「達人」

以前、私がまだピチピチしていた頃、父の影響で中国武術を習っていた。
日曜日の朝、運動公園で集まり、
めっちゃ美人で気が強く、早口でＢ型の中国人の先生に習っていた。

当時、その界隈には、武術好きな人々が集まっていた。
日曜日の早朝から、武術好きな方々の、とってもディープで
マニアックな話を聞いたり、
手裏剣を投げさせてもらったり、ワクワクする楽しい、
濃い時間を過ごしていた。

その武術マニア達の中でも、
「僕は昔から、日々、99％武術のことを考えて生きている。
残りの1％は、食事やお風呂とか生活のこと。
僕は武術のストーカーなんだ。」
と堂々と宣言する武術のストーカーの男性が言っていた。

「僕が知ってる武術の達人達は、構えないし、強そうにふるまわない。
だから、一見強そうに見えない。
　ただ、自然に立っているように見える。
　一見、何もやってない人と同じように見える。
　ところが、実は、全く隙がなくとても強いんだ。」

私は、「すごい発見した！！」と鼻息荒く、友人に報告しても、
「八平、前も同じこと言ってたよ」と言われることが多い。
そこで、この達人の話を引用して、
「以前の私と同じことを言っているように聞こえるかもしれない
　けれど、言葉の奥に隠された深みは全く違う。
　私も達人（一体何の？）に数歩近づいてるのよ！！」
と熱弁をふるうと、「ふーん。」と言われた。
「いや、そこ、鳥肌たてて、感動するところだから！！」
とリアクション間違いを指摘してあげたが、いっこうに感動してなかった。
人は、感動を強要されても、
感動しないということに気付いたアラフォーの夏。


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
うっかり八平

点と点をつなげると・・・

「点と点をつなげると、面になるの。
面になると浮かぶのよ。」
尊敬する人の言葉だ。その方自身も、この言葉を人から贈られたそうだ。

生きていると、苦しくて溺れそうな時がある。
一人きり（＝点）では、溺れてしまうけれど、
人とつながると（＝面）浮かぶことができる。

美しい表現だと思った。
自分の中にはなかった言葉だ。
自分の中になかった、人からもらった言葉が、
自分を、ふと救ってくれる。

だからこそ、人は学び続けるのだ。
だからこそ、人は関わりあうのだ。
だからこそ、人は一人一人違うのだ
争い合うためではなく、助け合うために、人は、それぞれ違うのだ。
そうに違いない。
そうだったらいいな。
そう信じよう。

　
以前、「先生、私、弱いんです。弱い自分が嫌なんです。」と大田堯先生に言った。
大田先生は、「弱くても、いいじゃないですか。僕も弱いんですよ。人間ですから。弱さでつながっていけばいいじゃないですか。」とゆったり言ってくださった。

海に向かって、
「おーおーたーせーんーせーいっっ！！だーいーすーきーっっ！！」
と叫びたい
川でもいい。
大声で、叫びたい。


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
うっかり八平