画家maruuの 心を磨く 絵を描く生活

50代主婦の絵を描く生活。
心穏やかにに生きるために、日々の思いを綴ってます。 maruからmaruuに改名しました。

50年後の絵日記/深くて重い、今がある

2023-09-11 12:24:00 | 絵について
 「蛸がバイバイしてたね」

90歳をを超えた母が私に語りかける。
「覚えているよ」
そう応えると、とてもとてもうれしそう。
何度も何度も、その話を繰り返した。

50年前、4歳ぐらいの思い出。

父が釣りが好きで、子供の頃、
夏休みの旅行は海の近くの旅館に、
数日間泊まって過ごしていた。

早朝の海、まだ、光の弱い世界、
海は透明で、深く深く、透き通っていた。

大きな蛸が現れ、悠々と、大きな動きで、
沖へ、沖へと泳いで行った。

一瞬、動きを、止めて、
こちらを見たような気がした。
そして、手を振るような動きをした。

 「蛸が バイバイ してるね」
50年前も、今も、
母はこのセリフを繰り返す。

美しい思い出を共有できる幸せを、
50年前より強く感じる。

とてもとても有難い。
思いが続き、経験を重ね、
深くて重い、今がある。

母の誕生日にこの絵を贈った。
「一番の宝物だ」
私の絵を今までで一番褒めてくれた。
そして、これ以上なくよろこんでくれた。
母の思いが有難い。

実はこの時、
私にはとてもとても気になっていることがあった。
父が蛸を釣ろうとしていることだった。

「止めて!!」
と思っていた。

蛸はお風呂に入り過ぎた人。
この時、私はそう思っていた。

だから、バイバイする蛸は、
蛸になったばかりの人。

人、だと思っていたので、
釣らないで!!
と思っていた。
「ゆで蛸になるわよ」
お風呂に入り過ぎないように、
度々、母は私に忠告していた。
それを、

お風呂に入りすぎて、
赤くなると、蛸になって、
排水溝から、流れ出てしまう。

そう勝手に本気で思い込み、
いつも、排水溝が怖かった。
(今でも、少し、怖い)

あの頃は現実と、夢想の世界が曖昧で、
全てのチューリップの花の中には、
親指姫がいると思い、
隠れては、覗き、を繰り返し、
どうにかして親指姫を見ようとしていた。
本気だった。

あの頃の本気が懐かしい。
50年過ぎて思う。

思うことは自由だ。
自由に思って、描いて行こう。

50年前の私が、
心を自由にしてくれる。

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ホームページでmaruの絵を紹介してますhttp://maruartworks.com/

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