大切な人を亡くされるという悲しみほど、深い悲しみはありません。残された人たちは、もっと生きているうちにしてあげたかったとか、言葉が足りなかったと反省するものです。
瀧本光静さんの文と絵になる『最後に伝えたかったこと』を手に取ってみて、なおさらその思いを強くしました。瀧本さんによれば、そこに収められている47編の文章は誰かに見せるためではなく「葬儀や法要の際に、遺族が故人に宛てた言葉をそっと書き留めていた」のだそうです。
毎朝、朝メシはいらないと言っていたのに、決まって準備してくれた母が亡くって、「なぜたったの10分ができなかったのか。ごめん母さん」と後悔する息子。早く妻を亡くして男手だけで娘を育てて逝った父への、娘からの感謝の言葉。無口な夫がこの世を去ってはじめて、自分のために保険をかけてくれていたことを知った妻の驚き。
どこの頁を読んでも、私は涙がこぼれてなりませんでした。瀧本さんは「想いは言葉にして伝えることが重要」とおっしゃっておられますが、私もその通りだと思います。
合掌
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