音信

小池純代の手帖から

日々の微々 240512

2024-05-16 | 歌帖
・大暑三首・


    桐始結花*きりはじめてはなをむすぶ

  桐の花でしたかあれは淡青の淡紫の薄影の嵩
            淡青:うすあを 淡紫:うすむらさき 薄影:うすかげ 嵩:かさ


    土潤溽暑*つちうるほふてむしあつし

  唐草と花綵まざりからみあふほどの動きもなき暑さかな


    大雨時行*たいうときどきにふる

  龍神の髭に尻尾におほあめとおほかぜ戯れて纏はり帰順ふ
                   戯:ざ 纏:まと 帰順:まつろ







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日々の微々 240509

2024-05-09 | 歌帖
・小暑三首・

    温風至*あつかぜいたる

  或るものは波のごとくに或るものは焔そのまま南の風
                       南:みんなみ

    蓮始開*はすはじめてひらく

  ほのかなり人の音せぬあかときのみほとけの手にしら蓮ひらく


    鷹乃学習*たかすなはちわざをなす

  少年の鷹の座学の選り好み「風の語学」と「気流の美学」








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日々の微々 240501

2024-05-03 | 歌帖
・夏至三首・


    乃東枯*なつかれくさかるる

  いちはやく枯れてののちは夏枯草の花穂よろしくリタイアの利他
              夏枯草:かこさう 花穂:くわすい
          
    菖蒲華*あやめはなさく

  五月闇文目も知らぬあの恋の夜のあやめよかなしかりけり
     文目:あやめ

    半夏生*はんげしやうず

  老人にあたらしき友漢方のたとへば半夏いつまでの友
  老人:おいびと  









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