無題

義父が亡くなった。
頼りない喪主ながら葬儀も無事に終えることが出来たと思っている。

訃報に接する度に、生前にもっとああしておけば良かった、こうしておけば良かったという思いでいっぱいになる。
何度、同じ事を繰り返せば自分は学習するのだと、自分の馬鹿さ加減に呆れるばかり。
同じ市内に住んでいるので、いつでも何でも出来ると思って胡座をかいていたのだ。

義父は口数が少なく辛抱強い寡黙な人だった。
私の調子が悪く休みがちだった頃も何も言わず、そっとして置いてくれた。
「しっかりしろ！」と怒鳴り飛ばしたいときもあったに違いないのに、それでも何も言わなかった。

今となっては私の愚行を詫びることも出来ない。
今はだたただご冥福をお祈りするばかりである。