音信

小池純代の手帖から

日毎の音 割 210102

2021-01-02 | 日記

  割


 うすら氷をぱりんと割つたその奥がつめたく澄んだ水ならよいが


 まづ二個に割つてそれから引き裂いて血はこぼさずに麺麭を分かちぬ


 古今から源氏に跳んで新古今ぴりぴり割れて歌は貫入


 珈琲を緑茶で割つて東洋の際のにじみを思ふなりけり
             際:きは

 一年は一ダースの月ひとつづつ取り出して割るたまごのごとく






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