米国の大統領選挙は、猛烈な戦いがなされているようですが・・中でも、民主党のバラク・オバマ(46)氏と、ヒラリー・クリントン(60)氏、共和党のジョン・マケイン(71)氏の上院議員3人だと言われております。私はこの候補達の対日政策に特に関心が在ります。
知日派がそろうオバマ陣営
オバマ陣営が擁する外交ブレーンは専門家ら約200人だそうですが、顔ぶれは意外に知日派が多いと聞きます・・クリントン前政権(1993~2001)で国防総省日本担当部長、国防長官特別補佐官を歴任したミッチェル氏や、オバマ候補の対アジア、対日政策立案に関与したシファー氏ら若手実力者がそろっている徒の事です。ボーイング・ジャパン社長は東京大学で政治学博士号を取得し、滞日経験は計22年になるそうで、奥様は日本人という親日家だそうです。
大統領選主要候補の選対本部・政策アドバイザーの一人・久保文明・東大教授は、 「安倍、福田首相の訪米時、オバマ氏は一早く歓迎声明を出しました。対アジア政策における日本の重要性はよく認識しているようです」と指摘しています。

例えば、安倍首相(当時)が訪米した07年4月、オバマ候補が上院本会議で行った発言では、日本を「米国の最も緊密な同盟国の一つ」と位置づけ、北朝鮮の核開発やミサイル計画の脅威に協調して対処し、対テロ戦争やアフガニスタン支援、平和維持活動、環境問題での貢献を評価しているそうです。
その一方で、日本への要望として、「日本経済にはまだ輸入や外国直接投資に対して閉鎖的分野がある」と強調し、規制撤廃を求めたほか、(従軍慰安婦問題など)過去の歴史と真摯に向き合うよう求めているとの事です。
オバマ候補自身もアジア地域に深い関心を抱いているそうで、日系人の多いハワイで生まれ、6歳から10歳まで母親の再婚相手であるインドネシア人男性の地元、ジャカルタで暮らしたそうで・・このような体験を通してアジアへの思いが一層強いのかも知れません・・・
日本に関心ないヒラリー 
それに引き換え、ヒラリー候補があまり日本に関心を持っていないのは多くの関係者が指摘しています。ファーストレディー、アーカンソー州知事夫人時代に計4回の訪日歴があるがそうですが・・日本には親しい政財界要人もいないそうです。
外交専門誌「フォーリン・アフェアーズ」に昨秋寄せた論文でも、日本に言及したのは2か所だけだったそうです「日中両国と協力し、地球温暖化対策に取り組む」「豪州、インド、日本、米国はテロとの戦いで協調する」と述べているが、前者は「米中関係は最重要の2国関係」、後者は「インドは特別な重要性を持つ」と前置きしたうえでの関連記述の中に日本が登場するだけのそうです。
ヒラリー候補のアジア政策の中では、日本は完全な脇役で、同盟国でもない中印の後塵を拝した格好とはあまりの認識に驚きます。
この「日本軽視」ぶりが日本側の不評を買ったため、ヒラリー候補の外交顧問を務めるホルブルック元国連大使は、「日米同盟は米国のアジア・太平洋地域の基礎」と強調してみせた。「ホルブルック氏は、日本の反応を随分気にして釈明に汗をかいた」(関係者)そうです。
ヒラリー政権誕生なら、そのホルブルック氏が国務長官に就任する可能性が高い・・そうです・・と越智道雄・明治大学名誉教授は言ってます。
このほか、ヒラリー候補の政策アドバイザーには、オルブライト元国務長官、ペリー元国防長官、ルービン、サマーズの歴代財務長官などクリントン政権の大物閣僚が予定されているようです。その中での最高のアドバイザーは、夫のビル前大統領だといわれてます。
クリントン時代には、日本人はあまり言い思いではなく・・・むしろ、日本に規制緩和や、市場開放などを強硬に求めてバッシングを行う一方で、外交面では日本を素通りして高度成長を続ける中国に傾斜して「ジャパン・パッシング」と呼ばれた思いが強く、この方が当選しない事を願う一人です。
日米関係重視のマケイン 
共和党のマケイン候補はどうでしょうか?「米外交の大きな潮流で、共和党はアジア重視、民主党は欧州重視」(越智教授)と言われるが、3人のうち、日米同盟を一番重視しているのが、安全保障や国防政策のエキスパートであるマケイン候補だそうです・・・
マケイン候補のブレーンには、ブッシュ政権下で対日政策を取り仕切ったアーミテージ元国務副長官、故・椎名素夫衆院議員秘書を務め、日本語に堪能で日本政界とのパイプも太いグリーン元国家安全保障会議アジア上級部長、07年に日米同盟強化の提言作成に関与したシュライバー元国務次官補代理ら知日派がそろう手厚い陣容だとの事です。
アーミテージ元国務副長官も、真偽不明ながら、米同時テロ後、日本側に「ショー・ザ・フラッグ(日の丸を見せよ)」と対米支援を迫ったと一時話題になった。マケイン政権になれば、日米同盟や対テロ戦争で一層の貢献を要求してくる可能性もある。
だが、足立正彦・住友商事総合研究所シニアアナリストは、
「ベトナム戦争の英雄であるマケイン候補は対アジア政策に関心が強く、上院軍事委員会にも所属しています。同候補のブレーンは沖縄のデリケートな県民感情も知り抜いており、日米関係は双方向で構築すべきだと考えています。経済外交でも自由貿易を重視しているので、高圧的な対日姿勢は取らないでしょう」
と話す。
空洞化進む日米同盟
ところで、現在の日米関係はどうか。特に日米安保体制を中核とする日米同盟は「一貫して日本外交の要」(外務省)のはずだが、 「新政権の発足に先駆けて、日米同盟の空洞化が進んでいる」 と指摘するのは、外交ジャーナリストの手嶋龍一氏です。
米国は北朝鮮に対しても、拉致問題が解決していないのにテロ支援国指定解除に踏み切ろうとして日本側の反発を招いたことは、私にも理解できません。
3候補の対北朝鮮政策も気がかりだが、滝田賢治・中央大学教授は、「北朝鮮は既に核を保有しているので、3候補とも外交交渉を主軸に据えており、腰が引けている」との見方をしております。
このような 米国大統領候補三人の対日政策を見て、私はやっぱり今度はオバマ氏に声援を送りたい物だと思います。少なくともヒラリー・クリントン氏だけは当選を願いません・・・