これはブラックホールにつながっているのではないか」、などと思ってしまうそうだ。ふわふわと柔らかい感性。大人と言われる人もみんなが持っていたものだ。絵を描く道具をスタジオに持ってきていた。その中に小指の先程の色鉛筆があった。「描きにくいでしょう?」との司会者の問いに、「普通の鉛筆を持つと、体と脳が“おりこうさん”になるんですよね。」と荒井さん。道具に違和感がある方が脳は開発されるそうだ。また「体が絵を描くので、体を喜ばせることが大事なんです。」聞いていてわくわくする言葉が飛び出す。
先日の道化教室で塚原さんが言った言葉を思い出した。「大人ってたまにわけがわからない質問を子供にするんですね。」例えば「将来の夢はなぁに?」「うーんと、空を飛びたい。」「あぁ、じゃあパイロットになりたいんだ」などと言う会話。子供はただ、青空が広がっている、またはぽかぽかと浮かんでいる雲の中を飛んでみたいだけなのに。それを大人は自分の常識の中で答えを出してしまう。こんなことを書いている私も、以前従姉妹に同じような質問をしたような気がする。「お父さんとお母さんとどっちが好き?」これは私も小さい頃聞かれて困った。
今まで生きてきた経験や知識を振り払ってみることはかなり困難なことだと荒井さんは言う。若い頃挫折と失敗を繰り返し遠回りして気づいたことは、”子供の頃の自分を喜ばす絵本を描こう”ということだった。結果としてそれが、多くの子供たちの心を捕らえている。自分の中の“子供”の部分を掘り起こしてみることは、毎日の生活をいきいきとさせる鍵かもしれない。そしてこれは道化教室で行っていることだなぁ、と思った。
YOU
初めて気がついたのは、確かこの夏だった。
窓を開けるとどこからか、ウクレレのような音が聞こえる夜がある。
とってもちいさなおと。
耳を澄まさないと聞こえない。
初めのころは、メロディもリズムもなく。
「すいきんくつ」だっけ?
漢字変換できないから間違ってるかも。
ほらあの、お庭とかにある、しずくが落ちて音がするアレ。
あんな音が小さく聞こえていて。
これってもしや楽器の練習?と気づくには時間がかかった。
あれから、本当に小さな、小さな音で聞こえてくる夜があるのだ。
今夜もほら、聞こえてきた。
どこかの、誰かの、ささやかな営み。
メロディは分からないけど、
単調なリズムと弦の音が、本当に小さく小さく聞こえてきて、ココロにしみこんでいく。
つい微笑んでしまう瞬間。
きっと同じマンションの上の階に住む誰かさんのささやかな営み。
顔も知らないどこかの誰かを、こんな風に、気づかないところで
ちいさくちいさくしあわせにすることができるってすごいな・・・と思った。
そして、この音を奏でている誰かさんが
もっともっと、ずっとずっとしあわせでありますように今夜は願わずにはいられない。
11/24 み
一時期、友人の家でよくご飯をいただいていた。(私の置き箸があるくらい頻繁にお邪魔していた。)その家の人々(ご両親+三人姉妹=5人家族)は、皆お酒好きで、よく一緒にお酒を飲んだ。突撃訪問も多かったにも関わらず、家の中はいつ行っても綺麗だった。「家族全員綺麗好きなの?」という問いに、「そんなことないけれど、我が家には、しっぱなし税という税金制度を設けてるんよ。」と友人は答えた。何でも、ドアを開けっ放し、引き出しを開けっ放し、ハサミを使いっぱなしという具合に、「しっぱなし」にした場合、「徴収!!」と10円徴収するらしい。
ともすれば、険悪な雰囲気になってしまいがちな、日常の小さな生活習慣の注意。「ドアを開けたら閉めてよ。」「何で使いっぱなしにするの?」と言うよりも、「いえーいっ!税金徴収!」「あちゃ~、しまった。」とゲーム感覚で、お互いの気づきを促す方が楽しいし、効果がある。友人曰く、「今は、しっぱなし税では、徴収できなくなってきてるから、今度、ドアをバタンと閉めない税に改正するんよ。」とのこと。おもしろい。素晴らしい。
思えば、「こそ丸」も、前に書いた「調味料」も「家庭の税金」も、日常生活を楽しく豊かに過ごす工夫だと思う。私は単純なので、いい話を聞いて強く感動した後などは、苛立つことはなく、心穏やかに生きれそうな気がする。しかし、すぐ忘れてイライラしてしまうという繰り返しだった。ずっと、私の意志が弱いせいだと思っていたが、工夫を全くしていなかったんだと気づいた。私は、事務の仕事をしているので細かい業務をたくさん行う。毎日する業務もあれば、一ヶ月先、半年先に行う業務もある。一ヶ月後、半年後に行う業務を「覚えておくぞ。」とどんなに強く決意したところで、無理がある。だからこそ、ノートに記入をし、マニュアルを作成し、忘れない仕組みづくりをし、工夫している。同じように、「日常を楽しく心豊かに過ごす」のも、そのように過ごしやすい仕組みづくりが必要だと感じた。しかし、「具体的」が苦手な私には、なかなか、いいアイディアが浮かんでこない。だから、みなさん、いいアイディアがありましたらぜひ、雑感に投稿して、教えてください。教えてくださった方、先着100名様は、もれなく八平より感謝されます。(それだけかいっ!!)
うっかり八平