音信

小池純代の手帖から

雑談39

2022-05-14 | 雑談

封書やハガキを出すことがほんとに少なくなった。
それでも郵便局窓口のあたらしい切手をみると
そわそわする。

で、
このたびは石の切手シートを入手した。

  

西脇順三郎の宝石の詩、三傑を並べてみる。
主役が宝石そのものではないところがおくゆかしい。

      †

  何者かの投げた
  宝石が
  絃琴にあたり
  古の歌となる   
            一二八『旅人かへらず』
      †

  (履された宝石)のやうな朝
  何人か戸口にて誰かとさゝやく
  それは神の生誕の日。  
            「天気」『ambarvalia』
      †

  永遠の
  果てしない野に
  夢みる
  睡蓮よ
  現在に
  めざめるな
  宝石の限りない
  眠りのように 
          「宝石の眠り」『宝石の眠り』


  

『西脇順三郎詩集』那珂太郎 編(岩波文庫)より
表紙は西脇順三郎画、「水精たち」(部分)







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