音信

小池純代の手帖から

雑談24

2021-09-13 | 雑談
塚本邦雄『君が愛せし』から摘んできた「根芹」の歌。

  
  『閑吟集』小歌3

  
  『梁塵秘抄』425

この歌の「聖」は僧侶一般の尊称。
「菜食主義の、唐様の調理も辨へた僧は、かうして、
寺内や市中では揃はぬ材料を、若い弟子達に調達させたのだ。」
とある。

そういうわけで沼で僧が芹を摘んでいてもそれは
不思議ではないのだった。

  †

秋だというのに芹探しの散歩をしてきたが、ここであっけなく、
芹摘み放題の文章にたどりついた。

 
 塚本邦雄『非在の鴫』

タイトルは「寄芹戀:せりによするこひ」。

催馬楽の謡から、万葉の歌、枕草子の一節、八代集の歌、
そのほか例の慣用歌語としての「芹摘む」などなど。
詩句の芹が繁茂している。

 

『非在の鴫』の本体と箱の真っ白な背中。
ISBN、定価などのデータは箱の底に印字されている。



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