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ハーレクイン・ロマンス 恋愛小説から読むアメリカ

2020年01月07日 | 雑日
「ハーレクイン・ロマンス 恋愛小説から読むアメリカ」(尾崎俊介 平凡社新書)

ハーレクイン・ロマンスを分析していく文中には、なじみの名前がちらほら。
ジョアンナ・ラスはSF作家じゃなくてゴシック評論家として(もしかしたら同名異人かも?)、
ジョージェット・ヘイヤーも名前だけ登場します。

イギリス近代文学の祖と言われる「パミラ」(男性が女性視点から書簡日記体文学として書いたもの)が
ロマンス文学としての条件を揃えていることを始点にして、
ロマンス文学を出していたイギリスのマイナー出版社から、第二次大戦後にカナダのハーレクイン社が、
その作品をペーパーバックでリプリントすることで、
アメリカにロマンス文学というジャンルが生まれたことを紹介します。

初期のハーレクインロマンスで人気だったのが「ドクター・ナースもの」、
医者と看護婦(看護師)さんとのラブロマンス。
日本でも戦前映画の「愛染かつら」は、まさに「ナースもの」だったけれど、
なにか関係があるのだろうか。

ハーレクインロマンスのヒロイン造形が
「小柄で、正義感が強く、自分の魅力に気付いていないがんばり屋」
と紹介されていて、少女マンガやアニメのヒロインとまったく同じで笑ってしまいました。
世の東西、変わらんもんですなあ。

そこあたりは、著者も当然ながら視野に入れていて、
比較対象されるのは集英社のコバルト文庫。
対象マーケットは違えど創造力の源と、作家と読者の紐帯力は同じではないか、との指摘も。

意外なことと言えば、ハーレクイン・ロマンスのライバル、
シルエット・ロマンスの日本上陸キャンペーンソングが、
大橋純子の「シルエット・ロマンス」だったとは、びっくりです。


Junko Ohashi (大橋純子) - シルエット・ロマンス
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