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チラシの裏

皇帝のかぎ煙草入れ

2012年05月30日 | JDカー
祝・新訳!
カーにしては珍しく女性視点の作品なので、女性が翻訳して正解でしょう。
美人で金持ちで少し気の弱いヒロインを取り合う、2人の男。
かたやイケメンだけど傲岸不遜、
もう一人は堅実な銀行役員で優しいが
そのじつ世間体を気にするとっちゃんボーヤだけど・・・。
ヒロインはどちらと結ばれるのでしょうか。
さーて、この作品はクリスティが誉めたということから(※)「傑作だ」という声と、
「カーらしくない」という評価など、カーの作品中でも軸が定まっていない気もします。

今回約40年ぶりぐらいに読み返したのですが、
もしわたしが帯に惹句をつけるならば「カー渾身のラブロマンスミステリ!」とでも書きます。
扶桑社ロマンスみたいな、あれです。

※このコメントをいつどんな状況でクリスティが書いたのかは、こちらで。
WH通信43号

じつは「皇帝のかぎ煙草入れ」の次に発表した「かくして殺人へ」とは、同じミスディレクションが使われていて、
「皇帝のかぎ煙草入れ」(P152) キンロス博士の台詞
「かくして殺人へ」(新樹社版 P158) HM卿の台詞
ともに同じミスディレクションです。

ずるいぜ!
探偵(役)はウソつかないはずですよねっ!

「皇帝のかぎ煙草入れ」ではキンロス博士が謎解き後にあやまってもらってますが、
「かくして殺人へ」ではHM卿はスルーですからねえ。
ですが、本書は後半の展開にドライヴがぐいっとかかって、ミステリ読みの快感を満喫できます。
面白いよ!

■皇帝のかぎ煙草入れ
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