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ポール・アンダースン「地球帝国秘密諜報員」

2006年02月04日 | SF
ポール・アンダースン「地球帝国秘密諜報員」を読んでいる途中。

ポール・アンダースンは評論家水鏡子(すいきょうし、ウォルター・ミラー・ジュニアの当て字)によると、アメリカSFの標準点となるんだそうです。作品のどこを切ってもアメリカSF、ということでしょうか? ハインラインと同じくタカ派みたいですし、科学の発展イコール叡智と思っているみたいですし、古代の荒くれ騎士たちの精神に憧れているようでもあります。そのあたりを現代アメリカSFの雄、ダン・シモンズの「ハイペリオン」「エンディミオン」と比べてみても一興かも。

「大魔王作戦」では魔法が科学にとって替わった世界(ライトノベルの先祖みたいな)を舞台に、「折れた魔剣」は古代北方世界で、リーダビリティの高い話をつむぐことにできる作家ではあります。

この「地球帝国秘密諜報員」も宇宙版007と評されていますが、フレミングより古いオップンハイムやル・キューといった第一次世界大戦前後のエスピオナージュを思い出させます。日本だと赤石元二郎(大佐でしたね。主役のフランドリーと同じです)の活躍、といったところです。時代小説の有名どころみたいな立ち位置ですかね。

大好きなのは「天翔ける十字軍」。超科学を持つ宇宙人の船を十字軍が乗っ取ってしまう痛快娯楽SF。「地球帝国諜報員」以外はどれもハヤカワSF文庫の「白背」というところに、日本でのアンダースンの評価があるのかもしれません。
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