おまけの人生・・・

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ぼくを葬(おく)る

2006-05-18 23:51:43 | 外国映画
『ぼくを葬(おく)る』

 パリ在住の人気カメラマン、ロマンが、余命がわずかと宣告されながらも病院での治療を拒絶する。やがて彼は同性愛の恋人に別れを告げ、祖母のみに真実を打ち明けて、1人で死を受け入れる決意を固めていく。


06/05/17


 一緒に行った友達が、「死ぬまでにしたい10のこと」と似た感じなのかな?と言ってたから、まだ観てなかった私はDVDをレンタルして観たんだけど、全然違った内容だった。
共通点は余命が残りわずかだと宣告され、それまでをどう生きるかと言うところだけ。

そう、ガンで余命あと3ヶ月と宣告され、絶望に打ちのめされる主人公ロマン。
家族や恋人にも告げず、ただひとりおばあちゃんにだけ事実を知らせる。
「何で、私にだけ知らせたの?」
「おばあちゃんは僕と似てるから」
「どうして?」
「もうすぐ死ぬから」
病気のことを聞かされても取り乱すこともなく、もうすぐ死ぬと言われても怒ることなく孫の状況を静かに受け止め、「今、あなたと一緒に死にたいわ」と優しく包み込む。
このおばあちゃん(ジャンヌ・モロー)が、とってもいい味出してて素敵なおばあちゃんだった。

一晩泊まったおばあちゃんの家で眠れず、庭を散策しているうちに、昔姉と遊んだ記憶が蘇ってくる。
戻ってきたロマンに「眠れないの?」と聞くおばあちゃんに「おばあちゃんと一緒に寝ていい?」と甘えるロマン。
「私は裸で寝るのよ」・・・粋なおばあちゃんです。
そして、「恋人はどうするつもり?」と聞かれ、「恋人とは別れる、たぶん・・・」と答えるロマン。

自分の家に戻ったロマンは恋人と愛を交わす・・・・・
って・・・
おっと~! 同性愛だったのか!!!?


ハシゴするのに何を観ようかと悩んでいた時に、映画館をあちこち移動するのも面倒だし、同じ映画館で「ブロークバック・マウンテン」をやっていて、意を決して観てみようかとチラッと思ったのだが、スクリーンの大画面で男性同士のラブシーンを観るのはやっぱりちょっと引けるからと、もし、観るとしたらDVDでいいやって話ながらこの映画を観に行ったのだが、予備知識を入れてなかったため、まさか同性愛だとは思いもせず、しかも、もろラブシーンがあるなんて・・・(|||_|||)

先日観た「RENT」もゲイの話もあったけど、女装してたし、濃いラブシーンもなかったので、それ程気にはならなかったのだけど、これはどん引きだった、、、。
女性同志はまだ見られても、男性同志はきれいじゃないから、勘弁して欲しい・・・
たぶん、「ブロークバック・マウンテン」よりコアだったんじゃないかと思う。

割と始めの方でどん引きしてしまったので、そのあとなかなか話に入ることができず、次に出てきたカフェで働いてる女性の話も、初めて会ったロマンへの頼み事がそんなのあり!?って感じだったし、しかも、一度拒否したくせに数日後にOKしてるし、で、女性の望み通りに事は運んでるし・・・ここは思いっきり突っ込みを入れたい箇所だった!

昔は仲がよかった姉との間もこじれていたのだが、姉が手紙を出したことにより、お互いに少しだけ歩み寄り、仕事先からだと言いながら姉に電話をするロマン。
でも、実はすぐ側からかけていて、だけど、それ以上近づくことができず、その代わりに姉と姉の子ども達の写真を撮る。

そうやって、少しずつ自分の身辺を整理しながら、今の自分が観てるものを少しずつ写真を撮っていく。
自分が消えていく前に目にした物をカメラの中に記憶として残していく。

ラストが近づくにつれ少しずつよくなって入り込めるようになって来た。
海に行くロマン。
砂浜に敷くタオルを念入りに選び、海水パンツとゴーグルも買う。
ガンの進行と薬のせいで吐き気もあり、食欲は落ちてしまったけど、ふと思い立ちアイスクリームを食べてみるが、やはり食べきれない、、、。
着替えて海に入ってみる。
浜辺で周りの海水浴客たちの写真を撮り、景色を撮り、日光浴をする。

きっと、暫く忘れていた普通の事をやってみたかったんだろうな・・・?

だんだんと陽が傾いていき水平線の彼方に夕陽が沈んでいくラストシーンがとても美しかった。

「死ぬまでにしたい10のこと」は、家族や恋人のために何かを残そうとするその姿が涙を誘って仕方なかったけど、「ぼくを葬る」は最後の時まで自分らしく生きるって感じかな?
涙は出なかった。。。