音信

小池純代の手帖から

日毎の音 夏 210106

2021-01-06 | 日記

  夏


 冬に思ふ夏こそよけれあの世にて思ふこの世もよろしかるべし


 森閑としてゐた夏の町の底白い空き箱だつた一年


 夏の猫両耳立ててゐたりけり世界をうがつ抜き型ひとつ


 もの言はぬくちびるに雪ふりつもり夏のマスクとなりにけるかも


 遠国の遠きむかしの王朝の「夏」の世短く迅きいかづち
              夏:カ
 




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