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終末期の赤い地球

2009年01月22日 | SF
ジャック・ヴァンスについて
最新の翻訳長編が魔王子シリーズの最終巻『夢幻の書』(1986年)ですから、23年もたってるんですね。
ヴァンスの作品はハードSFでもないし、メインストリーム系SFでもないし、不思議なワンアンドオンリーSFとでも言えるでしょうか。レッテルとして、エキゾティックなせ界を描く異郷作家とか言われていますが、それだけではない気もします。
ヴァンスの作品では物語が結末をむかえても、盛り上がりがいま一つ感じられないことが多いような気がします。あいまいな結末、というか。世界が物語の中だけで完結するのを嫌い、世界のほんの一部を作品にしてみせただけ、なのかもしれません。
そして奇妙な倫理感。「Grey Prince」の冒頭では、ヒューマノイド生物が人類に奴隷にされ、サディスティックな行為の対象にもなっている、と淡々と述べられています。それが作品の前面には出ていませんが、そういった歴史を背景に物語がすすむらしい(読んでいませんが)のです。同じ米国作家には見られない、欧米の倫理感から逸脱したような設定。そこのところがアメリカではカルト作家としての評価になっているのでしょうか。反対に日本では翻訳のしにくい作家かもしれません。
わたしのべストは「終末期の赤い地球」(久保書店)です。
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