音信

小池純代の手帖から

雑談55

2023-06-16 | 雑談

  日月光空水 風塵無所妨 
  是非同説法 人我倶消亡
  定慧澄心海 無縁毎湯々
 
            (空海「遊山慕仙詩」部分『性霊集』巻一)


  <翻歌>

 日のひかり月のひかりに照らさるる空なる水も水なる空も


 ゆきさきを知らずに塵は風に乗るいかな思ひも重くはあらね


 ひともとのreedをこれをアシといふヨシといふそのよしあしは無し


 君は雪にわたしは雨になつて扨てさんざん降つて消えてなくなる
              扨:さ

 吠瑠璃のうなばらならば澄みわたれうたびとならば千年生きよ
 吠瑠璃:べいるり

 なきことのゆたけさことにえにしなきことのゆたけさ日は海を浴む

   †

6月15日は遍照金剛空海の誕生日。
昨年はダイアモンドの切手の画像をお贈りした。(雑談43)
今年はダイアモンドの一節を。
いつもネットからの拾いもので恐縮です。

   ◇◇◇

 仙女   (仙女は、その小さな緑色の帽子をチルチルの頭にかぶせました)
      さあ、ダイアモンドを廻してごらん、一度廻して、それからね。……

    チルチルがダイアモンドを廻すが早いか、そこらのものが、みんな
    びつくりする程、見る間に変つてしまひました。

 チルチル (遉にびつくりして、「時間」たちの方を指さして)
      この可愛らしい女の人たちは誰です。
 仙女   恐がることはないよ。あれがお前の一生の「時間」さ。

         (モオリス・マアテルリンク作「青い鳥」 菊池寛訳)





コメント

日々の微々 230612

2023-06-12 | 歌帖
  230612

    梅の実三首
 
 梅の実がまろびにまろぶ坂道をまどひてあゆむ水無月なかば

 雨なのにおちるだなんて梅の実がものも言はずにおちるだなんて
 
 花の頃散る花まろく雨の頃落つる実まろし梅とふ大悲 
 
    諾々三首

 老境は次の歌境へつながると信じて行かな桃源郷まで

 あたらしく漢方薬の名を知るは世界と和解せる心持ち

 人生のいま諾々の下り坂山頂はただそれきりの霧 






コメント

日々の微々 230603

2023-06-03 | 歌帖
  230603

    水無月のおもひつき

 ただごともただごとならぬことどももまとめて流す思ひつき歌

 御大の詠ひ得ざりしことひとつ先立たれたるもののかなしみ

    漢方三首

 再三の病禍の波をやりすごす今日の漢方補中益気湯
                   ホチウヱキキタウ

 
 知命はや過ぎしがなぜに五十肩憂き名ぞ独活葛根湯
                   ドククヮツカッコンタウ

 
 花どきにまた会ひませうさやうなら小青龍湯小さな龍尾
                 セウセイリュウタウ








コメント