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【会津野】岡潔という数学者の思想

2016年01月13日 | 宿主からのブログ

おはようございます。旅人宿 会津野 宿主の長谷川洋一です。

路面の雪は冷たく、白いものの滑らない−4℃の会津野です。

先日ラジオで、数学研究者の森田真生さんがゲストに出ていらっしゃる番組を聴きました。森田さんは「数学する身体」という本を出しておられるのですが、その本はまだ縁がなく読まずじまい。その番組の中では、同じ数学者の岡潔さんに強い感銘を受けたとおっしゃっていました。岡潔さんの本は図書館があったので、まずはそこから読んでみました。

岡潔さんは、1901年生まれの数学者です。第一次世界大戦、第二次世界大戦とともに生きてこられてきた方。本の中で、わたくしも感銘を受ける文章がありました。

「数学と物理は似ていると思っている人があるが、とんでもない話だ。職業に例えれば、数学に最も近いのは百姓だといえる。種子をまいて育てるのが仕事で、そのオリジナリティは『ないもの』から『あるもの』を作ることになる。数学者は種子を選べば、あとは大きくなるのを見ているだけのことで、大きくなる力はむしろ種子の方にある。これにくらべて、理論物理学者はむしろ指物師に似ている。人の作った材料を組み立てるのが仕事で、そのオリジナリティーは加工にある。理論物理は、ド・ブローイー、アインシュタインが相次いでノーベル賞をもらった1920年代から急速にはなばなしくなり、わずか30年足らずで1945年には原爆を完成させて広島に落とした。こんな手荒な仕事は指物師だからこそできたことで、とても百姓にできることではない。いったい30年足らずで何がわかるだろうか。わけもわからずに原爆を作って落としたのに違いないので、落とした者でさえ何をやったかその意味がわかってはいまい。」

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私も大学時代に数学をかじりました。社会人になってからは、理論をコンピュータ・プログラム化する仕事に就きました。成長の早い業界だったので、結果をすぐに求められます。現代のコンピュータ開発業務は、人の作った材料を組み立てて世の中に出す仕事で、岡潔の言う指物師のようになっています。

本当に優秀な材料(種子)を選び、間違った成長をしないよう力を尽くす数学者のような生き方をしたいものです。

数式の全く出てこない数学者の思想の本。遅い出会いでしたが、出会ったことが素直に嬉しい。そんな気持ちにさせてくれる数学者に、学生の頃に出会っていたら、人生違っていたような気がします。

今日も素晴らしい一日をすごしましょう。

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