音信

小池純代の手帖から

日々の微々 240116

2024-01-16 | 歌帖
  240116



  ・穀雨三首・


     葭始生*あしはじめてしやうず

  おほつちに雨が刺さつたその痕を葦は鋭く空を突き刺す


     霜止出苗*しもやんでなへいづ

  あの白い霜の布団がなつかしく愚図愚図と苗代の苗

                   愚図愚図:ぐづらぐづら



     牡丹華*ぼたんはなさく

  咲いてみて初めて分かるかんむりの無闇な重さ花の王さま









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日々の微々 240110

2024-01-11 | 歌帖
  240110



  ・清明三首・

     玄鳥至*つばめきたる

  つばくらめ春をかぞへて泣くさうなふたはるみはるよはるいつはる

     鴻雁北*がんきたへかへる

  かりがねは空の氷が好き過ぎて春を逃れて急ぎにいそぐ

     虹始見*にじはじめてあらはる

  虹といふものたちあがり去りにけりまぼろしよりもやや遅に消ゆ








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