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人形佐七捕物帳の魅力

2011年05月30日 | others
時代小説といえば、横溝正史の「人形佐七捕物帳」が中学生の頃からの愛読書でした。
マセたガキというか、横溝正史が主人公の岡っ引きをスケベなあんちゃんに設定したのがいけないんですね。

いや、ホントにスケベなんですから。

半七親分も平次親分も女性には淡白というか、まったく興味がないように描かれていますが、
佐七親分はそれらの先輩たちより若いぶんだけ、
元太夫の小股のきれあがったようなおかみさんがいるのに、ほかの女にモテちゃう。
一線越えていたかどうかまでは、さすがに書かれていませんでしたが、
おかみさんのお粂とのナニのパートはけっこうしっかり書いてます。
横溝正史が好きだったのか、連載雑誌の要求だったのか、いまとなっては分かりません。
ただ、横溝正史が「佐七」を楽しんで書いていたことは確かなようです。

これは正史本人もエッセイに書いていますが、
「探偵作家くずれ(ママ)が書いた捕物帳なのでプロットがトリッキーに出来ている」
そうです。
ほかの捕物帳が「ミステリ風味の時代小説」であるのにたいし、
「佐七」は時代小説の衣をまとった探偵小説、というところに魅力があると思います。
第1話の「羽子板娘」からして、クリスティの超有名作品からのパクリ
いやいや、オマージュであろうことは容易に想像できますし。
佐七作品は176話あるそうですが、
長めの作品の中にはなんだか出来の悪い時代小説みたいになっているのもありますが、
総じてミステリ好みを満足させてくれる出来にしあがっています。
惜しむらくは、全作品が読めないことですね。
角川文庫や故嶋中文庫では抄録でしたし、春陽堂文庫版は品切れみたいですしね。
光文社文庫がきっちり解説をつけて、発表年代順に収録してくれないでしょうか。
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