たすけは 左足をうしなったのです
なんども病院にいきました。
その度に 車にのせて獣医さんへの道程で鳴かないことに驚いていた
「たすけはいい猫だねえ」
なぜなら うちの他のねこは
車に乗っている間 鳴きっぱなしなので
もう苦しみの極致みたいな
息も絶え絶えみたいな
感じでずっと鳴いているので
車にのせて出かけるのが拷問みたいで
それも長距離に及ぶ場合はおたがいに
我慢比べみたいな
そういうことが多かったので
たすけはいい猫だねえ
おとなしくて
聞き分けのできる
いいねこだねえと
何度 褒めたかしれない
ところが
家の中で
だんだん慣れてきて
家の中を 片足がないのにどんどん歩き回れるように
なってみて気づいたのは
よくなく猫だよねえ
ということ
病院に行く時は鳴かないけど
家の中では夜中も昼間もよく鳴いている
情けない声で
めぇ めぇ と鳴いている
よくなく猫だなあ。
そっちかい。